【連載20:AFTERⅡ】同僚とホテルの部屋に…そこに彼があらわれて!?

テッサは恋人ハーディンのひどい裏切りにあい、別れを告げて二人で暮らすアパートを飛び出した。しかし、出張で訪れたシアトルで楽しい夜を過ごす間も、ハーディンのことを思い出し、彼に電話をしてしまう。ハーディンのことは忘れるのよ……自分に言い聞かせながら、ナイトクラブで知らない男とキスを……! 連載第20回。
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飲みすぎちゃった……少し反省

みんながいるテーブルに戻ると、トレヴァーはソファに座ったまま寝入りそうになっていた。彼のカワイイみに、思わず笑みがこぼれる。

カワイイみ、なんて言葉ある? どうしよう、ほんとに飲みすぎだわ。

腰を下ろして、テーブルのうえのアイスクーラーからミネラルウォーターのペットボトルを取り出す。

「楽しかった?」

キンバリーにきかれたので、わたしはうなずいた。「ええ、すっごく楽しかった」数分前に起こったことなどなかったように答える。

「もういいかい? 明日は早起きしないといけないよ」クリスチャンが言う。

「ええ、あなたが準備できたなら、わたしはいつでもオッケーよ」キンバリーは彼の太ももにそっと手を滑らせた。わたしは目をそらしたものの、ほほが赤くなる。

しかたなく、トレヴァーをからかった。「いっしょに帰るの? それともここで寝る?」

彼は笑いながら体を起こした。「どうしようかな、このソファ、居心地よすぎて。音楽もうっとりするほど気持ちいいし……」

クリスチャンが運転手に連絡すると、数分後に迎えに来るという。わたしたちは立ち上がり、クラブの最上階から下まで続くらせん階段を歩いて下りることにした。

一階のバーでキンバリーは最後にもう一杯、お酒を注文した。車を待つあいだ、わたしも飲もうかと思ったものの、やっぱりやめることにした。これ以上飲んだら意識を失うか、吐いてしまうだろう。どっちもいやだ。

クリスチャンのスマホに連絡がくると、みんなで出口に向かった。ほてった肌に外の冷気が心地いい。幸い風も収まっているなか、わたしたちは車に乗りこんだ。

ホテルに着くと、もう三時だった。お酒ばかり飲んでいたので、お腹が空いた。わたしは室内のミニ冷蔵庫にあるものを手当たりしだい口にいれると、靴も脱がずにベッドに倒れこんだ。

 

ドアをばんばん叩く音……いったい誰なの!?

「うるさあああああい」

酔っ払ってうとうとしていたところをすごく不愉快な物音に起こされて、声を荒らげる。それが母に怒鳴られているのではなく、誰かが部屋のドアをばんばん叩いているのだとわかるまで、数秒かかった。

「ちょっと、いま行くから!」よろけそうになりながらドアまで歩く。

ふと、立ち止まってデスクの上の時計を見てみる。もうすぐ朝の四時。いったい、こんな時間に誰が?

まだ酔いも覚めていなかったけど、ものすごく不安になってきた。ハーディンだったらどうする? 泥酔状態で電話してから三時間は経っているけど、彼がどうやってわたしを見つけるの? 会ったら、なんて言えばいい? っていうか、無理。

がんがん叩く音がまた始まったので、わたしは考えるのをやめて、最悪の状態に備えつつドアを開けた。

でも、そこにいたのはトレヴァーだった。がっかりしたあまり、胸が痛い。わたしは両目をこすった。ベッドに倒れたときと同じくらい、まだ酔っ払ってる。

「起こしてごめん、でも、ぼくのスマホ持ってない?」

「えっ?」トレヴァーがなかへ入れるよう一歩下がる。彼の後ろでドアがさっと閉まると、室内はかなり暗くなった。差しこむのは、窓の外の都会の明かりだけ。もっとも、わたしはまだぐでんぐでんの状態で、明かりのスイッチも見つけられなかった。

「スマホを取り違えたような気がするんだ。偶然、お互いに相手のを持って帰ったとか」トレヴァーの手のなかにはわたしのスマホがあった。「朝まで待つつもりだったんだけど、きみのがずっと鳴りっぱなしだったから」

「まあ」わたしは言葉もなく、バッグのところへ行ってなかを見た。案の定、トレヴァーのスマホがわたしの財布の上に載っていた。

「ごめんなさい……車のなかであなたのをつかんじゃったのね」わたしは彼にスマホを返した。

「うん、いいんだ。起こしてしまって、ほんとにごめん。でも、起き抜けでもこんなに美人なのはきみだけだよ─」

そう言うトレヴァーを遮るようにまた、ドアをがんがん叩く音がして、すごくイラっとした。

「いったい、なんだっていうの? テッサの部屋でパーティーでも始めようってこと?」

わたしはドアまでどすどす歩いていった。トレヴァーがうるさく音を立てたと苦情を言いに来た従業員に文句を言い返すつもりだった。何よ、そっちのほうがもっとうるさいじゃないの。

ドアを開けようとした寸前に物音がさらに大きくなり、はっと立ち止まる。

「テッサ! このドアを開けやがれ!」

障害など何もないかのようにハーディンの声が響き渡る。わたしの背後で明かりがつき、トレヴァーの顔が本物の恐怖に青ざめていくのが見えた。

この部屋にトレヴァーがいるのをハーディンに知られたら、実際に何が起きているのかなんて関係なく、絶対にただではすまない。

「バスルームに隠れて」

 

次回、なぜハーディンがここに!? トレヴァーをかばいながら、テッサはハーディンを部屋に招き入れる……。

 

 

【参考】

アナ・トッド(2016)『AFTER season2 壊れる絆 1』(小学館文庫)

 

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