【連載3:AFTER】うそ…もしかして!? 悲劇「男女共同シャワー」で濡れちゃった

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すべて“計画通り”のはずだったテッサの大学生活初日。

しかし、これからずっと暮らす部屋で待ち受けていたのは赤い髪のルームメイトと、タトゥーにボディピアスの男子生徒たち(前回)!

唖然としながらも、ひとりの男子生徒に魅力を感じてしまうテッサでしたが、彼らが去ったあと、厳しい母親と優等生ボーイフレンドのノアは、どんな反応を示すのでしょう?

 

■母の説得と、ノアのキスと

「じゃあまたな、テッサ」ネイトの言葉とともに三人は部屋を出ていき、わたしは大きく息をついた。居心地悪いなんて言葉では、とても言い表せない数分間だった。

「別の寮に変えてもらいなさい!」ドアが閉まるやいなや、母はわめいた。

「だめよ、そんなの。だいじょうぶだから」わたしは必死に動揺を隠そうとした。なにがだいじょうぶなのか自分でもわからないけど、母が高飛車な態度に出て、大学生活の初っぱなから騒ぎを起こすのだけはいやだ。

「どうせ、彼女はあまり寮に寄りつかないから」母はもちろん、自分自身を説得するために言ってみる。

「とんでもない。すぐに部屋を変えてもらうのよ」怒りのあまり、母の形相は一変していた。「あんな男ども—しかも、いかれた不良(パンク)を部屋に入れるような娘(こ)と同室だなんて!」

わたしは母の灰色の瞳をのぞきこみ、それからノアに視線を移した。「お母さん、ちょっと様子を見ましょう。ねっ、お願い」こんなぎりぎりになってから寮の変更だなんて、どんな騒ぎになるか。それに、恥ずかしいことこのうえない。

母はもう一度、部屋のなかを見回した。ステフのほうの壁をまじまじと見て、ダークな雰囲気の内装に憤慨してみせる。

「まあ、いいでしょう」と引き下がったので、わたしは驚いた。「でも、帰る前にちょっと話があるわ」

母はパーティーや男子学生には気をつけるようにという話を一時間もすると、ようやく帰り支度を始めた。いつものようにそっけないぐらいのハグとキスをして、車で待っているとノアに言いながら出ていった。

「毎日会えないと思うとさみしいよ」そうささやくノアに抱き寄せられて、わたしはコロンのにおいにため息をついた。もう、むせるほどではない。これからはこのキャンパスでひとり、この香りを懐かしむことになるだろう。

「わたしも。でも、毎日話せるから」彼の体に回した両腕に力をこめて、うなじに顔をすり寄せる。「あなたもいっしょに入学できたらよかったのに」ノアとはあまり身長が変わらないけど、見下ろされる感じがしないのがいい。

母には、わたしの背が伸びすぎだとからかわれた。男というものは、うそをひとつつくたびに三センチ身長が高くなるという。父が長身だったことを思うと、母の話は理屈がとおっているのかもしれない。

軽く唇を重ねられて……そのとき、クラクションを鳴らす音が駐車場から聞こえた。

ノアは笑って体を離した。「きみのお母さんだ」わたしのほほに軽くキスをして、部屋を出ながら叫ぶ。「今夜、電話するよ!」

 

■やっとひとりになって……

彼が慌ただしく出ていったのを残念に思いながら、荷解きを始めた。持ってきた服の半分を小さなドレッサーにおさめ、残り半分をクローゼットに掛けていく。

向かい側のクローゼットに掛かっているのはレザーやアニマル柄の服ばかりで、見ただけでぞっとする。とはいえ好奇心には勝てず、メタリックな感じのドレスや、透けて見えそうなほど薄い生地の服に、わたしはいつの間にか指を走らせていた。

