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【連載12:AFTER】なにこれ…真っ黒!? 断れない状況に「取っ替え引っ替え」の話

2016/02/03 21:00  by   | モテる女

英文学の授業で一番仲の良いランドンが実家に帰ってしまったため、隣の席に座ったハーディンと気まずい時間を過ごすはめになったテッサ。しかし、来週の授業が大好きなジェーン・オースティンの『高慢と偏見』と聞き、思わず小さく歓声をあげます(前回)。

授業が終わると、無関心を装うかのような目つきで、ハーディンが近づいてくるのでした。

 

■ハンサムな顔

「きみはミスター・ダーシーの大ファンなんだろう?」

「この小説を読んだ女性なら、みんなそうなるわ」わたしは彼の目を見ずに答えた。交差点にさしかかったので、左右を見てから通りを渡る。

「もちろん、きみはそうだろうよ」ハーディンは声をたてて笑い、人通りの多い歩道を進むわたしについてきた。

「あなたには、ミスター・ダーシーの魅力はわからないでしょうね」ハーディンの部屋にあった小説の膨大なコレクション。あれが彼のものだなんて、うそでしょう?

「礼儀知らずで不愉快きわまりない男がロマンチックなヒーローだって? くだらないね。エリザベスに分別があったら、〝失せやがれ〟と最初から彼に言ったはずだ」

ハーディンの言葉の選び方がおかしくて笑いそうになるのを手でおさえた。他愛のないやりとりや、彼がそばにいるのが楽しいけど、きっと、ひどいことを言われるのも時間の問題だ—あと三分も保てばいいほうだろう。

でも、目をあげると、えくぼを浮かべてほほ笑むハンサムな顔に見とれてしまった。眉や唇のピアスもひっくるめて、何もかもすてきだ。

「じゃあ、エリザベスはばか女だってことはきみも認めるんだな?」ハーディンは片方の眉をつりあげた。

「いいえ。彼女は、いままでの小説で描かれた人物のなかでもっとも芯が強く、複雑なキャラクターだと思う」

またもや笑うハーディンに笑みを誘われる。でも、わたしとまともな会話をしている自分に気づくと、彼は急に真顔になった。瞳をきらりと光らせると「またな、テレーサ」と言い、いま来たばかりの方向へ引き返していった。

いったい、なんなの? 彼の行動を分析しようとする前にスマホが鳴った。画面で点滅するノアの名前になぜか罪悪感を覚えながら、電話に出る。

 

■ボーイフレンドというより、弟?

「やあ、テス。ショートメールを返そうかと思ったんだけど、話せたほうがいいかと思って」早口の声が妙に遠く聞こえた。

「なにしてるの? 忙しそうね」

「そんなことないけど、仲間に会いに食堂へ行く途中」

「そう。じゃあ、早めに切るね。きょうが金曜日でうれしい、やっと週末よ!」

「またパーティーに行くの? きみのお母さんはまだ落胆してる」

ちょっと待って—なぜ、ノアは母に話したの? ふたりが仲よしなのはうれしい。でもときどき、ボーイフレンドというより、わたしの秘密をバラしてしまう弟みたいに感じる。そんなふうに思うのはいやだけど、ほんとうのことだ。

でも、本人に言うのはやめた。「ううん、今週は寮にいる。会えなくてさみしいな」

「ぼくもだよ、テス。じゃあ、あとで電話して。いいね?」

わたしはうなずき、お互いに「愛してる」と何度か言い合ってから電話を切った。

寮の部屋に戻ると、ステフはまたパーティーへ行く準備をしていた。モリーがカフェで話していたやつだろう。わたしはネットフリックス(訳注:オンデマンドの動画配信サービス)にログインして、どれを観ようかタイトルを眺めた。

「ねえ、やっぱりいっしょに行こうよ。今夜は泊まったりしないから。ちょっとだけでいいの。この狭い部屋でひとりで映画を観てるなんて、地獄だよ!」とごねるステフに笑ってしまう。

彼女は逆毛を立てたり、露出のすごく多い緑のドレスにするまで三回も着替えたりしながら、ずっとそんなふうに言っていた。ぱきっとした色が、鮮やかな赤い髪にもよく映えて似合っている。

彼女の大胆さがうらやましい。わたしだって、まったく自信がないわけじゃないけど、同年代の女子に比べたらお尻や胸が大きすぎる。こっちはできるだけ胸を隠すような服を着ようとするのに、ステフはできるだけ注目を集める服を選ぶみたいだ。

「うん、わかってる……」調子を合わせたその瞬間、ノートパソコンの画面が真っ黒になった。パワーボタンを押して再起動してみても……画面は黒いまま。

「ほらね! やっぱりパーティーに行くべきだってサインだよ。あたしのノートパソコンはネイトのアパートメントに置いたままだから、貸してあげられないし」ステフは逆毛をまた立てた。

彼女を見ながら思った。寮の部屋でひとりきり、何をするわけでもなく、映画も観られないなんてつまらない。

「わかった」そう言うと、ステフは両手をたたきながら飛び跳ねた。「でも、真夜中になる前に帰ってくるからね、約束よ」

 

■男を取っ替え引っ替え!?

わたしはパジャマを脱いで、この前買ったばかりのジーンズをはいた。いつものよりすこしタイトだけど、いまは洗濯物がたまっていて、これしかない。シャツは、肩にレースのついた黒の袖なしのシンプルなものにした。

「ワーオ、きょうの服装はすっごくいいねえ」とステフが言う。にっこりすると、またアイライナーを差し出してきた。

「きょうはいらない」泣いたせいでパンダ目になったことを思い出す。なんで、あのフラタニティハウスにまた行ってもいいなんて言っちゃったんだろう。

「あっそう。ネイトの代わりにモリーが車で拾ってくれるから。もうすぐ着くってメッセージがあった」

「彼女、わたしのこと好きじゃないと思う」鏡でチェックしながら、わたしは言った。

ステフが首を傾げる。「はあ? そんなことないよ。彼女はちょっとビッチで、正直すぎるときがあるだけ。それに、あなたにちょっとビビってるんだってば」

「ビビってる? 彼女がわたしに? まさか!」わたしは笑ってしまった。ステフは完璧に取り違えてる。

「だって、あなたはあたしたちと違いすぎるから」彼女はにっと笑った。それはわかってる。でも、“違ってる”のは彼女たちのほうだ。「だけど、モリーを気にする必要なんてないよ。今夜はほかのことで頭がいっぱいだから」

「ほかのことって、ハーディン?」考えるより先に言葉が出てしまった。しらばっくれて鏡を見続けたものの、ステフが片方の眉をつりあげているのが目に入る。

「ううん、たぶんゼッド。モリーは毎週、男を取っ替え引っ替えするの」

友達をそんなふうに言うなんてひどい。でも、ステフは笑顔のまま、髪のトップ部分を直していた。

「モリーは、ハーディンとつき合ってるんじゃないの?」ベッドの上でいちゃついていたふたりの姿が頭に浮かぶ。

「あり得ないよ。ハーディンはつき合ったりなんかしない。いろんな女子と寝るけど、デートは誰ともしないの。絶対に」

「なるほど……」わたしはそう答えるしかなかった。

 

次回、またもやパーティーに着てしまったテッサを待ち受けていたのは<真実か挑戦か>ゲーム! かたくなに参加を拒むテッサだが、ハーディンにからかわれ……!?

 

【参考】

アナ・トッド(2015)『AFTER 1』(小学館文庫)

 

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