> > 【連載22:AFTER】両手首をつかまれて…!彼と壁の間に閉じ込められ「危ないキス」

おすすめ記事一覧

【連載22:AFTER】両手首をつかまれて…!彼と壁の間に閉じ込められ「危ないキス」

2016/02/13 21:00  by   | モテる女

燃え上がるようなハーディンとのキス、そして、何も感じなかったノアとのキス……。テッサの波乱だらけの週末は終わり、また新しい1週間がはじまりました。楽しみにしていた英文学の授業では、気の合う友達ライドンから、ハーディンの父親と彼の母親が交際していることを聞かされます(前回)。

 

■ノアへの愛情

寮の部屋に戻ると、ステフはいなかった。彼女の授業はわたしより二時間ほど遅く終わるからだ。教科書やノートを広げて勉強しようとしたが、ノアに電話することにした。でも結局、彼は出なかった。

彼もいっしょに進学できればよかったのに。そうすれば、こんな面倒なことにはならず、ふたりで楽しく過ごせた。いまだって、いっしょに勉強したり、映画を観たりできたのに。

でも、こんなふうに思うのはハーディンにキスした罪悪感のせいだ—あんなに穏やかでいい人を裏切るなんて。ノアがそばにいてくれて、わたしはすごく恵まれているのに。いつだって支えてくれて、わたしのことを誰よりも理解してくれる。きょうだい同然に育ってきた存在だ。

同じ通りに彼の一家が引っ越してきたときは、同年代の遊び仲間ができたのがうれしかった。ノアと親しくなり、わたしと似たような落ち着いた考え方をする人だとわかってからは、どんどんひかれていった。読書をしたり映画を観たり、うちの裏庭の温室で植物を育てたりして過ごした。

いつだって、温室は安全な隠れ場所だった。父がお酒を飲むと、わたしは必ずそこに隠れたものだが、それを知っているのはノアだけだった。父が出ていった夜はほんとうに恐ろしかった。

母はいまも、それについては語ろうとしない。ひと言でも触れたら、自分の作り出したうわべだけの生活が壊れると思っている。でもわたしは、あの夜のことを母と話し合いたい。お酒を浴びるように飲んだり母に乱暴したりしたのは許せないけど、心の底ではやはり、父親にそばにいてほしかった。

あの夜、怒鳴り散らして暴れる父を避けて温室に隠れながら、わたしはキッチンでガラスが割れる音を聞いていた。それが静まると、こんどは足音がした。父かと思って震えていたら、やってきたのはノアだった。誰かの無事な姿を見て、あんなにほっとしたことはない。

あれ以来、わたしたちは切っても切れない仲になった。年月が経つにつれて、友情はそれ以上のものに変わり、ふたりとも、ほかの誰かとつき合ったことなどなかった。

愛してるとノアにメールしてから、勉強の前に仮眠をとることにした。スケジュール帳を見て、課題を確認する。二十分ぐらいなら、寝てもかまわないはずだ。

でも、横になって十分もたたないうちにドアをノックする音がした。ステフが鍵でも忘れたのだろう。意識朦朧としながらドアを開ける。

 

■両手首をつかまれて……!

そこにいたのはステフではなく、ハーディンだった。

「ステフはまだ戻ってきてないけど」ドアを開けたままベッドに戻る。彼がわざわざノックしたなんて意外だ。ステフから合鍵を渡されているくせに。この件に関しても、彼女と話をしなくては。

「かまわない。待たせてもらう」ハーディンはステフのベッドに座りこんだ。

「どうぞ、ご勝手に」彼がくすくす笑うのを無視して、毛布をひっかぶって目を閉じる。というか、無視しようとして。ハーディンが同じ部屋にいると知りながら、眠れるわけがないけど、失礼な言葉の応酬でまた気まずい状況になるより、寝たふりのほうがましだ。

