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姑息とは?姑息な手段を使った&使われたエピソード6つ
毒島 サチコS.Busujima
目次
隠す1:姑息の読み方と本当の意味を知っていますか?
みなさんは「姑息(こそく)」の本当の意味を知っていますか?
「あの女、姑息なやり方でむかつく!」と言うと、「卑怯」や「ケチ」といった意味で捉える人が多いのではないでしょうか?
でも実は「姑息」=「卑怯」という意味ではないようです。
姑息(コソク)
[名・形動]《「姑」はしばらく、「息」は休むの意から》一時の間に合わせにすること。また、そのさま。一時のがれ。その場しのぎ。「姑息な手段をとる」「因循姑息」
(出典:小学館デジタル大辞泉)
前述したように、近年、「その場だけの間に合わせ」であることから、「卑怯なさま、正々堂々と取り組まないさま」の意で用いられることがあります。
文化庁が発表した平成22年度「国語に関する世論調査」では、「姑息な手段」を、「一時しのぎ」の意味で使う人が15.0パーセント、「ひきょうな」の意味で使う人が70.9パーセントという結果が出ています。
このデータから、実に7割以上の人が「姑息」という言葉を誤用していることがわかります。
「姑息な手段をとる」は、「卑怯な手段をとる」という意味ではなく、正しくは「その場しのぎの手段をとる」という意味です。
どうでしょうか。あなたは間違えて使っていませんでしたか?
それでは、「姑息」の正しい意味がわかった所で、「姑息な手段」を使われた体験談を見ていきましょう。
2:ありえない!姑息な手段を使われた体験談3つ
(1)隠されていたメイク落とし「彼女いないって言ったよね?」
「終電を逃してしまったので、最近できた彼氏の家に行ったら、“ちょっと散らかってるから待ってね!”と言われて、少し玄関で待たされたんです。そのときからちょっと怪しいなと思っていたんですが……。彼がお風呂に入っている間に、こそっと洗面台の下を開けてみたら……やっぱり!と思いました。
そこに、使いかけのメイク落としや女性用のヘアワックス、化粧水などが隠されていたんです。彼女いないって言ってたのに……。問い詰めたら別れを切り出されました。最悪!」(Aさん/25歳女性)
突然のAさんの来訪に焦ったのでしょうか。「その場しのぎ」で、とっさに本命彼女のものを洗面台の下に! しかし簡単にバレた! まさに「姑息な手段」でしたね~。
(2)「お金振り込んだよ!土日だから月曜日に確認して」
「友達にお金を貸したんです。でも、返済期日になっても一向に入金がなかったので確認したら、“今振り込んだから!でも他行からだから、確認は月曜日になる”、と。そして月曜日。入金はありませんでした。問い詰めたら銀行のトラブルで着金が遅れていると……。常にその場しのぎの嘘を繰り返し、いまだに返済されていません!」(Tさん/27歳男性)
こちらも「姑息な手段」と言えますね! 姑息のエンドレスです!
(3)家に行くのを拒否したら…「ちゃんとするから」って何?
「気になっている男性との初デートでバーに行ったあと、家に誘われました。初デートで家に誘われる時点でないな、と思って断ったら、“ちゃんとするから!”と言われました。
てっきり私は“付き合ってくれるのかな”、と思って彼の家に行って男女の関係になったのですが……。まさかのそのあと音信不通。ちゃんとするからって何?」(Sさん/26歳女性)
筆者も「ちゃんとするから」という男性に遭遇したことがありますが、本当に「ちゃんとするから」って何?って思っちゃいますよね……。
女性をお持ち帰りしたいとき、「付き合おう」とも「好き」とも言わずに、責任逃れができる「その場しのぎ」の言葉を使って女性を傷つける、これも「姑息な手段」です。
3:仕方ない!姑息な手段を使ったエピソード3つ
「その場しのぎ」「取り敢えず」という意味を持つ「姑息」という言葉。
ネガティブなイメージの方が大きいですが、時には姑息な手段を使わざるを得ないことも!? この章では、姑息な手段を使ったエピソードをご紹介します。
(1)怪我をした!とりあえずハンカチで止血!
