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結婚詐欺の手口から詐欺師の特徴まで!未然に防ぐには何をすべきか

中田綾美

中田綾美A.Nakata

目次

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1:結婚詐欺とはどんな行為?

結婚詐欺とは、結婚する意思がないのに、結婚をエサに異性に近づき、金品を騙し取る行為のことです。

近年、婚活ブームともあいまって、被害件数は急増しているといいます。しかも、結婚詐欺では被害者が泣き寝入りしてしまうことも多いため、警察が認知しているのは、氷山の一角であるとも……。

また、どちらかというと男性のほうが被害に遭いやすいものの、近年では女性がターゲットになるケースも増えているようです。

 

2:結婚詐欺師のよくある手口5つ

結婚詐欺師はどうやってターゲットから金品を騙し取るのでしょうか? 女性が被害に遭うまでの5つのステップをご紹介します。

(1)好意があるふりをして近づいて来る

婚活パーティー、婚活サイトなどで、ある日突然、あなたにとって“理想の王子様”のような男性が現れます。ルックスがよく、高収入で、しかもあなたに優しい。

彼はあなたに言葉巧みに近づき、出会って短期間で恋人関係になります。

(2)恋人関係になり、結婚をチラつかせる

交際がスタートすると、彼はあなたの都合に合わせつつ、頻繁にデートに誘ってくれます。高級なレストランで素敵なディナーをごちそうしてくれ、しかも甘~い言葉であなたを喜ばせてくれる……。「まさしく彼は運命の相手!」とあなたは有頂天です。

ふたりは急速に関係を深め、やがて彼は「ふたりが結婚したら~」などと、結婚をチラつかせるようになります。

(3)急に「親が事故で」「事業に失敗して」など、理由をつけてお金を借りようとする

“(2)恋人関係になり、結婚をチラつかせる”の段階で、あなたはすっかり彼のトリコに。

ところが、あなたの気持ちが燃え上がるにつれて、彼の態度はしだいにクールダウンしていきます。

交際当初よりも、彼からの連絡やデートの頻度、愛情表現が少なくなっていくのに、少し不安を覚えるあなた。そのころ突然、彼から“実はお金に困っている”ことを打ち明けられるのです。

「君には迷惑はかけられない」「でも、このままでは君と結婚できないかも……」と落胆する彼を見て、あなたはつい「私が何とかするから!」と彼にお金を渡してしまいます。

(4)借金がどんどん増えていく

「ありがとう、きっとこのお金は返すから!」と笑顔で約束してくれる彼。あなたも愛する人のピンチを救うことができて満足です。

しかし、彼の約束は果たされることなく、そればかりか、しばらくすると「ごめん、実は……」とまたもやお金の相談を持ちかけてくる始末。そのたび、あなたは何とかしてあげたい一心で、ついつい彼の求めに応じてしまいます。

ごく稀に彼から1万、2万が返ってくることはありますが、借り入れスピードのほうが断然速く、借金は雪だるま式に膨れ上がる一方……。

(5)突然姿を消す

結婚資金としてコツコツ貯めていたお金はすべて使い果たしてしまった。もうこれ以上、彼に貸してあげられるお金もない……。そのタイミングで、彼は突然行方をくらまします。

携帯電話は通じないし、彼の勤め先に問い合わせても、「そんな人はいない」と言われたり、あるいは会社自体が存在しなかったり……。

このときになって、あなたはようやく気付くのです。そもそも、彼の個人情報はほとんど知らされておらず、行方をつかもうにも、その手がかりさえないという絶望的な事実に……。

 

3:結婚詐欺師のよくある特徴6つ

前項では、“出会い~被害に遭うまで”の流れをお届けしましたが、“男性の結婚詐欺師”の特徴について、より詳しく若井亮先生に解説していただきました。

(1)あなたの理想とピッタリ過ぎる

「婚活サイトやSNSは、結婚詐欺師がターゲットを探すのにうってつけです。彼らはターゲットの女性の情報を調べあげて、コトに及びます。

プロフィールや過去の日記などを掘り起こせば、その女性の好みのタイプや恋愛観、場合によっては恋愛遍歴まで知ることが可能です。

それだけの情報を仕入れれば、結婚詐欺師にとってターゲットの理想の男性を演じることなど、いともたやすいことだと言えます」(※以下「」内は若井先生)

