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無類の女好き・諸星あたるがラムちゃんに愛され続けた理由は・・・【漫画キャラから学ぶモテ道 2】

吉田奈美

吉田奈美

 

前回は「ドラえもん」・のび太君のモテ道について学んでみましたが、今回はアニメも大人気だった高橋留美子先生の「うる星やつら」から、主人公・諸星あたるのモテ道を研究したいと思います(余談ですが、この物語の主人公はラムちゃんではなくあたるなんだそうです)。

魅力的な漫画には魅力的なキャラクター造形が必ずなされており、その魅力こそ、リアル世界にも通じる「モテ道」にも成り得ちゃうんですね。

 

「読んだことなーい」という若い読者のために、カンタンなあらすじを。

 

普通の高校生だった諸星あたるが、ある日宇宙から地球侵略のためにやってきた鬼型宇宙人・ラムちゃんと人類の命運を賭けた鬼ごっこをすることに。見事ラムちゃんのツノを捕まえ勝利し、地球を救ったあたるだったが、その勝負の際に当時の恋人・しのぶに誓った「結婚しよう」という言葉にラムちゃんが自分がプロポーズされたと勘違いし、あたると結婚するため地球に居残ってしまったことで始まるドタバタラブコメディーの大傑作。もともと女好きのあたると、嫉妬深いラムちゃん、このカップルの行く末は!? 読んだことのない人も、ラムちゃんのトラ柄ビキニの衣装や電撃攻撃、「~だっちゃ」という口調は覚えがあるのでは? 今読んでも新鮮&斬新! まだの人はぜひ読んでみてくださーい。

美女でセクシーでモテモテなラムちゃんなのに、勘違いからとはいえ、浮気ばかりするダメ男の典型・あたるをなぜ好きで居続けるのか。

あたるのキャラクターを分析することで、ダメンズ好き女がダメンズに惹かれるメカニズムがわかってきたのです。その秘密を5つご紹介しますね。

 

目次

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☆秘密その1.拒絶しきらない

あたるはラムちゃんにけっこう冷たく当たります。それでも追いすがるラムちゃんですが、ラムちゃんが寂しがる寸前で、すっと優しい言葉を吐いて心を取り戻します。押して引いての割合は押す1:引く9終始引きっぱなしでちょい戻すバランスも、ダメンズ好き女にはたまりません。ずっと女に追いかけさせることのできる男こそ、モテるんです。

 

☆秘密その2.女を平等に口説く

かなりの女好きで、女とあれば口説きまくるあたる。ラムちゃんの親友までもがターゲットになっており、よくぞまぁこんな状況耐えられるな、と考える人も多いはず。でもこれが不思議と節操なく誰でも彼でも平等に口説きまくるパターンだと案外女は許せるもの。それよりも、特定の女のコに執着されるほうが女ゴコロとしてはしんどいんです。現に漫画初期にあたるは当時の恋人・しのぶを追い掛け回しますが、その頃のラムちゃんの嫉妬は中後期とは違い、鬼気迫るものがありました。見境なく口説くようになってからは、どこか嫉妬も“お約束感”があり、カップルのプレイとして楽しめる範囲に変化。とことん浮気するか、まったくしないか、どちらか両極端だと女にとって魅力的な男となります。

 

☆秘密その3.ツンデレである

物語を読む進めるうち、あたるもラムちゃんを大事に思っていたり、愛情が深かったりすることがわかります。が、そんな気持ちは絶対にラムちゃんには見せないようにするんです。ましてや言葉で“愛してる”なんて野暮な伝え方はしません。あたるは漫画世界で元祖ツンデレキャラ、なんて分析もされていますね。そう、このツンデレこそ、人を夢中にさせるテクニック。言葉ではなく、たまに溢れ出てしまう行動や表情での愛情表現で女の人をトキメかせているんです。日ごろ愛に枯渇したダメンズ好き女はココロが敏感ですから、ツンデレ男の小さな愛情のかけらを見逃しません

 

☆秘密その4.意外な優しさがある

常に軟派男であるあたるですが、たまーに駆け引きなしの男気のある優しさを見せることがあります。

このことは、入院中にあたるに恋をし、片思いのまま死んでしまった少女・望ちゃんが成仏できず、幽霊となってあたるにデートを申し込む、というエピソードにとてもよく表れています。デートの際、猛暑にもかかわらず、望ちゃんが生前、入院中に編んだというニットのセーターやマフラー、帽子、手袋などをいやな顔せずに汗だくになりながらも身に着けてデートをし、望ちゃんが無事成仏したあとも、「もう少し着てる」と、望ちゃんの思いを優しく受け止めるシーンに涙した人も多いはず。このときラムちゃんはどうしてるかというと、嫉妬する気持ちは消え、そんなあたるの男気と優しさにますます惚れてしまった、というわけです。男の優しさに疑いのあるダメンズ好き女は、これぐらい無垢な優しさを見せられたときに初めて、心からその優しさに心奪われることになります

 

☆秘密その5.「いざ」という勝負時を見極められる

ラムちゃんのことを大事に思いつつも、ツンデレな態度で常にはぐらかし続けるあたる。何度ケンカしてもその態度を貫きとおしたけれど、物語のラストでは意を決してラムちゃんに対峙します。それはこのときに向き合わなければラムちゃんを失ってしまうとわかっていたから。そんな「勝負どき」を見極められる天性の勘の持ち主であることも、ダメンズ女を夢中にし続けることのできる秘訣です。

 

どうでしたか? あたるがモテる秘密、わかってきましたか?

 

最後にあたるが言ったこんな言葉をご紹介します。

 

「好きな人を好きでいるために、その人から自由でいたいんだよ」

(劇場版ビューティフル・ドリーマーより)

 

まさにこれこそ、人を愛するため、そして愛されるための核心をつく言葉じゃないですか?

まだまだ魅力的な作品はたくさんあります。さてさて次はどのキャラクターを分析しますかねぇ。