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【連載5:AFTER】「まさか…それを着ていくの?」パーティーの準備で口をあんぐり

2016/01/27 13:16  by   | モテる女

タオル1枚の恥ずかしい姿をハーディンに見られ、さらには同じ部屋で着替えするはめになってしまったテッサは、のんきに戻ってきたルームメイトのステフから、夜のパーティーに誘われます。

最初は拒絶しますが、ムカつくけど気になるハーディンの車に乗るように誘われ……ついに行くことを決意したのです(前回)。

 

■パーティーって……!?

ハーディンがようやく出ていったので、わたしはパーティーについてステフと相談した。不安を和らげるために詳しい情報が必要なのに、彼がここにいたら邪魔なだけだ。

「パーティーはどこで? 歩いて行けるところ?」棚に本を並べながら、平静を装って質問する。

「正確に言うと、このあたりでいちばん大きいフラタニティハウスでのパーティーだよ。フラタニティってわかるよね? 男子学生の集まりがフラタニティで、女子学生はソロリティ。友愛クラブともいうんだけど、それぞれ秘密めいたしきたりや独特のシステムがあって、メンバーは固い結束で結ばれてる。

このハウスっていうのはふつうの邸宅みたいなところで、寮とはちょっと違うんだ」マスカラを塗り重ねようとして、ステフの口が大きく開く。「キャンパスの外にあるから、歩いては行けない。でも、ネイトが車を出してくれる」

ハーディンじゃなくてよかった。もっとも、パーティーには彼もいるだろうけど。あんな無礼者と同じ車に乗るなんてとんでもない。

体じゅうにピアスの穴を開けてタトゥーを入れている不良だと決めつけないようにしているんだから、逆に感謝してほしいぐらいだ。まあ、すこしは見た目で判断してるかもしれないけど……すくなくとも、こちらは節度ある態度を保っている。

わたしの育った家は、タトゥーやピアスはふつうのことではなかった。いつも髪をきちんととかし、眉がぼさぼさにならないよう整えて、アイロンをかけた清潔な服を着ていなければならなかった。だって、それが当たり前だもの……。

「ねえ、テッサ、聞いてる?」ステフの言葉にふと、我に返る。

「ごめん……何?」あの失礼な男子のことを考えていたなんて、自分でも気づかなかった。

 

■まさか、それを着ていくわけ?

「支度しようって言ったんだよ。着ていく服を選ぶのを手伝って」彼女が持ってきたものはどれも場違いで、室内にどっきりカメラでも仕掛けてあるんじゃないかと思うほど。一着見せられるたびに身をすくめると、大笑いされた。わたしがいかにもいやそうな顔をするのがおもしろいらしい。

結局、ステフが選んだ服は黒のフィッシュネットでできていて、赤いブラが透けて見えた。黒のスリップがついていなかったら、全身むきだしだ。太腿の上のほうまで見えそうなのに、さらに裾を引っぱりあげたかと思えば、胸の谷間があらわになるよう上部を引き下げる。靴のヒールはすくなくとも十センチはありそうだ。

彼女は燃えるような赤い髪を緩くまとめて結い上げ、カールが肩にかかるよう毛先を散らした。目に入れた黒と青のアイライナーはなぜか、さっきより濃くなっていた。

「タトゥー入れるとき、痛かった?」お気に入りの栗色のワンピースをクローゼットから出しながら尋ねてみた。

「最初のはちょっとね。でも、それほどじゃないよ。何度も蜂に刺されてる感じかな」ステフは肩をすくめた。

「じゅうぶん痛そうだけど」わたしが言うと、彼女は笑った。変わった人間だと思われているのだろう。でも、それはお互いさま。ふたりとも、相手をいままで見たことのないタイプだと思っているのが妙に心地いい。

だけど、ステフはワンピースを見て、口をあんぐり開けた。「まさか、それを着ていくわけ?」

わたしは両手を生地にすべらせた。持っているなかでいちばんのお気に入り。といっても、あまり選択肢があるわけじゃない。「なにかおかしい?」むっとしたのを隠そうと、訊き返す。すべすべと柔らかいものの、ビジネススーツと同じような生地。喉元まできっちり覆うような襟ぐりで、袖もひじ下までの七分丈だ。

「ううん……ただ……長すぎない?」

「ひざがぎりぎり隠れるぐらいだけど?」気分を害したのが伝わったかどうかわからない。でもなんとなく、わたしのこういうところは、彼女には知られたくなかった。

「かわいいよ、でも、パーティーに着ていくにはフォーマルすぎる。あたしのを貸してあげようか?」ステフは善意で言っているようだけど、あのちっぽけな洋服に体を押しこめるのは、とてもできそうになかった。

「ありがと、ステフ。でも、これでだいじょうぶだから」わたしはヘアアイロンのコンセントを差しこんだ。

カールが完璧にきまった髪を背中におろし、顔にかからないよう、両サイドをヘアピンで留める。

「あたしのメイク道具、使う?」ステフに言われて、わたしはまた鏡をのぞいた。

顔の面積からすると大きすぎる目。でも、いつもは抑えめメイクで、マスカラとリップクリームをちょっと塗るぐらいにしていた。

「すこし、アイラインでも入れようかな?」

ステフはにっこりしてペンシルを三本渡してくれた。パープルとブラックにブラウン。ブラックかブラウンに決めかねて、手のひらで転がしながら考える。

「パープルがすっごく合うと思うけどな」ステフの言葉に笑顔を返しつつ、わたしは首を横に振った。「あなたの瞳はすっごくすてきだよ—あたしのと替えっこする?」

ステフこそ、緑色のきれいな瞳をしてるのに。なぜ、取り替えようだなんて言うの? ブラックのペンシルでできるだけ細い線を両目のまわりに引くと、彼女は満足そうにほほ笑んだ。

 

■隠れていたハーディン

そうこうするうちにスマホが鳴り、彼女はバッグをつかんだ。「ネイトが来たよ」わたしもバッグを取って、ワンピースのしわを伸ばし、白いぺたんこ靴のトムスを履いた。ステフはちらっと見たものの、とくに何も言わなかった。

ネイトは寮の正面で待っていた。いっぱいに開けた車の窓から大音量のハードロックが流れる。あたりを見回すと、みんな目を丸くしていた。わたしは視線を落としたまま歩いたが、ふと顔を上げると、ハーディンが助手席にもたれかかっていた。体をかがめて隠れていたに違いない。もう、最悪だ。

「よう、お嬢さんたち」とネイトが言う。

ステフに続いて後部座席に入ると、ハーディンににらまれた。彼のすぐ後ろに座ることになったからだ。「教会じゃなくて、パーティーに行くんだってわかってるよな、テレーサ?」そう言われてドアミラーをちらと見ると、彼はにやにや笑っていた。

 

次回、乱痴気騒ぎのパーティーにとまどうテッサは、ベッドでキスをするハーディンを見つけてしまい……!?

 

【参考】

アナ・トッド(2015)『AFTER 1』(小学館文庫)

 

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