(2)出会いから急接近する

「結婚詐欺師はターゲットの理想通りに自分を作り上げていますが、いくらプロといえども、長く付き合えば、どうしてもボロが出るおそれがあります。彼らの作戦は基本的には“短期決戦”です。

じっくりとお互いの距離を縮めるのではなく、出会ってすぐに交際、婚約……というスピード展開でコトが運びます。

(3)お金の無心をするまでは頻繁に会う

「前掲の“結婚詐欺師のよくある手口”にもありますが、結婚詐欺師は、交際当初は頻繁にデートに誘ってきます。

これはターゲットに急接近するだけでなく、プライベートの予定をすべて押さえて、自分以外の人間との交流を遮断するという狙いもあるのです。

女性を自分に依存、友人から孤立させておけば、のちのち借金トラブルが起きても、女性が誰かに相談する恐れがありません」

(4)初期はあなたの都合になんでも合わせてくれる

「“頻繁に会う”という点とも関連しているのですが、初期は“女性が会いたいときに会える”存在になってくれます。

たとえば、女性が不規則な勤務だったり、なかなか休みがとれなかったりする場合でも、女性の都合に完全に合わせてデートの予定を立ててくれるのです。

本当に“会社経営者”、“一流企業勤務”だったらそんなことできません。結婚詐欺師だからこそ、スケジュールまでターゲットの理想通りに演出できるというわけなんです」

(5)個人情報を教えない

「結婚詐欺の被害者の中には、“相手のLINEしか知らないんです”という方も多いです。いつでもすぐに姿をくらますことができるように、結婚詐欺師は最小限度の個人情報しかターゲットに与えません。

中には、携帯電話や自宅の番号を教えてくれても、“これは会社の携帯だから”とか“家では寝ていることが多いから”などと言って、女性のほうから連絡させないように仕向ける輩もいます」

(6)女性の同情をかう

「男性の結婚詐欺師の場合は、ストレートに“お金を貸して欲しい”とお願いすることはあまりありません。ただ、“君に迷惑はかけられない”とか“申し訳ない”とか言いながら、自分の窮乏を訴えてくるので、女性は思わずお金を出してしまうのです」

 

4:結婚詐欺で狙われやすい女性の特徴4つ

(1)結婚相手に対する理想が高い

「結婚詐欺師にとって、理想の高い女性のほうが、くみしやすい相手だといえます。理想像さえ演じれば、“これこそ運命的な出会い”だと勘違いさせて、簡単に取り込むことができるからです。

なお、“理想が高い”という点では、かつて男性と派手に遊んでいた経験があり、目が肥えてしまった女性も、意外と狙われやすいといえるでしょう」

(2)結婚すること自体が目的となっている

「婚活パーティーや婚活サイトの参加者で、結婚に対する焦りがあると狙われやすくなります。

“誰と結婚するか”よりも“結婚すること”自体に専心していると、相手をじっくり見極めることなく、深い関係になりがちです。また、相手からお金を無心された際に“この人を逃したらあとがない”という焦りから、冷静な判断ができない傾向があります」

(3)友人が少ない

「結婚詐欺師にとっては、自分との関係について周囲に相談されると厄介ですので、友達の少ない人物のほうが狙い目です。

また、勤務時間が不規則、あるいは長時間労働で、女性が友人と接点が持ちにくい場合も同じことが言えます」

(4)収入が一般水準より高く、自由になるお金がある

「収入が高いから狙われやすいというのもありますが、自身が高収入だと、相手にもそれ以上の条件を求めて理想が高くなりがちです。

また、収入が高い女性は、そのぶん、仕事が忙しくて友人に相談しにくい。ストレスを抱えがちで癒しを求めてしまう……という点でも、騙されやすいといえるかもしれません」

 

4:結婚詐欺にあわないためにはどうする?

(1)未然に防ぐ方法は?

1.性急に相手との関係を深めない

「まず、大前提として、ネットやパーティーで出会った場合、相手のことをよく知るまでは、安易に結婚の話をしないこと。また、相手から持ちかけられても“まだ早い”と応じることが大事です。

時間をかけてゆっくり相手を知りましょう。スピードが早過ぎると思ったら要注意ですし、お金の話が出たら、警戒レベルはさらに上がります。

なお、詐欺師でなくとも、交際相手に早い段階でお金の無心をしてくる人物も危険です。お金は払ってしまったら、回収は難しいと心得ましょう」

2.友人、知人などに相談

「結婚詐欺師に心を奪われてしまうと、冷静な判断ができません。友人、知人などに相談して客観的に状況を把握することが重要だと言えるでしょう。

交際期間が短いにもかかわらず結婚の話が出ており、さらに、まとまったお金の貸し借りがあるとなれば、普通の感覚からすると“大丈夫?”という話になって、被害を防げる可能性があります」

