浮気の慰謝料!相場は?「不貞行為」に詳しい弁護士に聞いた

旦那さんや奥さんに浮気をされてしまったらどうしよう……、慰謝料なんて言葉は聞くけど、よくは知らないし……そんな人もいると思います。また、不倫をしていて、奥さんに訴えられたらどうしよう……、慰謝料っていくら取られるんだろう……なんて不安になっている人もいるかもしれません。今回は浮気の慰謝料に関するあれこれを、弁護士の方に聞いてみました。
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1:浮気での慰謝料相場が知りたい!

(1)慰謝料、慰謝料と言うが、いったいいくらくらいなの?

「旦那さんや奥さんに不倫をされた」といった場合、いちばんに頭に浮かぶのは離婚すべきかどうか?そして慰謝料請求のことではないでしょうか。

とはいえ、実際のところ「慰謝料という言葉は聞いたことがあるけれど、金額の相場などはさっぱりわからない」という人も多いと思います。そこでレイ法律事務所に所属している弁護士の松下真由美先生にお話を伺ってみました。

(2)状況によって違う?不貞行為に詳しい弁護士に聞きました

松下:慰謝料の金額はケースバイケースで、100万~300万円くらいでしょうか。不倫に関する慰謝料は、浮気していた配偶者とその浮気相手から受けた精神的苦痛に対して支払われるお金になります。慰謝料の金額には明確な基準はなく、状況によって異なってくるのが現状です。

 

2:浮気(不貞行為)の慰謝料相場は?よくある質問を弁護士に聞く

今度は、慰謝料に関する「よくある質問」を松下先生に伺ってみました。

(1)浮気の慰謝料を請求する際に証拠は必要ですか? どのようなものが証拠として認められますか?

松下:民事訴訟の場合、基本的には、原告側に証明責任が発生します。つまり、配偶者が浮気をして、それに対する慰謝料を請求するといった場合、その浮気をしたという事実を原告側が証明できなければ、慰謝料請求は認められません。

よって、配偶者の不貞行為を理由に慰謝料請求をする場合、原告には浮気の証拠が必要になります。

証拠としてよくあるものは、不貞行為そのものの写真やホテルなどの宿泊施設にふたりで入る瞬間、ふたりで出てくる瞬間の写真です。ほかにも、本人の自白や明らかに肉体関係があったことを思わせるLINEなどのやり取りも証拠となり得ます。

(2)浮気で慰謝料を請求する際の、妥当な金額が知りたいです。計算方法はありますか?

松下:基本的に慰謝料金額は、離婚原因やパートナーの収入、実質的婚姻年数によって増減します。上述しましたが、ケースバイケースであることがほとんどですので、明確な計算方法があるわけではありません。

(3)浮気相手に慰謝料を請求したいと思っています。請求方法を教えてください

松下:慰謝料請求の方法については非常に長い説明となってしまうため、「検討すべき事項の要点」だけをご説明します。

まずは証拠の取得です。不貞行為があったことを証明するに足りる証拠があるかどうかは、請求の前提になります。

ふたつ目は不倫相手の情報です。不倫相手の電話番号など、連絡先がわからなければ、請求のしようがありません。また、裁判をする場合には、訴状を相手方に送るために、相手の名前や住所も必要になります。

3つ目は慰謝料金額の設定です。金額があまりに過大だったり、相手の支払能力を大きく超えたりする場合には、相手が支払いに応じない恐れがあります。そうなった場合は裁判で金額を争うことになりますが、裁判の結果、請求者の求める金額が認められない場合もあります。

4つ目は請求方法の決定です。内容証明郵便等、書面を送る方法や、電話での請求、直接の請求など、様々な方法が考えられます。しかし、当人同士で行う場合には、感情トラブルが起こりやすく、新たなトラブルの種になる恐れがあるので注意が必要です。

5つ目は合意書の作成です。慰謝料の金額や支払い時期等について、双方納得できる結論に達したら、その内容を書面にします。慰謝料の支払いが一括ではなく分割になる場合、支払いが滞った時のことを考えて、強制執行認諾文言の付いた公正証書を作成しておくことが望ましいでしょう。

ちなみに、双方合意ができない場合には、裁判の手続きに進むことになります。

(4)浮気(不貞行為)の慰謝料相場を判例から知りたいです。

松下:慰謝料はケースバイケースであることから、明確な基準を求めることは難しいです。しかし、慰謝料の大体の目安として参考までに以下の金額を示しておきます。

離婚・別居をせず、夫婦関係の継続を行う場合・・・50万円~100万円
不貞行為が原因で別居・離婚に至った場合・・・100万円~200万円
不貞行為が原因で別居・離婚に至り、不貞行為が非常に悪質な場合・・・200万円~300万円

なお、これはあくまでも目安であり、事情によって異なりますので、注意してください。

(5)夫の10年前の浮気が先日発覚しました。今からでも慰謝料請求できますか? 浮気の慰謝料請求に時効はあるのですか?

