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【連載14:AFTER】キスして!「ダメよボーイフレンドがいるから…」危険な挑戦ゲーム

2016/02/05 21:00  by   | モテる女

パーティーに来たテッサは、ハーディンにからかわれ、<真実か挑戦か>ゲームをすることに……。まわりがキスしたり、一気飲みしたり、服を脱いだり「挑戦」する中、テッサは「まだ処女です」と「真実」を告白します。

このように、「真実」を選択すれば、質問に正直に答えるだけで済むゲームなのですが、またもやハーディンにからかわれ、ついにテッサは「挑戦する」と言ってしまうのです(前回)。

 

■ハーディン、テッサにキスして!

「じゃあ……テッサ、きみには……ウォッカをワンショット飲んでもらおうか」トリスタンはほほ笑んだ。

「わたし、お酒は飲まないの」

「それが、このゲームの肝(きも)なんだよ」

「いや、やりたくないなら……」とネイトが言いかける。ハーディンとモリーをちらっと見ると、わたしをばかにしているのか、ふたりで笑っていた。

「いいわ、ワンショットね」ハーディンにはまたしても見下したような顔をされるものと思っていたら、むしろ怪訝(けげん)な表情でこちらを見ている。

透明なウォッカの入った瓶を渡された。瓶の口に鼻をつけてしまい、強烈なにおいにむせそうになる。くすくす笑われるのを無視して、わたしは鼻をつまんだ。これまで何人の人間が直飲みしたのか……そんなことは考えずにひと飲みすると、熱く焼けるような感覚がのどを通っていく。なんとか吐かずにすんだけど、ひどい味だ。

みんな手をたたいて笑っている─でも、ハーディンだけは違った。彼がどんな人間か知らなかったら、怒っているのか、がっかりしているのだと勘違いしていただろう。とにかく、彼は変わってる。

すこし経つと、ほほがほてってきた。それから挑戦でウォッカを飲むたび、体内を回るアルコールの量が増えていった。はやし立てられて飲んでいるうちに、くつろいでいい気分になってきた。そう思うと、すべてが楽になったような気がする。まわりにいる人たちも、前より楽しい仲間に思えてきた。

「さっきと同じ“挑戦”を」ゼッドが笑いながひと口飲んで、瓶を回してきた。これで五回目だ。みんながどんな真実や挑戦をやってきたのか、記憶にない。思いきってふた口飲むと、瓶をひったくられた。

「もう十分だろ」ハーディンが瓶を渡すと、ネイトがひと口飲んだ。

ハーディン・スコットは何様のつもり? みんながまだ飲んでるんだから、わたしだっていいはずだ。ウォッカの瓶をネイトから奪ってまた飲んだ。口をつける前に、ハーディンのほうを向いてにやりと笑ってみせる。

「いままで酒を飲んだことがないなんて信じられないよ、テッサ。楽しいだろ?」ゼッドに言われて、わたしはくすくす笑った。無責任な行動をするなと母に言われたのを思い出したけど、もう気にしない。たったひと晩のことだもの。

「ハーディン、真実か挑戦か?」モリーが尋ねる。彼はもちろん「挑戦」と答えた。

「じゃあ、テッサにキスして」彼女は心にもない笑顔を見せた。

ハーディンが目を丸くする。アルコールのおかげで何もかも刺激的だったけど、わたしは彼から逃げたくなった。

「だめよ、ボーイフレンドがいるから」そう言うと、みんながどっと笑った。今夜は何百回笑われただろう。なんで、わたしをばかにして笑う人たちといっしょにいるの?

「だから何? ただのゲームだよ。さっさとして」モリーがプレッシャーをかけてくる。

「やだ、誰ともキスなんかしない」わたしは立ちあがった。ハーディンはこちらも見ずに、カップの中身を口にした。気分を害したのだろうか。だとしても、もうどうでもいい。こんなふうに彼とかかわり合うのはうんざりだ。彼はわたしを嫌ってるし、とにかく失礼すぎる。

立ちあがると、アルコールの影響がもろに来た。ちょっとよろけたものの、みんなの輪からなんとか離れる。人ごみを抜けて玄関から外へ出ると、秋風が吹いてきた。

 

■ノアはハーディンよりもひどい……?