3.身元は第一に確認

「結婚詐欺に関する相談では、相手の住所も電話番号も知らず、LINEのつながりのみというケースもあります。

その唯一のつながりが断たれてから後悔しても遅いのです。“相手をいろいろ詮索するのは気が引ける”などと思わずに、電話番号、住所は最低限、押さえるようにしましょう。名前も偽名の恐れがあるので、本名を運転免許証など公的な身分証明書で確認すること。

また、住所は名刺を見るだけで安心せずに、相手方の家、職場と説明された場所には実際に足を運ぶことをおすすめします。

なお、お金持ちを装って“会社を経営している”と言う結婚詐欺師も多いですから、その場合は、会社の登記を調べるといいでしょう」

――会社の登記は、弁護士に依頼しなくても誰でも調べることができるのでしょうか?

「はい。会社名と本店所在地さえわかれば、法務局で会社の登記を取り、会社が存在するかどうかや代表者の氏名を確認することができます。

本店所在地は、たとえば“東京都渋谷区”など大まかな住所までわかれば大丈夫です」

4.相手方の過去について聞く、裏を取る

「生まれ、育ち、過去の仕事など、聞くたびに話が変わる、曖昧な話をする、事実確認ができない、客観的な情報に反するなどの場合は注意が必要かもしれません。

たとえば、昔住んでいた場所の話をしていて、当時は存在しなかった地名が出てくることなどがあります」

5.相手方の親族、友人や知人、会社の人間に会う

「結婚詐欺師は、ほとんどの場合、自分の友人や知人には会わせてくれないでしょう。結婚の話がでているにもかかわらず、相手方の誰にも紹介しないのは不自然と言わざるをえません。

相手方の関係者に紹介してもらえない場合は、結婚詐欺を疑ってもいいでしょう」

6.事実が確認できないときは、お金を貸さない

「結婚詐欺師は、親族の病気、事業の失敗、資金繰りなど、さまざまな理由をつけてお金の無心をしますが、話の裏は必ず取ること。不安であれば、知人や弁護士に相談しましょう。

中には、“極秘裏に進めている事業計画だから”とか“ヤ〇ザが絡んでいる”などと言って、借金の問題について口止めしてくる結婚詐欺師もいますが、自分だけで悩みを抱え込まないようにすることが大切です」

(2)被害にあったときの対処法

「結婚詐欺の被害にあった場合は、弁護士を通じて、騙し取られたお金を取り戻したり、慰謝料を請求したりするという対処法が考えられます」

1.まだ相手と連絡が取れる場合

「まず、相手方の身元に関する情報……LINEだけでなく、電話、住所、職場などできる限り集めましょう。

実際にあったケースでは、“まとまったお金を貸す準備ができたから”という名目で女性が男性を呼び出し、その場では何とか言い逃れをしてお金を渡さないまま一旦解散……と見せかけて、弁護士と提携した調査会社が男性を尾行し、居所を突き止めたこともあります。

また、よく“お金を渡しすぎて総額がわからなくなった”という人もいますので、必ず渡した金額の総額とお金を渡した理由、つまりどのような説明を受けてお金を渡したのかをきちんと整理しましょう。

そして、お金は“貸した”ものでであり、“あげた”ものではないという点について、証拠を集めること。たとえば、会話を録音したものや、LINEやメールでのやりとりがあれば、返金請求を有利に進めることができます」

2.連絡がとれない場合

「すでに連絡がとれない場合には、その時点でわかる範囲での情報から、まず身元調査を行います。ただ、結婚詐欺師がターゲットに与えている情報は嘘が多いので、ここから加害者にまで辿り着くのはかなり困難です。

被害を抑えるには、相手が音信不通になる以前のなるべく早い段階、つまり少しでも“おかしい”と感じた時点で、専門家への相談など何らかの行動を起こすのが望ましいといえるでしょう」

 

おいしい話には必ず落とし穴が……!? 「自分が騙されるはずがない」と過信している女性こそが、もっとも危ないかもしれません。ある日、突然、あなたの目の前に現れた“運命の王子様”にくれぐれもだまされないようにしましょう。

 

【取材協力】

不動法律事務所 弁護士 若井亮