【連載24:AFTER】「逃げられると思うのか!」ダメ…クラスメイトに全部バレちゃう

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部屋でハーディンと熱いキスをしていたテッサでしたが、そこにルームメイトのステフが戻ってきて、すべてを見られてしまいます。面白がり詮索するステフを背に、ハーディンは部屋から出ていきましたが、残されたテッサはステフとハーディンについて語り合います(前回)。

 

■ハーディンの本性?

「でも、ハーディンが意地悪でやってたり、女子を利用してるわけじゃないよ。女子のほうから、関心を引こうとして行っちゃうの。それに彼は、誰ともつき合わないことを最初からはっきり言ってるし」その話は、前にもステフがしてくれた。でも、ハーディンがわたしにそう言ったわけじゃない……。

「誰ともつき合わないのはなぜ?」

「あたしにもよくわかんない……ねえ」ステフは心配そうな声で言った。「ハーディンとは楽しく過ごせるかもしれないけど、あなたにとっては命取りになるかも。彼に対してはどんな感情も持たないって決めたら、話は別だけど。あたしなら距離を置くね。彼にのぼせて修羅場になっちゃった女子を、おおぜい見てきたからさ」

「ああ、心配しないで、彼のことはなんとも思ってないから。自分でも何を考えてたのかわからない」わたしは笑った。本心でそう言っているように聞こえればいいけど。

ステフはうなずいた。「あ、そう。ところで、ママとノアから、どれだけうるさいことを言われたの?」

彼女とはもうつき合わないよう約束させられた部分は省いて、母のお説教を洗いざらい白状した。その夜は、ステフといろんな話をした。授業やトリスタンのこと、それに、とにかくハーディン以外の話題をわたしは必死で考え続けた。

 

■授業で大ゲンカ

翌日、授業の前にカフェでランドンと会って社会学のノートのつき合わせをした。

ハーディンにぐちゃぐちゃにされたルーズリーフの束を一時間もかけて元どおりにしたことを報告したかったけど、わたしがいけない子だと思われるのはいやだ。

ランドンのお母さんとハーディンのお父さんがつき合っていると知ってしまったいまは、特に。彼はハーディンについてもいろいろ知っているだろうから、変な質問をしないよう気をつけなくては。もっとも、ハーディンが何をしようとわたしには関係ないことだけど。

あっという間に文学の授業の時間になった。いつものようにハーディンは隣の席に座っていたが、きょうは全然こちらを見ようとしない。

「『高慢と偏見』を取りあげるのは、きょうで最後だ」と教授が言う。「みんな楽しんでくれたかな。全員が結末を知っているはずだから、オースティンの伏線の張り方について話し合ってみよう。一読者として、ダーシーと彼女が最後に結ばれると思ったかね?」

何人かが小声で話したり、簡単に答えが見つかるのを期待して本をぱらぱらめくる。

でも手を挙げたのは、いつものようにわたしとランドンだけだった。

「では、ミス・ヤング」と教授に呼ばれた。

「初めて読んだときは、ふたりが最終的に結ばれるのかどうか、どきどきしました。すくなくとも十回は読んだいまでも、ふたりの関係が始まるころははらはらします。

ミスター・ダーシーは思いやりがなく、エリザベスと家族について嫌みなことばかり言うので、彼女が彼を愛するどころか、許せるとも思えませんでした」ランドンがうなずいたので、わたしはほほ笑んだ。

「くだらないね」と沈黙を破る声。ハーディンだ。

「ミスター・スコット? 何かつけ加えたいことがあるのかい?」教授は、ハーディンがディスカッションに参加してきたことに驚いている。

「ええ。くだらないって言ったんです。女は、自分にはないものを欲しがる。エリザベスはミスター・ダーシーの失礼な態度にこそ強くひかれた。だから、ふたりが最後にくっつくのはわかりきったことだ」ハーディンは言い終えると、爪先をいじり始めた。ディスカッションにはなんの興味もないと言いたげだ。

「それは違う。女が自分にないものを欲しがるだなんて。ミスター・ダーシーが意地悪な態度をとったのは、プライドが高すぎて彼女を愛していると認められなかったからでしょ。彼が不愉快なふるまいをやめたら、エリザベスも彼に愛されているとわかったんだもの」思っていたよりずっと大きな声でわたしは反論した。

教室を見回すと、クラスの全員がわたしとハーディンを見ていた。

ハーディンも感情をぶちまけた。「どんな男がきみの好みか知らないが、男が女を愛したら、意地悪な態度なんか絶対にとらない。ダーシーが彼女の手をとってプロポーズするはめになったのは、彼女が彼の気を引こうとするのをやめなかったからだろ」強い調子で言われて胸が重くなる。でも、これでハーディンの本心がわかった。

「彼女はダーシーの気を引こうだなんてしてない! 彼は彼女の感情をいいように操り、自分が親切な人間だと思いこませて弱みにつけこんだのよ!」わたしが叫ぶと、教室内は文字どおり静まり返った。ハーディンの顔は怒りで真っ赤。わたしもきっと、同じような表情をしているはずだ。

「彼が彼女の感情を操った? もう一度言ってみろ。あの女は……退屈な人生に飽き飽きして刺激を求めていた—彼の気を引こうとして体を投げ出したんだ!」ハーディンは机の端をつかみながら怒鳴り返してきた。

「どんな女子とも寝るろくでなしじゃなかったら、彼女の部屋に現れるのも一度きりにしたはずよね!」そう言ったつぎの瞬間、わたしとハーディンが互いのことを暴露してしまったのに気づいた。クラスメイトは驚いて息をのんだり、にやにやしている。

「ふむ、なかなか刺激的なディスカッションだったね。きょうのトピックに関してはいろいろな意見が出たようで……」教授が話し始めたのも聞かず、わたしはバッグをつかんで教室から走り出た。

 

■もうつき合いきれない!

通路に出ると、うしろからハーディンの怒声が聞こえてきた。「逃げられると思うのか、テレーサ!」

建物の外に出て芝生を横切り、ブロックの角まで来たところで腕をつかまれたが、わたしはそれを振り払った。

「どうして、いつもそんなふうに触るの? こんど腕をつかんだら、平手打ちを覚悟するのね!」強い調子に自分でも驚いたけど、ハーディンのたわごとにはもううんざりだった。

また腕をつかまれたが、言ったばかりの脅し文句を実行することはできなかった。

「なんなの? わたしが必死すぎるって言いたいの? 懲りもせずにあなたに苦しめられてるばかさ加減を笑いたい?

こっちだって、こんなゲームにはうんざり—もう降りるから。わたしには大事にしてくれるボーイフレンドがいるのに、ちょっかい出してこないで。

そんなふうに気分が激しく変動するのは病気よ、医者に診てもらって薬を出してもらえばいい! もう、あなたにはつき合いきれない。

ちょっと感じよくふるまったかと思えば、つぎの瞬間には憎たらしいことを言う。もう関わりたくないの。ゲームをしたいなら、別のターゲットを見つけてくれない? わたしはもう疲れたんだってば!」

「おれはほんとうに、きみの最悪の部分を引きだすんだな」

 

「おれのことを考えると、あそこがうずくだろう……?」次回、ハーディンの毒牙にかかったテッサは、無防備に丸裸にされていく自分に気付きつつも逃れる術はなく……。

 

【参考】

アナ・トッド(2015)『AFTER 1』(小学館文庫)

 

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