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安い~!? 「ネット上の誹謗中傷による慰謝料の相場は●円」と弁護士

星 花

星 花H.Hoshi

インターネットが普及して以来、私たちのコミニケーションの幅はグンと広がり、楽しみも増えましたが、その一方で、リベンジポルノやネット上の誹謗中傷等、想像を絶するような陰湿なネットトラブルも増えています。

今回は、インターネット上でのトラブルに巻き込まれた時に対処法について、アディーレ法律事務所パートナー弁護士の篠田恵里香さんに、お話をうかがってみました。

「見えない敵との戦いであるためか、“書き込みをされた人物”の精神的ダメージも、面前で攻撃されるより大きいように思います。“安心して過ごせる毎日”に戻るためには早急に手立てを打つことが大事です」と篠田さん。

弁護士さんに相談することによって、法律的にどのような対応が可能なのでしょうか?

 

目次

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■まずは投稿した人物を特定

「通常ネット上では、投稿者は氏名等を秘して個人攻撃を行います。自らの素性を明かさずに他人の誹謗中傷を行うなんて、卑劣極まりないですね。

まずは、この投稿者を特定することからはじめます。ネット攻撃をされると、“名誉毀損だ!”といって警察に駆け込む方も多いようですが、個人間のちょっとした揉め事として扱われ、なかなか捜査開始とまではいかないものです。

まずは、プロバイダ責任制限法に基づく“発信者情報開示請求”を行い、これによって、最終的に、投稿者の住所・氏名などをつきとめるのです。この手続きは比較的容易に行えます」

なるほど! まずは“匿名性”の裏に隠れていた人物をあぶり出して敵の姿を確認することが先決ですね。

 

■書き込みの削除を要求

「“ネットで自分のことが書かれている。見られたくない情報が掲載されている”という状態は、“いつ誰に見られているか分からない”ということで、一日中落ち着かないですね。1秒でも早く、“この投稿を削除してほしい”というお気持ちでしょう。

その場合、プロバイダ事業者や掲示板管理者等に対し、書き込みの“削除申出”を行うことが可能です。名誉毀損やプライバシー侵害等の権利侵害が認められる場合に限られますが、“この投稿は被害者の権利を侵害している”ということであれば、自主的な削除を促すか、あるいはプロバイダ等から強制的に削除がなされることになります」

世界中のどこからでも見ることができる環境に誹謗中傷を放置しておくのは精神衛生上良くなさそうなので、一日でも早く、削除依頼を出したいものですね。

 

■民事上の損害賠償請求

「投稿者が特定できれば、次は、金銭的な請求です。ネット上での誹謗中傷は“名誉毀損”や“侮辱”にあたります。個人の私生活や知られたくない情報を開示されたのであれば、プライバシー侵害として訴えることも可能です。

不法行為(民法709条)を理由に、相手方に対し、“精神的苦痛を被った”として慰謝料請求を行うことになりますが、慰謝料の額は高くとも20~30万円という程度、通常は認められても数万円という金額です。残念ですが、100万、200万という数字は現実的ではないですね。

ただ、金額の問題ではなく、やはり、“今後同じことをさせない”ことが大事。そこはビシッ!と釘をさしておきましょう」

金額そのものより、誰にどのような非があったのかは、法律に基づいてはっきりさせておいたほうが良さそうですね。

 

専門家に相談することによって、思った以上に効率的に敵を追い込むことができそうですね。次回はさらに刑事責任の追及や、世の中を騒がせるリベンジポルノへの対処法などもうかがってみたいと思います。

 【取材協力】

※ 篠田恵里香・・・弁護士法人アディーレ法律事務所パートナー弁護士(東京弁護士会所属)。男女トラブル、交通事故問題などを得意分野として多く扱う。また、離婚等に関する豊富な知識を持つことを証明する夫婦カウンセラー(JADP認定)の資格も保有している。外資系ホテル勤務を経て、新司法試験に合格した経験から、独自に考案した勉強法をまとめた『ふつうのOLだった私が2年で弁護士になれた夢がかなう勉強法』(あさ出版)が発売中。公式ブログ『弁護士篠田恵里香の弁護道』も更新中。