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【連載26:AFTER】もう逃げられない!「ふたりで楽しいこと…」しかけられたアラーム

2016/02/17 21:00  by   | モテる女

授業中に言い合いとなり、飛び出したテッサを追いかけたハーディン。人だかりを離れ、建物と建物の間にテッサを連れ込みます。

「おれのことを思うと……ほら、あそこがうずく。そうだろう、テレーサ?」

否定したいけど図星をつかれたテッサは、だんだんと正直にハーディンと話しはじめるのです……(前回)。

 

■地獄に堕ちたって認めない!

「っていうか……きみのルームメイトはおれの親友だから、どうしたって顔を合わせることになる。友達になる努力をすべきだと思うよ」

なぜか、がっかりという気持ちがわいてくる。でも、これこそ求めていたもののはずだ。ハーディンにキスをして、ノアを裏切るわけにはいかない。

「オーケー。じゃあ、友達ね?」沈んだ気持ちを押えこむ。

「友達だ」彼は握手しようと手を差し出してきた。

「でも、“都合のいいお友達”はお断りですからね」握手しながら念を押したものの、ほほが赤くなる。

ハーディンはくすくす笑いながら眉ピアスをいじった。「なぜ、そんなことを言う?」

「知ってるくせに。ステフに聞いたんだから」

「はあ? 彼女とおれのことか?」

「それだけじゃない。ほかの女子とのことも全部」笑い飛ばそうとしたのに、咳払いみたいにしか聞こえなかったので、ごまかすためにわざとらしく咳をした。

ハーディンが眉をつりあげる。「おれとステフのことか……なかなか楽しかったよ」なにか思い出すようにほほ笑む彼を見て、わたしはのどにこみ上げる苦いものを抑えた。

「たしかに、一発やるだけの女子はたくさんいる。でも、“友達”のきみが気にする必要はない。そうだろ?」

彼は平気なようだけど、わたしにはショックだった。ほかの女子と寝ていると打ち明けられても、気になるはずなどないのに……。彼はわたしのものじゃない。ボーイフレンドはノア。ノアだ。自分自身に何度も言い聞かせる。

「ええ、もちろん。ただ、わたしもそのひとりになると勘違いしてほしくないだけ」

「ああ…… 妬(や)いてるのか、テレーサ?」と言ってからかう彼を、わたしは小突いた。

そんなの、地獄に堕ちたって認めるわけにはいかない。

「そんなことあるわけないでしょ。その女子たちを気の毒に思うけどね」

ハーディンはおどけて眉をつりあげた。「いや、その必要はない。間違いなく、彼女たちだって楽しんでた」

「はいはい、わかりました。お願いだから、話題を変えない?」ため息とともに顔を上げて、空を見る。おおぜいの女子がハーディンに群がるイメージを頭から振り払わなくては。「これからは、感じよく接してくれるんでしょう?」

「もちろん。きみのほうこそ、ねちねち文句を垂れるようなことはやめるんだよな?」

遠くの雲を見ながら、わたしは答えた。「ねちねち文句なんて言ってない。あなたのほうが、わたしを怒らせるようなことをするのに」

ハーディンを見て笑うと、彼もほほをゆるめた。怒鳴り合うのに比べたら、ずっとましだ。

 

■猫をいじめたり、建物に放火したり

大きな問題—わたしが彼に特別な感情を抱いているかどうかもはっきりしないということ—が解決したわけではない。でも、彼がわたしにキスするのをとにかくとめられれば、わたしもノアに気持ちを戻すことができるはずだ。

「おいおい、おれたち仲良く笑ってるぜ」失礼な発言をしないなら、ハーディンのアクセントもかわいい。

うそばっかり。失礼なことを言われるときだって、かわいく聞こえてしまう。でも、こんなふうに優しい口調だと、ビロードでほほを撫でられているみたい。言葉が舌を転がり、薄桃色の唇からこぼれ出て……だめ、彼の唇のことなんて考えちゃだめだってば。わたしはハーディンの顔から目をそらし、スカートを手ではらいながら立ちあがった。

「そのスカート、ほんとにひどいな、テス。おれと友達づき合いをするなら、それはもう着るな」

一瞬傷ついたけど、彼はにっと笑っていた。。こういうふうに冗談を言う人なのだ。

無礼なことに変わりはないけど、いつもの悪意むきだしの発言とはちょっと違う。

スマホのアラームが鳴った。「部屋に戻って勉強しなくちゃ」

「勉強するのにアラームをセットするのか?」

「いろんなことにアラームをセットするけど? それがわたしのやり方なの」

「じゃあ、明日の授業が終わったらふたりで何か楽しいことをする、というアラームをセットしてくれ」

これは誰? ほんとのハーディンはどこ?

「わたしの考える“楽しいこと”は、あなたのとは違うと思うけど」そもそも、ハーディンにとって“楽しいこと”ってなに?

「そうだな……猫をいじめたり、建物に放火したり……」

話がそれたのにほっとして笑っていると、彼も笑顔を向けてくれた。

「いまのは冗談だけど、きみにはお楽しみが必要だ。せっかく友達になったんだから、いっしょに楽しいことをすべきだな」

ハーディンとふたりきりになっていいものだろうか。答える前に一瞬、考えてしまったが、返事をする前に、彼はくるりと背を向けて歩き出した。「よし、誘いに乗ってくれてうれしいよ。じゃ、また明日」

そして、彼は行ってしまった。

わたしは無言のまま、歩道の縁に座りこんだ。いまさっきの会話のせいで頭がくらくらする。まず、ハーディンはセックスしようと持ちかけてきて、どれほどの快感を与えてもらえるか知らないくせにと言ってわたしを侮辱した。

そのわずか数分後、これからは優しく接するよう努力すると言った。それからふたりで冗談を言って笑ったりしたのは楽しかった。質問したいことはたくさんあるけど、ハーディンとは友達になれそうだ。ステフがそうだったように。ううん、ステフとは違うけど、ネイトのように、彼といっしょにいる友達みたいにはなれそうだ。

たぶん、これがベストだ。これからはキスしたり、彼から迫られたりすることもない。ただの友達。

だけど、ハーディンの人となりをまったく知らない学生たちを抜けて寮の部屋に戻りながら、わたしはある不安を振り払うことができなかった。もしかして、ハーディンの仕掛けた罠に、自分からまたかかってしまったのではないだろうか。

 

次回、急展開!? ライドンの前で「今夜は俺とデートだぞ」と言い放ちご機嫌なハーディンだったが、父の話を持ち出されると……?

 

【参考】

アナ・トッド(2015)『AFTER 1』(小学館文庫)

 

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