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【連載4:AFTER】「まだか?」にぷちっ…タトゥー男子がいる部屋で着替えることに

2016/01/26 21:00  by   | モテる女

初めての大学寮生活は、まさかの共同シャワールーム! 動揺したテッサは、脱いだ服を床に落とし、びしょびしょに濡らしてしまいます(前回)。

タオル1枚を身体に巻き、急いで自分の部屋に戻ると、なんとベッドにいたのはルームメイトのステフではなく、例のタトゥーをした無礼な茶髪の男子でした……!

 

■着替えたいんだけど……

「ステフはどこ?」強い口調で言おうとしたのに、蚊の鳴くような声しか出せない。

わたしは柔らかなタオルを両手でつかんで、下を見た。体がちゃんと覆われているのを確認して、安心する。

例の男子はこちらを見て口の両端をちょっとあげたものの、無言のままだった。

「聞こえなかった? ステフはどこか、って質問したんだけど」さっきよりすこし丁寧に繰り返す。

彼は横柄な表情のまま、ぼそっと答えた。「知らないな」そして、ステフのドレッサーの上にある小さな薄型テレビをつける。いったい、ここで何してるの? 自分の部屋はないの? そう怒鳴り散らしたくなるのを必死でこらえる。

「あらそう。ちょっと……部屋を出ていくとかしてくれない? 着替えたいんだけど」こちらがタオル一枚だということにも、彼は気づいてないみたいだ。いや、気づいているけど、それがどうした? ってことなのかもしれない。

「うぬぼれるなよ。きみをじろじろ見るつもりはない」彼は顔を両手で覆い、こちらに背を向けた。いま気づいたけど、イギリス英語のアクセントが強い話し方だ。

失礼な発言にどう反応したらいいのかわからず、わたしはむっとしながらドレッサーのところへ行った。彼は女子に興味がないのかもしれない。じろじろ見るつもりなんかないというのも、そういう意味かも。もしくは、わたしは彼の好みのタイプじゃないとか。ブラとパンティを急いで着けて、地味な白のシャツとカーキのショートパンツを着た。

「まだか?」という言葉に、わずかに残っていた忍耐力がぷちっと切れた。

「これ以上、無礼な態度をとるつもり? いったいなんなの?」大きな声を出すつもりはなかったけど、彼の驚いた表情から察するに、すこしは効き目があったみたいだ。

彼は黙ったまま、こちらを見た。謝ってくれるだろうと思っていたら……いきなり笑いだした。深みのある笑い声は魅力的と言ってもいいくらいだが、不愉快な態度ですべて帳消しだ。笑い続ける彼のほほにえくぼが見えた。わたしは何をどう言えばいいのかわからず、自分がまるっきりばかみたいに思えた。

突然ドアが開いて、ステフがものすごい勢いで入ってきた。

 

■パーティーには気をつけろ

「ごめん、遅れちゃった。ひどい二日酔いでさ」わざとらしく言うと、わたしと彼をきょろきょろ見る。「ごめんね、テス。ハーディンが来るって言うの、忘れてた」彼女はすまなそうに肩をすくめた。

ステフとはルームメイトとしてやっていけるし、友達にだってなりたいと思おうとしたけど、つき合っている仲間たちや夜遅くまで外出している様子を見ていると、自信がなくなってきた。

「あなたのボーイフレンドは失礼だわ」

ステフが彼のほうを見る。次の瞬間、ふたりとも我慢できないとばかりに吹き出した。わたしをばかにして笑うなんて、いったい何?

「ハーディン・スコットは、あたしのボーイフレンドなんかじゃないよ!」ステフは笑いすぎて咳きこみそうになった。ようやくそれが収まると、このハーディンとかいう男子を振り向いてにらんだ。「彼女になんて言ったの?」そして、こちらに視線を戻す。「ハーディンの話し方って……一種独特だから」

ああ、そうですか。つまり、ハーディンは根っから失礼な人間ということだ。彼は肩をすくめて、リモコンでチャンネルを替えた。

「今夜、パーティーがあるの。いっしょに行こうよ、テッサ」とステフが言う。

こんどはわたしが笑う番だった。

「パーティーは好きじゃない。それに、机周りの物を買いに出かけなくちゃならないし」ハーディンを見ると、わたしもステフもこの部屋にいないかのような態度をしている。

「そんなこと言わないで……今夜だけ! せっかく大学に入ったんだから、一回ぐら
いいいじゃない」とステフにせがまれる。「ちょっと待って、どうやって買い物に行
くの? 車は持ってなかったよね?」

「バスに乗ろうと思って。それに、やっぱりパーティーには行けない—知ってる人がいないもの」そう言うと、ハーディンがまたしても声をあげた—ばかにして笑う程度には聞こえている、と言いたいのだ。「本を読んだり、ノアとスカイプするつもりだったから」

「土曜日にバスなんて乗っちゃだめ! すっごく混んでるんだから。ハーディンの車に乗りなよ、帰る途中で下ろしてあげる……いいよね、ハーディン? それに、パーティーに行ってもあたしがいるじゃない。ねえ……おいでよ、お願いだから」ステフは両手を合わせて拝むふりをした。

昨日会ったばかりの彼女を信用できるだろうか。パーティーには気をつけろという母の言葉が頭に浮かぶ。すこし話したかぎりでは、ステフは意外にいい人かもしれない。だけど、パーティーにいっしょに行くほど?

「でも……ううん、やっぱりいい。ハーディンに連れていってもらうのはちょっと
……」

「なんだよ、ひどいこと言うんだな! せっかく仲良くなれるかと思ったのに」ショックでベッドを転がるふりをするハーディンの声は、棒読み気味なのが逆に皮肉たっぷり。わたしは、ふさふさの巻き毛頭に本を投げつけてやりたくなった。「いいかげんにしろよ、ステフ、この娘(こ )はパーティーになんか来ない」彼は声を立てて笑った。

しかし、イギリス英語の強いアクセントを聞いてわたしの好奇心が頭をもたげ、どこの出身なのかききたくなる。しかも、持ち前の負けず嫌いのせいで、知ったふうな口をきく彼をやり込めたくなった。「そうね、うん、やっぱり行く」とびきりの笑顔を作って言う。「なんか、おもしろそうだし」

信じられないとばかりにハーディンは首を横に振った。ステフは甲高い声とともに、わたしをぎゅっとハグした。

「やったー! 楽しくなりそう!」

彼女の言うとおりになるよう、わたしは祈るしかなかった。

 

しぶしぶパーティーに行くことになったテッサ。次回、黒のフィッシュネットに赤いブラ、ほぼ全身むきだしで谷間をあらわにしたステフから、自分の服を着ていくように勧められ……!?

 

【参考】

※ アナ・トッド(2015)『AFTER 1』(小学館文庫)

 

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