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ごめんなさいが言えない…大損している「謝罪が下手な人」原因と対策

中田綾美

中田綾美A.Nakata

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「ごめんなさい」が言えないタイプの人とは?

謝罪が苦手な人……というと、どんな人物を思い浮かべますか?

自分が悪くても「ごめんなさい」が言えないということは、さぞ傲慢だったり、いいかげんだったりするのかと思いきや、そうではありません。

心理カウンセラー根本裕幸氏は、著書『心の地雷を踏まないコツ・踏んだときのコツ』は、謝罪が苦手な人を心理分析し、“罪悪感が強いタイプ”と“完璧主義タイプ”の2種類を挙げています。

1:罪悪感が強いタイプ

罪悪感が強いタイプは、ちょっとしたミスでも必要以上に自分を罰しようとするので「ごめんなさい」が言えないとのことです。

<罪悪感という感情は(中略)「罰せられる、罪を負わなければならない」という思いを強く持ちますから、小さなミスにも大きな責任を感じやすくなります。だから、非を認めることができず、自分の正当性を主張します。そのため、言い訳をしたり、「自分は間違っていない」「悪いことはしていない」と言ったりするのです。>

ごくささいなミスでも、罪悪感の強い人は「どえらいミスをやらかした! これを認めたら重い罰を課されるのでは?」と過剰におそれおののいてしまいます。

それで自分をかたくなに守ろうとするあまり、謝罪の言葉よりも言い訳や自己正当化発言が口をついて出てしまうのですね。

 

2:完璧主義タイプ

相手を怒らせると、パニックに陥って何も言えなくなってしまうのは、完璧主義タイプの人だといいます。

<完璧主義な人は、(中略)正しいことをやっているという意識が強いので、自分の態度で相手を怒らせてしまったことをすぐに理解できません。それでグダグダと言い訳をしてしまうこともありますし、パニックになって自分のことしか見えない状態になります。

そのとき、心の中は「自分はなにをしてしまったんだ? なぜ、こんなことをしてしまったのか?」という自問自答でいっぱいで、謝罪する余裕がないのです。>

このタイプは、家庭や学校ではいわゆる“いい子”で通ってきた人に多いかもしれませんね。

怒られることに慣れていないこともあって、目の前の相手が激高すると、一体何が起こったのかわけがわからず頭が真っ白になってしまう。

そのオタオタした様子が、よけに相手をいらだたせ「なんだ、その態度は!?」と罵声を浴び、ますます混乱して何も言えなくなる……という悪循環です。

 

どうすれば素直に謝れるの?

謝罪が苦手な人のタイプを2つご紹介しましたが、この2つには共通点があります。

それは、相手の気持ちよりも、「どちらが正しいのか?」「なぜ怒らせてしまったのか?」など、あたかも裁判かのように、事実の究明ばかりにとらわれてしまっているという点です。

他方で、素直に謝れる人というのは、“正しさ”よりも“相手の気持ち”や“相手といい関係を築くこと”に重きをおいているといいます。

だから、目の前の相手が怒り出したら、自己防衛したりグズグズ考えたりするよりも、まずは「(あなたの感情を傷つけてしまって)ごめんなさい」という言葉がすっと出てくる。

たとえ自分に悪気がなくても、相手が勘違いで怒り出した場合でも、相手の気分を害してしまったことに謝罪できるのです。

 

実際にあったある夫婦の話

「自分が悪くなくても謝るなんてなんか変じゃないの?」と釈然としない人もいるかもしれませんね。そこで、筆者の友人夫婦の実例をご紹介します。

その夫婦は、妻はズボラ、夫は神経質という組み合わせ。妻のうっかりに夫が文句を言う。妻が「そんなことくらいで!」と言い返すことで夫が激怒してバトルに突入する……というのが日常茶飯事でした。

さすがに、喧嘩ばかりの生活に危機感を覚えた妻が実践してみたのが、“相手の気持ちにフォーカスする”こと。

「自分のズボラが悪いのか、夫の神経質が悪いのか」というこだわりを手放し、“自分の習慣によって夫の気持ちを害してしまった”という事実だけを受け止めて、謝るように心がけたのです。

“謝る”だけで夫婦関係に変化が……

「自分から謝ろう」と思っても、いきなりうまくはいきません。それでも、妻の“ごめんね”作戦により、夫婦仲に少しずつ変化はあったといいます。

それまで、ささいなことから大喧嘩に発展していたのが、妻が一言謝るだけで、夫は「もうしようがないなー」とすんなり引き下がることも多く、家庭内が平穏に。

さらに、夫の文句自体が減って、妻のズボラを黙ってフォローしてくれることが増えたのです。

その妻は言います。「勝ち負けにこだわっていたころの生活はしんどかったけど、謝り慣れたらすごくラクになった」と。

<相手を怒らせてしまったときに、すかさず「申し訳ありません!」と謝罪できる方は、相手の目に「素直な人」と映ります。また、その潔さから相手もすぐに矛を収め、「まあ次から気をつけてね」とあっさり許してくれる可能性も高くなります。

さらに、あなたの態度に対して反射的に出た怒りだったりすると、むしろ相手のほうが「怒ってすまなかった」と謝罪してくれることもあるくらいです。>

あなたの身近にいる“周囲から好かれている人物”を観察してみましょう。何かミスしたり、トラブルが起きそうになったりしたときに、すかさず謝罪ができる人は、人間関係の風通しがよくないでしょうか?

 

意地を張って謝罪しなければ人間関係がこじれるだけ。“謝るが勝ち”と心得て、「ごめんなさい」のハードルを低くしましょう。

 

【参考】

根本裕幸(2016)『人間関係がスーッとラクになる 心の地雷を踏まないコツ・踏んだときのコツ』(日本実業出版社)