「怪我をして、出血! とりあえず持っていたハンカチを傷口に縛って止血しました」(Sさん/26歳女性)
「姑息な手段」というと、ネガティブワードのイメージが強いですが、このように、緊急を要するときにも使われるんです。
(2)面接で変顔!「お客様を笑顔にします!」
「面接で“特技を披露してください”と言われたので、変顔が得意だと言って、今までした事のない変顔をしました。“これでいつも友達を笑顔にしています!お客様を笑顔にします!”と言って。採用されました」(Nさん/26歳女性)
こちら、筆者の同級生の面白エピソードです! 採用面接は、いかに自分を魅力的にアピールできるかが勝負。無茶ぶりの質問にも、臨機応変に対応しないと!ですよね。なので、「姑息な手段」を使うのは仕方ない!
(3)夢の為に「姑息」な恋を繰り返す?
「その場しのぎの恋を繰り返していた時期がありました。自分のしたいことが優先順位の一番だったので、いろんな人と付き合って別れて、傷つけ、傷つけられを繰り返して……。本気で人を好きになれなかったんですよね。自分にメリットのある人だけを恋人にしたりして。
でもその時期があったからこそ、今、本当に大切なものがわかった気がします。過去の恋人には申し訳ない気持ちでいっぱいですけど……」(Hさん/26歳女性)
「その場しのぎの恋」をしたことがある読者の方も少なくないのではないでしょうか。
「とりあえず恋人がほしいし」と、好きでもない相手と付き合うのは「姑息な手段」かもしれません。
4:それはない!姑息の語源を間違って覚えていた人の面白話2つ
(1)姑息=マザコン?
姑(しゅうとめ)+息子(むすこ)の組み合わせと勘違いしていて、普段「姑息」を使わないという人は、ぱっと見「マザコン」を表す言葉のように見える……!?
確かに、マザコンを表すにはちょうどいい言葉に思えてきました……。
(2)姑息=コソコソすること?
姑息を「コソコソする、コッソリと」という意味で捉えていた、という声も。
確かに「コソク」と聞くと、そんなイメージを持ちやすいですよね。
このことからも「コソク」→「コソコソする」→「卑怯」だと捉えられるようになったのかもしれません!?
5:意味違うよ!「姑息」の使い方の誤用例2つ
続いて、みんなが間違えがちな「姑息」の誤用例を見ていきましょう。
(1)「あんな姑息な手段で優勝して嬉しいのか?」
「姑息」=「卑怯」だと誤用している人の実例です。
ずるい方法で優勝した選手に対して、「姑息だ!」という言葉を使う人がいますが、それだと誤用。
同様に、「姑息な手段で出世して嬉しいのか?」などと仕事の場面で使う場合も、「卑怯なやり方で出世した」という意味で使っていると思われ、誤用になります。
ただし、試合直前に、ドーピングをして優勝した選手に対して、「姑息な手段だ」という使用例は「その場しのぎの手段」という意味にもなり、こちらは合っていますね。
つまり、「姑息(一時しのぎ)(その場しのぎ)」は、場合によって、「卑怯」ともいえるケースがあります。
しかし、重要なのは必ずしも「ずるいやり方」であるとは言えないということです。
「姑息」を「卑怯」と同じように用いてしまうと、本来の言葉の持つ意味とは異なるということに留意する必要がありそうです。
(2)「大阪のおばちゃんの値引き交渉の仕方って姑息だよね」
これは、「姑息」=「ケチ」だと誤用している人の使用例です。
姑息をケチという意味で捉えている人も多いと思います。が、これも完全なる誤用です。
6:姑息な人と言わせないために
いかがでしたか?
今回は「姑息」という言葉の正しい意味と、姑息な手段を使った&使われたエピソードをご紹介しました。
本来「その場しのぎ」という意味を持つ「姑息」という言葉。ですが、実に7割の人が誤用しているわけですから、今後も「卑怯」という意味で使われることの方が多いかもしれません。
「姑息な人」=「その場しのぎがうまい人」と正しく理解していたとしても、「姑息な人」=「卑怯な人」と誤用していたとしても、言われたらどちらもいい気はしませんよね。
また、「姑息」=「卑怯」という意味を持たなくても、浮気が発覚して、問い詰めときにとっさに嘘をついた彼のことを、「姑息な人」だと思いますよね。
言葉の意味自体は、「姑息」=「卑怯」ではないとしても、その場しのぎの嘘をつく彼の姿は「卑怯」に見えます。
このことから、「姑息」→「その場しのぎ」→「卑怯」であるという図が成り立ち、誤用する人が多いのも頷けます。
正しく理解して使用していても、誤用していたとしても、「姑息」という言葉はネガティブに捉えられがち。
「姑息な人だ!」と言われないように、その場しのぎの言動は避けたいものです。
【参考】