【連載7:AFTER】グログロ…ぐるぐる〜!「ろれつが回らなくなって」自ら下半身を…

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パーティー会場であるフラタニティハウスについたテッサは、澄まし屋(ミス・プリス)とからかわれ、気持ちを落ち着けるために外に出ますが、お気に入りのワンピースを汚されてしまいます。

「もう、最悪」

ひとりでバスルームを探し、ドアを開けると、そこは運が悪いことにベッドルーム。しかもハーディンが、テッサを「澄まし屋」とからかったピンク色の髪の女の子とキスをしていたのです……(前回)!

 

■えっ……今夜は帰れない!?

彼女が振り向いてこちらを見る。下がろうとしても、わたしの足は根が生えたように動かなかった。「何か用?」ととげとげしい声がする。

ハーディンは彼女をまたがらせたまま、上体を起こした。まったくの無表情—おもしろがってるふうでも、困惑しているふうでもない。こんなことは日常茶飯事なのだろう。ぶっ飛んだ格好の女子とセックスしてるも同然なところを目撃されるのにも、きっと慣れているに違いない。

「えっと……いいえ。ごめんなさい、あの……バスルームを探してるの。飲み物をこぼされちゃって」わたしは早口で説明した。こんなに居心地悪いことはない。彼女がハーディンの首筋に唇を押しつけたので、目をそらした。このふたりはすごくお似合いだ。タトゥーも入れてるし、どちらも無礼だもの。

「あっ、そう。じゃあ、探しに行けば」彼女があきれたように言い放つので、わたしはうなずいて部屋を出た。閉めたドアにそのままもたれる。せっかく大学に入ったのに、ぜんぜんおもしろくない。こんなパーティーのどこが楽しいのか、まったく理解不能だ。バスルームを見つけるのはあきらめて、キッチンで汚れを落とすことにした。

別の部屋のドアを開けてまた、酔っぱらった学生がいちゃついている現場に出くわす
なんて絶対いやだ。

キッチンはすぐ見つかったものの、ひどく混み合っていた。アイスクーラーに入ったアルコール類やデリバリーのピザの箱がカウンターにたくさん置いてあるからだ。

シンクで吐いている女子を避けてペーパータオルを水で濡らしたが、安物だったのか、ワンピースを拭いているうちに白いくずが生地について、前より汚くなってしまった。むしゃくしゃしながら、うめき声とともにカウンターに寄りかかる。

「楽しんでる?」ネイトがやってきた。知っている顔を見て、わたしはほっとした。彼はにっこりしながらドリンクを口にした。

「そうでもない……こういうパーティーはいつまで続くの?」

「ひと晩じゅう……さらに、明日の昼ぐらいまでかな」

笑いながらの答えに、わたしは呆然とした。ステフはいつ帰るの? できれば、そんなに遅くならないでほしい。

「ちょっと待って。寮まで誰が運転して戻るの?」ネイトに尋ねても、彼の目はすっかり充血していた。

「そうだな……きみがおれの車を運転してもいいよ」

「ありがたいけど、それはだめ。車をぶつけたり、お酒を飲んだ未成年が乗っているのを警察にとめられたりしたら、トラブルに巻きこまれちゃう」拘置所から出るのに保釈金を払うことになったら、母にどんな顔をされるかわからない。

「だいじょうぶだよ、それほど遠くないから—おれの車で帰ればいい。きみは飲んでないんだろ? いやなら、ここにいるしかないな。でなければ、誰か運転してくれるやつを探して—」

「ううん、いい。自分でなんとかする」音楽のボリュームがいきなり上がり、低いベース音と叫んでいるふうにしか聞こえない歌詞にかき消される前に、わたしはなんとか答えた。

夜が更けるにつれて、このパーティーに来たのは間違いだったという思いが確信に
変わっていった。

 

■下半身を押しつけて……

「ステフ!」と十回くらい叫び、やっとのことでネイトを見つけたころにようやく、音楽のボリュームが下がった。彼はうなずいて笑いだしたかと思うと、手を高くあげて隣の部屋を指した。こんなにいい人なのに、ネイトはなぜ、ハーディンなんかといっしょにいるのだろう。

彼が指さすほうを振り向いたわたしは、ステフの姿を見つけて息をのんだ。ほかの女子ふたりとともにリビングのテーブルに上がり、踊りまくっていたからだ。酔っぱらった男子が仲間に加わって、彼女の腰を両手でつかむ。ぴしゃりとはねのけるかと思ったら、ステフはにんまりしながら、自分から下半身を押しつけていった。

「踊ってるだけだよ、テッサ」ネイトは、わたしの落ち着かない顔を見てくすくす笑った。あれは決して踊っているだけじゃなかった。体をまさぐり合い、挑発するように腰をこすりつけ合っている。

「ああ……うん、わかってる」わたしはなんでもないふうに肩をすくめてみせた。もう二年もつき合ってるノアとでさえ、あんなふうに踊ったことは一度もない……。いけない、忘れてた! バッグに手をつっこみ、彼からのメールをチェックする。

そこにいるの、テス?

ちょっと、だいじょうぶ?

テッサ? きみのお母さんに電話したほうがいい? 心配になってきたよ。

ノアがまだ母に電話していないことを祈りながら、急いで電話番号を押す。彼は出てくれなかったが、母に電話する必要はないとショートメールを送った。大学生活最初の週末を過ごす娘に何かあったかもしれないと思った瞬間、母はきっとキレてしまうだろう。

「ヘーイ……テッサ!」ろれつの回らないステフが頭をわたしの肩にもたせかけてきた。

「どう? 楽しんでる? あたしのルームメイトちゃん」とくすくす笑う。どう見ても泥酔状態だ。「あのね……部屋がグログロ……じゃなくて、ぐるぐる回ってる」そして、前に倒れこみながら大声で笑う。

「彼女、吐くかも」ネイトに言うと、彼はうなずいてステフの腕をとった。

「ついてきて」彼は先に立って二階へ向かった。バスルームを見つけて、廊下のなかほどにあるドアを開ける。便器のそばの床にステフを下ろしたとたん、彼女は吐き始めた。わたしは目をそらしつつ、赤い髪をそっとつかんで顔にかからないようにしてあげた。

これ以上はもうつき合いきれないと思ったころ、ようやく彼女の吐き気もおさまり、ネイトがタオルを持ってきてくれた。「廊下をはさんだ向かいの部屋へ連れていこう。横になれば、酔いもさめる」彼の言葉にうなずいたものの、意識を失っているステフをひとりにしてはおけない。

「きみもここにいればいいよ」ネイトは、こちらの心を読んだかのように言った。

 

次回、ネイトに言われ、泥酔するステフを介抱するためにテッサが入った部屋は、なんとハーディンの部屋! そして……!?

 

【参考】

アナ・トッド(2015)『AFTER 1』(小学館文庫)

 

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