しかし、彼がステフのベッドのヘッドボードをこつこつたたくのを無視しようとしているうちに、目覚ましが鳴った。

「どこか行くのか?」

ハーディンの質問に思わずイラッとする。「いいえ、二十分だけ仮眠していたの」と答えて体を起こした。

「寝すごしたりしないよう、昼寝でも目覚ましをかけるのか?」

「ええ、そうよ。あなたに関係ある?」教科書を授業の時間割に従って並べ、その上にノートをのせていく。

「強迫神経症とか?」

「いいえ。物事を順番どおりに並べたがるというだけで、その人がおかしいわけじゃない。きちんとした考え方や計画的な行動をするのは、何も悪くないと思うけど」

もちろん、ハーディンはげらげら笑った。見てはだめだと思いながらも、ベッドから飛び起きてくる様子が目の端にちらと入る。

お願いだから、こっちに来ないで。来ないでったら……。

つぎの瞬間、ベッドに座るわたしを見下ろすようにして彼は立っていた。文学のクラスのルーズリーフの束をつかみ、古代の遺物でも眺めるかのようにぱらぱらめくる。

取り返そうと手を伸ばすと—ほんっとむかつく—彼は腕をさっと上げた。わたしは立って取り返そうとしたけど、ルーズリーフは放り投げられて、床にばさばさと落ちてしまった。

「拾ってよ!」

ハーディンはにやにやしながら「はいはい」と言ったくせに、こんどは社会学のルーズリーフをつかんで同じことをした。踏まれる前にあわてて拾いあげたが、彼はひとりでおかしがっている。

「ハーディン、やめて!」わたしは、つぎの束をつかんで同じように繰り返す彼を怒鳴りつけた。激しい怒りとともに立ちあがり、ベッドから彼を押しのける。

「自分のものを勝手にいじられるのが嫌いってわけか?」ハーディンはなおもけらけら笑いながら尋ねてきた。

「嫌い!」怒鳴り散らして、ふたたびハーディンを押しのける。でも逆に、彼に両手首をつかまれて壁に押しつけられた。顔がすぐ近くまできた瞬間、自分がひどく荒い息遣いをしているのに気づいた。

触らないでと叫びたかった。手を離して、教科書やノートを元に戻して、と。彼に平手打ちをして、ここから追い出したい。なのに、わたしは壁際で身動きもできず、こちらを見据える緑色の瞳に心を奪われていた。

「ハーディン、お願い」ようやく言ったものの、ささやくような声にしかならない。放してほしいのか、キスしてほしいのかもわからず、走ったあとのような息遣いはおさまらないままだ。

ハーディンも、胸を大きく上下させている。数秒が数時間にも感じられたのち、彼はようやく片手を離したが、もういっぽうの手はまだ、わたしの両手首をつかんでいた。

一瞬、ぶたれるのかと思ったが、ハーディンはわたしのほほに手をすべらせて、髪を耳にかけた。唇が重ねられたとき、彼の心臓の脈打つ音が聞こえたような気がした—そして、体じゅうを熱いものがちりちり駆け巡った。

これこそ、土曜の夜からずっと求めていたものだ。これから先、たったひとつのことしか覚えていられないというなら、この瞬間であってほしい。

わたしはなぜ、ハーディンにまたキスしているのだろう。それに、あとでどんなひどい言葉をぶつけられるか……そんなことは考えない。手首を放した彼と壁のあいだに閉じこめられて、ミントの香りがする舌を味わうこと。

いまは、それだけに意識を集中させたい。彼に合わせて舌を動かし、広い肩に両手をすべらせる。腿の裏をつかまれて体を持ち上げられた瞬間、反射的に両脚を彼の腰に巻きつけた。どう反応すればいいのか、本能的に知っているなんて。指をハーディンの髪に梳きいれてそっとひっぱっていると、彼は唇を重ねたままベッドへ歩いていった。

 

「ヤバすぎる、テッサ」。次回、ハーディンとの濃厚なキス現場にステフが入ってきて…!?

 

【参考】

アナ・トッド(2015)『AFTER 1』(小学館文庫)

 

【関連記事】

これで一気読み!連載小説『AFTER』目次ページ

※ ヤダ…大興奮?「愛する彼氏がいても」恋に堕ちちゃう危険なキス

※ 【連載1:AFTER】すべて計画通り!「人生でもっとも大切な日」にオールAの彼氏

※ 【連載2:AFTER】え…なんで男子生徒が!? 「信じられないルームメイト」に大混乱

【連載3:AFTER】うそ…もしかして!? 悲劇「男女共同シャワー」で濡れちゃった

 

【姉妹サイト】

※ 休み明けのダラダラ脳に!「ヤル気スイッチ」を一瞬で押す魔法テク3つ

※ 2位紗栄子よりムカつく!最新版「イラッとするママタレ」1位は

AFTER(1) [ アナ・トッド ]

AFTER(1) [ アナ・トッド ]
価格:626円(税込、送料込)

あわせて読みたい


最新の記事一覧

'Menjoy!編集部'の過去記事一覧