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知らずにアリナシは語れない「事実婚のメリット&デメリット」【後編】

星 花

星 花H.Hoshi

前回のコラムでは、事実婚を取り入れるメリットについて、アディーレ法律事務所パートナー弁護士の篠田恵里香さんにお話を伺いました。“氏の変更等の煩わしさがない”、“関係解消の際の金銭・社会保障などは法律婚と同様”という2点のメリットをピックアップして、詳しく説明していただきました。

後編では、事実婚に関するデメリットについて伺ってみたいと思います。

 

目次

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■1:税制上の優遇措置が受けられない

「日本の税制度は、“法律婚主義”が徹底されています。法律上の夫婦の場合、“配偶者控除”や“扶養控除”という税制上の優遇措置がありますが、内縁の場合、これが利用できません。配偶者控除は年間38万円ですから、所得税率20%の方であれば、10年間で76万円ほど税額が変わってきます。

また、婚姻期間20年以上であれば、居住用不動産に関する贈与につき、最高2,000万円まで贈与税が控除されますが、内縁の場合はこの配偶者控除も利用することができません。

(配偶者控除が認められるのは、納税者と生計を共にしていて、年間の給与収入が103万円以下の人。夫婦どちらともそれ以上の場合や、どちらかの収入が1,000万円以上の場合は控除の対象外となる)」

 

■2:相手が急に倒れた時などに無力

「内縁の夫・妻が、急に倒れて病院に運ばれた……。そんなとき、法律上の配偶者であれば、病院に駆けつけて面会を求めればすぐ、病室を教えてもらえますね。

しかし、内縁の場合、病院側としても“個人情報保護”の要請があるので、“ご親族でない方には病室をお答えすることができません”と回答せざるを得ず、面会自体させてもらえないケースも多いようです。

また、入院や手術が必要な場合にも、“内縁の場合は同意者にはなれません”として断られ、必要な同意書にサインさせてもらえないケースが多いようです」

もしもの時にために相手の親族と連携をとっておくなどの対応もできそうですが、“面倒な親族間の付き合いが少なくていい”という事実婚のメリットのひとつが多少くつがえってしまいますね。

 

■3:相続の場面では圧倒的に不利

「内縁の間柄では、“相続”が発生しません。内縁の妻・夫に遺産を残したいのであれば、“遺言”によって相続させるほかありません。ただ、この遺言も絶対的ではなく、本来の戸籍上の親族から、“遺留分(本来の相続分の2分の1)”を主張されれば、これに応じねばなりません。

要は、遺言があっても、遺産の半分は持っていかれる覚悟が必要ということです。また、法律婚の場合、1億6,000万円まで配偶者に相続税は課税されませんが、内縁ではこの非課税枠が適用されません。

それどころか、相続税に2割の加算がなされてしまいます。このように、内縁は、相続の場面では圧倒的に不利といえるでしょう」

事実婚を選ぶカップルはしがらみを嫌いそうなのであまり相続には興味はない? と思ってしまいますが、長年添い遂げた場合は、若い頃と状況も変わってくる可能性もありますね。

 

いかがでしたか? 女性側の経済的な自立によって、デメリットをカバーできることもありそうです。二人のライフスタイルにあわせて損得を考えた上で判断したほうが良さそうですね。

 

【取材協力】

※ 篠田恵里香・・・弁護士法人アディーレ法律事務所パートナー弁護士(東京弁護士会所属)。男女トラブル、交通事故問題等を得意分野として多く扱う。また、離婚等に関する豊富な知識をもつことを証明する夫婦カウンセラー(JADP認定)の資格も保有。外資系ホテル勤務を経て、新司法試験に合格した経験から、独自に考案した勉強法をまとめた『ふつうのOLだった私が2年で弁護士になれた 夢がかなう勉強法』(あさ出版)が発売中。公式ブログ『弁護士篠田恵里香の弁護道』も更新中。