なぜ「男は女より身長が高い」のか?最新科学で解明

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“男性は女性より身長が高いものである”といえば、当たり前のように聞こえますが、子供の頃は決してそうではなかったはずです。

小学校の頃は“ちょっと男子~”などと、掃除をしない男子のクラスメイトに上から目線でプンスカしていたはずなのに、思春期を境に、いままで見下ろしていた男子を、いつの間にか見上げるようになってドキドキした。

そんな思い出がある女性も多いのではないでしょうか?

でもなぜ、はじめは女子よりも低かった男子の身長が、やがて女子よりも大きくなるのでしょう? じつはこの問題、いままではっきりとはわかっていませんでした。

しかし、最新の研究により、こんなにも当たり前に信じられてきたことが、ようやく解明されようとしているのです。

 

■なぜ“男性は女性より身長が高い”のか?

まずは、“男性は女性より身長が高いものである”、ということについてですが、これは一般常識として間違いないでしょう。

実際、日本における20歳代男女の平均身長は、男性が170.6±6.0cm、女性が158.1±5.4cmと、その差はおよそ12cm。これは厚生労働省が、平成22年に実施した、国民健康・栄養調査報告書によるデータです。

12cmといえば、CD一枚の大きさ。なぜ、このような身長の違いがおきるのでしょうか?

そもそも、ヒトの身長はどうして伸びるかといえば、骨が伸びるわけです。では、骨の伸びかたに男女で違いがあるのはなぜかと言うと、これは“性ホルモン”と“性染色体”が原因であると考えられています。

つまり、女性ホルモンのエストロゲンには成長を止める作用があり、男性の遺伝子には成長を促進する作用があって、これが男女の身長差の理由と考えられているのです。

 

■女性が低身長な理由はあの身近なホルモンにあった

骨が伸びるのは軟骨組織が増殖するからですが、じつは女性ホルモンであるエストロゲンは、成長軟骨板と呼ばれる軟骨の工場を閉鎖してしまうのです。

例えば、女性ははじめての生理が来ると、血液中のエストロゲンの濃度が急激に増加しだします。

これは乳房の発育など、女性が女性らしいからだつきになるために必要不可欠なことですが、それと時期を同じくして、身長増加の割合が急激に減少することが、疫学的に明らかになっています。

逆に、エストロゲンを受け取ることができない病気では、エストロゲンを大量に投与しても、骨の成長が止まらず、高身長になるという症状がでます。このことからも、エストロゲンには骨が伸びるのを止めてしまう働きがあるとわかるのです。

 

■男性の背の高さは遺伝子で決まる!?

一方、男性のほうはなぜ背が高くなるのでしょうか?

よく知られているように、男性の性染色体はXY型、女性ではXX型で、つまりY遺伝子は男性だけが持っている遺伝子ということになるのですが、この男性を男性たらしめるY遺伝子については、いまだに謎の部分が多く残されているのです。

このY遺伝子には、固有な27個の遺伝子が存在します。そしてこのうち、精巣決定遺伝子を除くほぼすべての役割がじつは不明です。

しかし、それらの遺伝子をもたない人ともつ人を比較した結果、これらの遺伝子をもたない人は、もつ人よりも、なんと10~20cmも身長が低いことが判明しました。

具体的に、この27個の遺伝子のうち、どれが成長を決定する遺伝子なのかの特定はできていませんが、男性にしかないY遺伝子に、身長を伸ばすはたらきがあるのは確かなようです。

 

いかがでしたか? もちろん、この他にも理由はたくさん考えられていますが、成長関連の医学では、現在このような研究が進められているのです。

ただしエストロゲンには、骨を強くし骨粗鬆症を防ぐはたらきもあり、いちがいにエストロゲンが骨に悪い、ということでもありません。

エストロゲンをつくる酵素がないか、はたらかない患者では、若いうちから骨粗鬆症が進行する一方、身長自体は高くなるようです。これも、研究結果に矛盾しませんね。

はじめは男子よりも背が高かった女子が、次第に身長で抜かれてしまうことには、このような理由があったのです。

思春期に男子を見上げて感じたあのドキドキには、このような生物学的な理由があったのかと思うと、ちょっと感慨深いものですよね。

 

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【参考】

※ 今井祐記(2013)『骨伸長と性差』 細胞工学・vol.32 No.2