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【連載16:AFTER】ヤダ放してよ!「またしても帰れない状況」で腕が伸びてきて…

2016/02/07 21:00  by   | モテる女

【連載16:AFTER】ヤダ放してよ!「またしても帰れない状況」で腕が伸びてきて…

ウォッカに酔っぱらい、寝室に勝手に入り込んだテッサに、ハーディンは「出ていけ!」と激怒しますが、気が大きくなっているテッサは、「なぜ、わたしのことを好きになってくれないの?」と逆に問い詰めます。

ひどい言い争いにまた涙を流してしまったテッサは、部屋から出ようとしますが、具合が悪くなり、ハーディンから看病されることに……(前回)。少しの沈黙の後、ハーディンが口を開きます。

「質問してもいいか?」

 

■水入りのコップを投げつける……!

「大学を出たら、何をしたい?」

わたしは、これまでとは違った目でハーディンを見た。こんな質問をされるとは思ってもみなかった。どうしてまだバージンなのか、なぜお酒を飲まないのか、とかそんなことだと思いこんでいたのだ。

「作家になるか、出版社に勤められたらいいな。どちらでも実現するのが早いほう」

ハーディンに対して正直に答えてはいけなかったかもしれない。どうせ、ばかにして笑われるだけだ。でも、何も言い返されなかったので、思いきって同じ質問をしてみたが、彼はあきれた顔をするばかりで答えてくれなかった。

しばらくして、無駄だろうと思いつつ質問した。「ここにあるのは、あなたの本?」

「そうだ」ハーディンはつぶやいた。

「いちばん好きな本はどれ?」

「そういう質問には答えない」

わたしはため息をつき、ジーンズの小さなほつれをいじった。

「きみがまたパーティーに来たのを、ミスター・ロジャースは知ってるのか?」

「ミスター・ロジャース?」わたしはハーディンの顔を見上げた。子ども向けの教育番組に出てくる、有名なあのおじさんのこと?

「きみのボーイフレンドさ。あんな間抜けなやつ、見たことない」

「そんなふうに言うのはやめて。彼は……思いやりのある善い人よ」どもったのをハーディンに笑われて、わたしは立ちあがった。ノアのことなんて知らないくせに。

「あなたが、彼みたいな思いやりのある善い人になるなんて、夢のまた夢だわ」

「思いやりのある善い人? ボーイフレンドを言い表すのに、そんな言葉しか出てこないのか? “善い人”だなんて、退屈なやつって遠回しに言うのと同じだ」

「あなたはノアを知らないくせに」

「ふん、おもしろみのないやつだってことは知ってる。カーディガンとローファーを見ただけでわかるね」頭をのけぞらせて笑うハーディン。彼のえくぼに、わたしの目は吸い寄せられた。

「ノアはローファーなんて履かない」そう言ったものの、口元を手で隠さなければならなかった。彼をだしにして、ハーディンと笑いそうになったからだ。わたしはカップを取り、もうひと口、水を飲んだ。

「二年もつき合ってるのに、まだきみと寝てないってことは、やつはがちがちの堅物ってことだよ」

飲みかけた水を吹き出しそうになる。「いま、なんて言ったの?」せっかく仲良くなれると思ったのに、ひどい。

「聞こえただろ、テレーサ」彼は意地悪く笑った。

「あなたって最低」うなるように言って、半分空になったカップを投げつける。彼は思ったとおりの反応を示した。思いもよらぬ攻撃にショックを受けている。彼が顔を拭いているすきに、わたしは本棚を支えにして立ちあがった。

何冊か本が床に落ちたけど、無視して部屋を飛び出る。転びそうになりながら一階へ下り、人ごみをかきわけてキッチンへ行く。怒りが吐き気にまさった。いまはとにかく、ハーディンの意地悪な笑顔を頭から振り払いたい。

 

■ゼッドに肩を抱かれて……!?

別の部屋に集まっている人たちのあいだにゼッドの黒髪を見つけたので行ってみると、彼はハンサムなお坊ちゃんタイプと座っていた。

「よう、テッサ。こいつ、おれの友達のローガン」とゼッドが紹介してくれた。

ローガンは笑顔になり、持っていた瓶を差し出してきた。「飲む?」焼けるような感覚が心地いい。体にまた火がついたようになり、わたしは一瞬、ハーディンのことを忘れた。

「ねえ、ステフを見なかった?」

ゼッドは首を横に振った。「トリスタンといっしょに帰ったんじゃないかな」

帰った? いったいどういうこと? もっとよく気をつけておくべきだったのに、ウォッカのせいで判断力が鈍ってしまった。でも、ステフとトリスタンはお似合いのカップルだ。さらに二、三度、ぐいと酒をあおると、なんだかいい気分になった。

だからみんな、始終お酒を飲むのだろう。今後、いっさいのアルコールを断つとついさっき誓ったのをぼんやり思い出した。でも、酔っぱらうのはそれほど悪いことでもなかった。

十五分後、ゼッドとローガンのせいで笑い過ぎてお腹が痛くなった。ハーディンなんかよりずっと楽しい人たちだ。「ハーディンってほんと、いやなやつね」わたしの言葉にふたりともにんまりする。

「ああ、たしかに」ゼッドが腕をわたしの体に回してきた。押しのけたいけど、ぎこちないところは見せたくない。彼にそんなつもりがないのはわかっていたからだ。やがて、人がだんだん少なくなり、わたしもなんだか帰りたくなってきたが、寮に戻る手段がないことを思い出した。

「バスって、ひと晩じゅう走ってる?」回らない口でなんとか尋ねると、ゼッドは肩をすくめた。ちょうどそのとき、ハーディンのくしゃくしゃの髪が目の前に現れた。

「ゼッドとよろしくやることにしたのか?」よくわからない感情がにじむ声。

立ちあがって押しのけようとすると、腕をつかまれた。彼には遠慮ってものがない。

「放してよ」また顔に投げつけてやるカップを探しながら、わたしは言った。「バスがあるかどうか、きいてただけなんだから」

「落ち着け……もう、午前三時。バスなんか走ってない。いきなり大酒飲みになったせいで、またしても帰れなくなったな」きらりと光る瞳がいかにもばかにしているようで、平手打ちしてやりたくなる。「もっとも、ゼッドといっしょに帰るつもりなら話は別だが……」

ハーディンが腕を放したので、わたしはすぐにゼッドとローガンの座っているソファへ戻った。それが彼をいらいらさせるとわかっていたからだ。彼は立ったまましばらくうなずいていたかと思うと、むっとしてどこかへ行った。わたしは先週末と同じ部屋が空いていることを祈りながら、二階へ部屋を探しに行こうとゼッドに言った。

 

次回、テッサは休んでいる部屋で、酔っている男子に襲われてしまいます! 「乱暴するつもりはない—ふたりでちょっと楽しもうぜ」はたして、テッサは逃げられるのでしょうか……!?

 

【参考】

アナ・トッド(2015)『AFTER 1』(小学館文庫)

 

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