ハリネズミのジレンマとは?心理学者が教えるハリネズミのジレンマを恋愛に生かす方法

“ハリネズミのジレンマ”という言葉を聞いたことは、ありますか。一般的には、“ヤマアラシのジレンマ”ともいわれています。この言葉は、恋愛にまつわるとることを表現しているのですが、それをなんだか知っていますか? 今回は、大学で恋愛心理学も担当する筆者が、“ハリネズミのジレンマ”の秘密に迫ります。
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1:ハリネズミ・ヤマアラシのジレンマという言葉を知っていますか

“ハリネズミのジレンマ”、一般的には“ヤマアラシのジレンマ”ともいわれています。

(1)ハリネズミとヤマアラシ

ヤマアラシとは、ヤマアラシ科およびアメリカヤマアラシ科に属する動物の総称で、お腹以外の部分が針のような毛に覆われています。よく似た動物に、ハリネズミというのがいます。ハリネズミは、ハリネズミ科に属する雑食性の動物の総称です。こちらも、お腹以外の部分に針のような毛が生えています。

ヤマアラシとハリネズミ、実は違う動物なのですが、よく似ているために、混同されることもあります。そのため、“ヤマアラシのジレンマ”を、“ハリネズミのジレンマ”という人もいるわけです。

確かに、最近ではハリネズミカフェのようなものできているため、ヤマアラシよりもハリネズミの方がイメージしやすいのかもしれませんよね。

英語でも、“ヤマアラシのジレンマ”をいうときは、“The porcupine dilemma”だけではなく、“The hedgehog’s dilemma”と言う人もいます。

また、その昔に話題となった人気アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』では、第4話「雨、逃げ出した後」のサブタイトル“ハリネズミのジレンマ”が用いられています。そのため、本来の“ヤマアラシのジレンマ”よりも、“ハリネズミのジレンマ”が一般的になったのかもしれません。

(2)ヤマアラシのジレンマとは

さて、そんな“ヤマアラシのジレンマ”とは、一体どんなものなのでしょうか?

ヤマアラシのジレンマとは、ドイツの哲学者アルトゥル・ショーペンハウアー(Arthur Schopenhauer)の寓話から生まれた言葉です。

その寓話とは……

冷たい冬のある日、ヤマアラシの一群が、 お互いの体温で凍えることを防ぐために、ピッタリとくっつきあいました。けれども、お互いの針のような毛があたって痛く、また離れます。それを繰り返しているうちに、ヤマアラシたちは適当な距離を見つけていきました。

この寓話から、他者との適度な心理的距離を探ろうとする心理的な葛藤を表現する言葉として、“ヤマアラシのジレンマ”という言葉が生まれたのです。

 

2:ヤマアラシ(ハリネズミ)のジレンマ的恋愛シーン「パターン」

藤井恭子氏の『青年期の友人関係における山アラシ・ ジレンマの分析』(教育心理学研究)によれば、ヤマアラシのジレンマは、「近づきたい一近づきすぎたくない」というジレンマと、「離れたい一離れすぎたくない」というジレンマによって成りたっています。

詳しく言うと、「自分が傷つくことを避けたいという心理」と「相手を傷つけたくないという心理」、そして「自分が寂しい思いをすることを避けたいという心理」と「相手に寂しい思いをさせたくないという心理」によって成り立っているんです。

一般的に考えられているような、「近づきたい—近づきすぎたくない」という単純な心理ではないんです。

では、このヤマアラシの心理を、恋愛シーンで考えてみましょう。ヤマアラシ(ハリネズミ)のジレンマは、恋愛においても、「恋人とは近づきすぎるとケンカになるし、離れると寂しいから、適度の距離感が大事」などという単純なものとは言えません。

(1)友達以上恋人未満の関係

友達よりも親密で、だけど恋人にはなっていないという関係。実は、これもヤマアラシのジレンマ。付き合ったらいいのに、恋人関係にまでは発展しない。発展しないというか、「発展させない」といってもいいかもしれません。

恋人同士になる(近づきたい)ことで、恋人だからこそのケンカをしたりして、関係が悪くなることを避ける(近づきすぎたくない)ために、友達以上恋人未満の関係でいるのかもしれません。

(2)コミュニケーションの取り方がわからない

たとえば、「好きだから束縛したい」という人もいるでしょう。ですが、束縛しすぎると自分も疲れますし、相手も嫌な気持ちになりますよね。好きな人が何をしているか気になる(近づきたい)、だけど聞けない(近づきすぎたくない)。

反対に、束縛されるのが嫌だから離れたいと思うけど(離れたい)、いざ離れるとなると寂しい(離れすぎたくない)。まさに、ヤマアラシのジレンマです。

 

3:ヤマアラシ(ハリネズミ)のジレンマを教訓に!恋愛を長続きさせるコツ

では、ヤマアラシのジレンマの教訓を、恋愛に生かす方法はないのでしょうか?

ここまで“ヤマアラシ(ハリネズミ)のジレンマ”の話をしてきましたが、寓話(たとえ話)であるがゆえに、わかるようでわからないのがヤマアラシのジレンマの話。極端に言えば、“人間関係はつかず離れずの関係が大事だ”というのが教訓と思うかもしれません。

ですが、いちばん大切なことは「相手のことをおもんばかることの重要さ」です。

すでに「コミュニケーションの取り方がわからない」と書きましたが、束縛しすぎると相手を苦しめることにつながり、束縛しないように努力をしようとするとストレスになる。

実は、ヤマアラシ(ハリネズミ)のジレンマが生じている人間関係は、ふたりのあいだでコミュニケーションのスタイル(手段や頻度)が違うという問題が前提として起こっています。それを解決させることは、簡単なことではありません。

唯一の方法としては、相手がどう感じているか、どう考えているか、相手の立場になって物事を考える癖をつけること。ですが、それだって想像の域を超えないわけです。ですから、「相手がどう感じて、どう考えているか」を、相手との会話によって知る、つまり、「コミュニケーションをしっかりとる」ということが大事なんです。

 

4:まとめ

いかがでしょうか。ヤマアラシ(ハリネズミ)のジレンマの教訓は、恋愛だけではなく、すべての人間関係にあてはまるんです。

 

【参考】

青年期の友人関係における山アラシ・ ジレンマ の分析 – 藤井恭子