松下:不貞行為に対する慰謝料請求が可能な期間は、夫のへの慰謝料請求の場合、「不貞行為があった事実」を“知ってから3年間”となります。また、不倫相手への慰謝料請求の場合は、「不貞行為があった事実と不倫相手が誰か」を“知ってから3年間”です。

ですので、10年前の不貞行為が“今”分かったというのであれば、それを証明する証拠があれば3年間は請求が可能です。

尚、不倫相手に対して慰謝料請求ができる期間は、“不貞行為の事実と不倫相手が誰か”を知ってからカウントされます。ですので、不倫相手が誰だがわからなければ、不倫相手に対する慰謝料請求の時効のカウントは進行しないことになります。

他方で、配偶者(このケースの場合は夫)に対しては「配偶者が誰かわからない」ということはありえませんので、慰謝料請求のできる期間は「不貞行為があった事実」を“知ってから3年間”となります。

(6)「無い袖は振れない」と相手が慰謝料を払ってくれません。浮気の慰謝料の支払いに関して時効はあるのでしょうか?

松下:先に述べた通り、不貞慰謝料の時効は「不貞の事実と不倫相手を知った時点から3年」です。

ただし、相手と支払いの合意ができた場合や、裁判で慰謝料を支払う内容の判決を勝ち取った場合は少し話が別になります。現行の民法では、相手との合意や判決で得た債権は、支払期限から10年で消滅時効にかかります。

もっとも、その期間が過ぎて債務者に「時効を援用します」と宣言されると、法律上請求できなくなります。

消滅時効にかけないためには、「時効の中断」をする必要があります。具体的には、訴訟等の裁判上での請求や差押え手続き、相手に債務内容を承認させたりといった方法が考えられます(民法147条)。

(7)離婚はしたくないのですが、相手の不貞行為に慰謝料を請求したいと思っています。離婚せずに慰謝料だけ請求することは可能ですか?

松下:可能です。繰り返しになってしまいますが、不倫に関する慰謝料は、浮気していた配偶者とその浮気相手から受けた精神的苦痛に対して支払われるお金になります。ですので、離婚しなくても配偶者に慰謝料請求をすることは問題ありません。

(8)まだ結婚をしていない恋人同士の関係でも慰謝料は請求できるのでしょうか? 記念日に「将来結婚しようね」と言われたので、私は婚約者だと思っていました…。

松下:単なる恋人という関係でパートナーの浮気が発覚しても、慰謝料請求ができる可能性は極めて低いです。しかし、未婚であっても慰謝料請求ができる場合もあります。

それは、婚約関係や内縁関係など、法的保護に値するほどの踏み込んだ交際関係に進展していた場合です。

婚約破棄の原因が相手の浮気にあった場合、慰謝料請求が認められる可能性があります。

ただ、その場合、原告側から、そもそも婚約関係であったことや、婚約破棄に正当な理由がないこと、すなわち浮気をしたことを、立証する必要が出てきます。ですので、パートナーが「将来結婚しようね」といったことについても、それを証明するものが必要になると考えられます。

また、婚姻届は出していないけれども事実上夫婦として生活しており、他者から見て夫婦生活を営んでいると判断できる場合などは、内縁関係として保護されうるため、浮気について慰謝料請求が認められる場合があります。

(9)浮気(不貞行為)がバレ、慰謝料を請求されそうです。慰謝料を請求されたら、まずどうしたらいいのでしょうか? 弁護士を雇うお金もありません…

松下:すべてのことを詳しく説明するとかなり長くなってしまうので、ここでは簡単に要点だけを説明します。

まずは、相手方の把握している内容が事実に基づいているかを確認した方がいいでしょう。誤解されている部分もあるかもしれません。

もしもあなたが、パートナーに妻子がいたことを知らず、またはそれを知らなかったことに対して何ら落ち度がなかった場合には、肉体関係があったとしても不法行為は成立しません。

むしろ、独身者だと偽られて既婚者と性的関係を持ったといった場合は、その相手に対して貞操権が侵害されたことを理由に慰謝料請求が認められることもあります。

また、慰謝料を請求する内容証明郵便には、一方的な慰謝料の金額と支払い期限が記載されていることが多いです。しかし、その金額と期限に関しては相手方と合意をしたわけではないので、その内容全てに従う義務はありません。
もっとも、放置しておくと裁判等に発展してしまう恐れもありますので、何らかの対応を取る必要はあります。

事実、不倫をしてしまった場合には、協議をどのように進めていくかを考えておくといいでしょう。電話やメールで慰謝料請求をされた場合は即時に対応しなければならないこともあると思いますが、重要な部分は保留しておき、改めて検討した上で後日に回答するということも大切です。

慰謝料として適切な金額や支払いの方法を検討しておくことも大切です。示談書の取り交わしなども、どう進めていくかを考えておくといいでしょう。

 

3:いざとなったらプロに任せてしまった方が安心

いかがでしたか? 慰謝料請求に関して色々とみてきました。旦那さんや奥さんに浮気をされてしまったという人や、されているかもしれないと思う人は一度、慰謝料に関する問題を整理してみることをオススメします。浮気の証拠などは1人で集めるのは難しく、法律に関する問題もプロの方にお任せしてしまった方が安心です。

何か問題が起こったといった場合や、不手際があったといった場合などは取り返しのつかないことになってしまうかもしれません。

 

【取材協力】
松下真由美先生・・・弁護士。レイ法律事務所所属。第一東京弁護士会所属。
離婚、セクハラ問題等の男女トラブルを中心に取り扱う他、介護・相続等、家庭の中で起こるトラブルを得意分野とし、メディア出演やセミナーの開催も行っている。