朝からの疲れを感じてベッドに横になる。いつになくさみしい気分だ。ステフの友人たちには不愉快な思いをさせられたけど、ルームメイトがいないと落ち着かない。

彼女はこの部屋には居着かない気がするものの、仲間をしょっちゅう連れてこられるのも迷惑だ。どうして、読書や勉強が好きなルームメイトにあたらなかったのだろう。

でも、狭い部屋を独り占めできるなら、それも悪くはないと思いつつ、やはり気持ちが滅入った。あんなに事前にいろいろ調べたのに、大学というところは予想や理想とはまったく違っていた。

とはいえ、まだ数時間のことだ。わたしは自分に言い聞かせる。明日はもっといい一日になるはずだ。絶対に。

スケジュール帳と教科書を広げ、今学期の時間割と、入部したい文芸サークルの会合予定を書いていく。おすすめのサークルだという在学生の口コミを読んで、様子を見たかったのだ。

同じ趣味の人間を見つけて話がしたい。友達をたくさんつくろうとは思わない。ときどきランチをいっしょにできる人がいれば、それでいい。

明日はキャンパスの外へ出て、必要なものを買いに行こう。ステフのように壁にべたべたポスターを貼るつもりはないけど、まだなじみのない空間を心地よくするものがほしい。

車なしでは買い物に出かけるのも難しいだろうから、車を買うのは早いほうがいいだろう。でも、卒業祝いや夏の書店でのバイトで貯めたお金があるとはいえ、いますぐというのはどうだろうか。キャンパス内の寮に住んでいるから公共交通機関はいつでも利用できるし、バスの路線についてはすでに調査ずみだ。

予定や時間割、真っ赤な髪の女子にタトゥーだらけの無愛想な男子たちのことを考えているうち、わたしはスケジュール帳を手にしたまま眠ってしまった。

 

■男女共同シャワールーム!?

翌朝、となりのベッドにステフの姿はなかった。昨日の男子のどちらかがボーイフレンドなのかもしれない。彼女のためにも、それがブロンドのほうであることを願おう。

シャワーバッグをつかんでシャワールームに行く。寮生活でいちばんいやなのがこれだ。部屋にバスルームがついていればいいのに。共同シャワーも男女別じゃなかったら、最悪だ。

うそ、もしかして……? シャワールームのドアに手をかけると、男性と女性のピクトグラムが並んでいた。最悪の予想どおり、男女共同だ。WCUについて調べているときに、どうして気づかなかったのだろう……。

半裸の男子や女子たちを避けながら、空いているシャワーブースに飛びこんで、薄っぺらなカーテンをしっかり閉める。服を脱いで、カーテンの外の棚にぐしゃっと置いた。

シャワーのお湯が熱くなるまでひどく時間がかかり、何も身に着けていないわたしを隠してくれるはずのカーテンを開けられやしないかと気が気じゃない。

なのに、肌もあらわな異性がうろついているのを気にする人は誰もいない。大学生活二日目だというのに、理解できないことばかりだ。

服を置いておく棚はひどく小さい。ブースそのものも狭くて、両腕を伸ばすスペースがやっとあるだけで、振り向いた拍子にひじが棚に当たってしまった。服が濡れた床に落ちて、その上にお湯がかかる。

「もう、信じられない!」わたしは急いでお湯をとめて、タオルを体に巻いた。濡れてずしりと重くなった服をひっつかみ、誰にも見られないよう祈りながら廊下を走る。自分の部屋にたどり着いて鍵を差しこみ、ドアを閉めたとたん、ほっとした。

でもそれは、振り向いて室内を見るまでのことだった。ステフのベッドには、例の、
タトゥーをした茶髪の無礼な男子が寝そべっていた。

 

濡れたタオル1枚の姿で、ベッドにいるタトゥー男子と対面してしまったテッサ。次回、意地をはったことで、タトゥー男子がいる部屋での着替えを余儀なくされ……!?

 

【参考】

※ アナ・トッド(2015)『AFTER 1』(小学館文庫)

 

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