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【連載8:AFTER】えっヒドすぎる!「おれといちゃいちゃしたいなら…」に泣きそう

2016/01/30 21:00  by   | モテる女

ハーディンのキスを目撃してしまったテッサは、乱痴気騒ぎのパーティーから帰ろうとしますが、もう誰も運転できる状態でないと気がつきます。

ようやく見つけたルームメイトのステフは酩酊状態でろれつも回らず、男子と体をまさぐり合い、下半身を押しつけて踊っている始末。

「あのね……部屋がグログロ……じゃなくて、ぐるぐる回ってる」

大声で笑うと倒れ込み、嘔吐の後、意識を失ってしまうのでした(前回)。

そんなステフを介抱するために、ネイトに言われ、向かった部屋にあったのは……?

 

■エミリ・ブロンテの『嵐が丘』

彼といっしょにステフを立ちあがらせ、真っ暗な寝室へ歩いていくのに手を貸した。うめいている彼女をベッドに寝かせると、ネイトはあとで様子を見に来ると言って出ていった。わたしは彼女の隣に腰を下ろし、具合が悪くならないよう、顔の向きを変えてあげた。

パーティーはどこもかしこも最高潮の盛りあがり。自分はしらふだというのに、酔いつぶれているステフのそばにいるとさらに落ちこむ。

スタンドの明かりをつけて部屋のなかを見回すと、壁の一面を覆う本棚に目を奪われた。一気にテンションがあがり、並んだ本の背表紙を近くで見てみる。誰のコレクションか知らないが、たいしたものだ。

古典文学の名作が勢揃いで、わたしの愛読書もぜんぶ含まれていた。『嵐が丘』を見つけたので、引きだしてみる。いまにもバラバラになりそうな綴じを見れば、何度も読まれてきたものだとわかる。

エミリ・ブロンテの文章に夢中になっていたせいで、ドアが開いて明るくなったことはもちろん、人が入ってきたことにも気づかなかった。

「なぜ、きみがおれの部屋にいる?」嚙みつくような大声が後ろから聞こえた。

聞き覚えのある口調とアクセント。

ハーディンだ。

 

■「きみは、俺の好みじゃない」

「いったいなぜ、きみがおれの部屋にいるのか、ときいているんだが」さっきと変わらぬ厳しい声。振り向くと、彼は大股でやってきて、わたしから本を引ったくって棚へ戻した。

あまりのショックに頭がくらくらする。ただでさえ最悪のパーティーなのに、ハーディンの個人的な空間にいる現場を本人に見つかってしまった。彼は嫌みな咳払いとともに、わたしの目の前で手をひらひらさせた。

「ステフをここに運ぶようネイトに言われて……」ほとんど聞こえないくらいの声で答える。近づいてきたハーディンが大きなため息をついたので、わたしはベッドのほうを身振りで示した。「彼女は飲み過ぎたみたいで、ネイトが—」

「それはさっき聞いた」ハーディンはくしゃくしゃの髪に指を走らせた。ひどく機嫌が悪そうだ。なぜ、わたしたちが部屋にいることをここまで気にするのだろう。えっ、ちょっと待って……。

「あなたも、このフラタニティのメンバーなの?」わたしはショックを隠せなかった。ハーディンと、お坊ちゃま男子学生の社交クラブであるフラタニティだなんて、まったく結びつかない。

「ああ。それが何か?」彼はまた一歩近づいてきた。もう、五十センチも離れていない。すこしでも距離を置こうとこちらが後ろに下がると、本棚に背中が当たった。

「驚いたか、テレーサ?」

「テレーサと呼ぶのはやめて」物理的にも追いつめられてしまった。

「だって、きみの名前だろ?」嫌みなことに変わりはないが、さっきより口調が明るい。

ため息とともに彼に背を向けると、こんどは本がずらりと並ぶ壁に正面からぶつかった。とにかく、ハーディンから離れなくては。でないと、彼を平手打ちしてしまう。あるいは泣くかもしれない。きょうは長くて疲れる一日だったから、手が出るより先に涙が出てしまうだろう。そんなことになったら、みっともなさすぎる。

わたしはくるりと体の向きを変え、ハーディンのそばを通り抜けた。

「ステフを置いていくな」そう言われて振り向くと、彼はリング型の口ピアスごと唇を嚙んでいた。いったいなぜ、唇や眉にピアスの穴を開けたのだろう。痛かったにきまってるのに……でも、あのリング型のピアスは彼のふっくらした唇をより魅力的に見せている。

「どうして? あなたとステフは友達じゃないの?」

「確かにな。だけど、おれの部屋には誰も泊まらせない」ハーディンは胸の前で腕を組んだ。おかげで、タトゥーの柄がわかった。前腕のなかほどにあるのは花だ。ハーディンと花? ここからだと白黒の薔薇のように見えるけど、まわりに描かれているもののせいで、繊細な花はどこかダークな雰囲気を醸し出している。

いら立ちのせいで自棄(やけ)になったのか、わたしは大声で笑い飛ばした。「ああ……なるほど。部屋に入れるのは、あなたといちゃつく女子だけってことね?」そう言ったとたん、彼の笑みが深まった。

「あれはおれの部屋じゃない。きみがおれといちゃいちゃしたいなら、申し訳ないが、好みのタイプじゃない」なぜかはわからないけど、ハーディンの言葉に傷ついた。彼だってわたしの好みからはほど遠いけど、本人にそう言おうとは思わないのに。

「あなたって人は……」腹立たしさを表す言葉が見つからず、壁越しに聞こえる音楽が気持ちをさらに逆なでする。

パーティーに来たせいで気まずい思いをさせられ、不愉快な気分で精神的にもぼろぼろ。ハーディンと言い争っても時間の無駄だ。「だったら……あなたがステフを別の部屋へ連れていけばいい。わたしは寮に戻る方法を考えるから」そして、戸口のほうへ向かう。

廊下に出てドアをぴしゃりと閉めると、パーティーの騒音にまぎれてハーディンの嘲るような声が聞こえた。「おやすみ、テレーサ」

 

■もう、大学なんていやだ……

階段の下り口に向かいながら、涙がほほを伝うのを抑えきれなかった。もう、大学なんていやだ—まだ、授業も始まっていないのに。どうして、似たような趣味をもつ人と同室になれなかったのだろう。

いまごろは、月曜に備えて眠っているはずだったのに。こんなパーティーの場にいてはいけないし、ああいうタイプの人たちとつきあうのも性に合わない。ステフのことは好きだけど、こんな騒ぎやハーディンみたいな人間にはうまく対処できない。彼がどういう人間なのか理解できないし、どうして、いつも意地悪な態度をとるのだろう。

でも、つぎに頭に浮かんだのは、壁一面に並ぶ本の数々だった—ほんとうに全部、彼のものだろうか。いや、礼儀も作法も知らないタトゥー男子があんな文学作品に親しんでいるとは思えない。彼が読むものなんて、ビール瓶のラベルぐらいしか思いつかない。

 

次回、バスルームで彼氏に電話するテッサですが、責め立てられるような口調に、なぜか腹が立ってしまいます。そこにハーディンが力任せに入ろうとしてきて……!?

 

【参考】

アナ・トッド(2015)『AFTER 1』(小学館文庫)

 

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