目を閉じて新鮮な空気を吸ってから、いまやおなじみとなった石壁に座る。自分でも気づかぬうちにスマホを手にして、ノアに電話をかけていた。

「もしもし」懐かしい声がウォッカの回った頭に響き、よけいに彼が恋しくなる。

「もしもし……元気?」わたしは膝を胸に抱えた。

一瞬の沈黙。「テッサ、酔っぱらってるの?」正面から批判するような声。やっぱり、電話なんかするんじゃなかった。

「ううん……もちろん違うわ」うそをついて電話を切り、電源をオフにする。かけ直してほしくない。ウォッカでいい気分になっていたのに、ノアのせいで台無しだ。ハーディンにされたことよりずっとひどい。

酔っぱらった男子学生の下品な言葉や口笛を無視しながら、わたしは千鳥足でなかへ戻った。茶色の液体の入った瓶をキッチンのカウンターから取り、ひと口大きくあおる。ウォッカよりまずくて、のどが焼けそうだ。

口直しがほしくて、なんでもいいからカップを探した。結局、キャビネットのなかからガラスのコップを出して、シンクで水を汲んで飲んだけど、すこしはましになったという程度だった。人ごみのすきまから向こうをのぞくと、“友人たち”が車座のまま、あのばかげたゲームをやっていた。

ほんとうに、わたしの友達? とてもそうは思えない。彼らは世間知らずをばかにして笑いたいだけだ。わたしにキスしろとハーディンに言うなんて、モリーはよくも—ボーイフレンドがいるのを知っているくせに。

彼女と違って、わたしは誰とでもいちゃいちゃするタイプじゃない。いままでにキスした男子はノアと、そばかす顔のジョニーだけ—彼は三年生のときの同級生で、キスしたあとにすねを蹴られたっけ。

ハーディンは、言われたとおりキスするつもりだった? まさか、そんなのあり得ない。ふっくら薄桃色をしたあの唇……キスしようと顔を近づけてくるハーディンの姿を想像して、やけに脈が速くなる。

いったい、どういうこと? なぜ、そんなふうに彼のことを考えているの? もう、二度とお酒なんか飲まない。

数分後、部屋がぐるぐる回って気持ち悪くなってきた。気づくと、自然と二階のバスルームへ行って便器の前に座っていた。すぐにも吐くと思ったのに、何も出てこない。わたしはうめき声とともに立ちあがった。寮に戻るつもりだったが、ステフがその気になるまで何時間もかかるだろう。やっぱり、ここには来るべきじゃなかった。

自分をとめる間もなく、この大きすぎるフラタニティハウスのなかで唯一知っている部屋—ハーディンの寝室—のドアノブを回すと、なんの問題もなく開いた。いつも鍵をかけていると彼は言っていたのに。前に入ったときと変わらないようだが、部屋全体が動いているみたいに足元がおぼつかない。

『嵐が丘』は棚にはなく、ベッド脇のテーブルの上に『高慢と偏見』といっしょに並べてあった。わたしは、ハーディンが授業で言ったことを思い出した。まちがいなく、彼はこの小説を読んだことがある—しかも、ちゃんと内容を理解している—この年代の男子にはすごく珍しいことだ。

たぶん、授業の課題で前に読んだのかもしれない。でも、なぜ『嵐が丘』がここに? わたしは本を取りあげてベッドに座り、ページを繰った。文字を追ううち、部屋がぐるぐる回っていたのがとまる。

キャサリンとヒースクリフの世界にすっかり入りこんでいたせいで、ドアが開く音も聞こえなかった。

 

次回、自分の部屋に勝手に入られ「出ていけ!」と怒鳴るハーディンに、ウォッカで酔ったテッサが反撃を開始します。「なぜ、わたしを好きになってくれないの?」

 

【参考】

アナ・トッド(2015)『AFTER 1』(小学館文庫)

 

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