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げんち(言質)とは?「言質を取る」ってどんな意味?
月島もんもんM.Tsukishima
1:言質(げんち)ってどんな意味?
(1)「言質」とは?英語で言うと?
まずは「言質」という言葉を知らないという人のために正確な意味を辞書で調べてみました。
げん‐ち【言質】
《「ち」は人質や抵当の意》のちの証拠となる言葉。ことばじち。
〈出典:デジタル大辞泉/小学館〉
「言葉の人質」といった感じの意味のようですね。
ちなみに英語では、「commitment」。辞書で調べてみると、
com・mit・ment
1(…の)誓約, 約束, 公約((to …));(…するという)言質げんち((to do));義務, 責務, 責任;債務.
2(…への)かかわり合い, 参加, 傾倒((to …));現実参加(作家の政治発言・行動など)
3委託[委任](する[されている]こと), 付託行為[状態];(法案の)委員会付託.
4拘留, 収監, 拘禁, 投獄;《法律》拘禁状, 収監状(mittimus).
5(罪・過失を)犯すこと, 犯行.
6《証券》有価証券の売買(契約).
7((主に米))(金・時間などの)使用, 充当.〈出典:プログレッシブ英和中辞典(第4版)/小学館〉
と載っていました。1の意味ところに『言質』という単語がありますね。
(2)「言質を取る」ってどんな意味?
言質という言葉は、それ1つの単語として使われるよりも「言質を取る」といったような使われ方をすることが多いようです。なので、今度は「言質を取る」の意味を調べてみました。
げんちをとる【言質を取る】
交渉事などで、後で証拠となるような言葉を相手から引き出す。
〈出典:大辞林 第三版/三省堂〉
要するに「今、やるって言いましたね? 言質取りましたよ」といった感じのイメージのようです。
2:「言質を取る」を使う場面
それでは、今度は「言質を取る」という言葉を使う場面について触れてみましょう。いったいどういったときに使うのでしょうか?
(1)浮気の自白
恋人がいる場合、心配なのは恋人の浮気ではないでしょうか? どうも今の彼氏は浮気をしているような気がするが、決定的な証拠がない。こういったことはあり得る話ですよね。
そこで「先週の日曜日、どこへ行ってたの?」と相手の予定を探るような質問をしてみましょう。「友人の●●と飲みに行ってた」なんて発言が出てくれば「言質を取った」ことになります。
あとはその友人の●●くんに「日曜日はどこに行ってたの?」と質問するだけ。話が食い違っていれば、彼氏が嘘を言っている可能性が高いですね。
女子会でこの話をする機会があれば「彼氏から“友人の●●と飲みに行ってた”って言質取った」と言うことができます。
(2)プレゼントにカマをかける
ほかにも恋人の浮気で「言質を取る」という言葉を使うとするならば、プレゼントにカマをかけてみる方法があります。
恋人の誕生日にプレゼントを贈ったことはあると思います。そこでもう一つプレゼントを買っておいて「これ、誰に買ってもらったの?」とわざと訊ねてみましょう。
見覚えのない誕生日プレゼントを目の前に、彼がなんと答えるかチェックしましょう。まさに「言質を取る」場面です。もし浮気しないように釘を刺しておきたい場合は「言質取りました」と言ってみましょう。
彼はその恐怖に戦慄するはず。
(3)結婚について
結婚に対しても言質を取ることはできます。彼に対して「いつ結婚してくれるの~?」と可愛くだだをこねてみましょう。「そのうち~」なんて言ってはぐらかされるかもしれません。
「そのうちっていつ~」とさらにだだをこねます。「まあ、あと2年付き合ったらかな」なんて具体的な数字を言ってきたらチャンス。
その瞬間、だだをこねていたテンションから一気にシリアスな雰囲気に切り替えて、「2年後って言ったね。言質取りました」と言えばきっとあなたの婚期は2年後です。
(4)浮気を警戒する相手に
反対に、浮気を疑ってくる恋人に「言質を取る」という台詞を使うチャンスです。「この前、どこ行ってたの~?」としつこく聞いてくる相手だったり、「この前、なんで連絡返してくれなかったの?」とすねてくる相手に対して、「あれ、もしかして疑ってる? 言質取ろうとしてる?」と眉間に皺を寄せてみてください。
きっとあなたは恋人からこう言われることでしょう。「げんちってなに?」
(5)すっぽかされたデートの埋め合わせ
恋愛をしていればデートをすっぽかされたり、ドタキャンされることも起こりえますね。付き合いが長くなればなるほど、そういった可能性は増していきます。
そんなときは言質を取ってやりましょう。「仕事が忙しくて明日のデートは行けそうもない」なんて言われたら、「いつ埋め合わせしてくれるの?」とすかさず切り返してみてください。
「来週、ディズニーランドに連れて行くから」と言ったらまさに使いどころ。「ディズニーランド、約束ね。言質取ったからね」と言ってみましょう。
(6)不倫相手を探る
もし旦那さんに不倫をされたら、不倫相手にも腹が立つことでしょう。そんなときも「言質を取る」の使いどころ。
もし不倫相手がなんとなくわかっているなら話は簡単です。
不倫相手と思われる人に会ったときに「うちの旦那が言ってました。お世話になってるんですってね」と嫌みたっぷりに言ってやりましょう。「浮気される方が悪いのよ」なんて返してきたら、「やっぱりあなただったんですね。言質取りました」と言ってやりましょう。
(7)取引先との打ち合わせ
「言質を取る」の使いどきは、恋愛だけではありません。例えば取引先との打ち合わせで、「この仕組みはうちでできます」と言われたとしましょう。想定する具体的な納品予定日を聞き、持ち帰って会議にかけます。
上司から「その納品日で本当に大丈夫なんだろうな?」と言われたときに「言質を取りましたので大丈夫です」と使えます。
(8)上司への確認
例えば上司から「この資料、今日中に作成お願い」と言われたとします。「データは今年のを使いますか?」と質問する場面は容易に想像できますね。
そこで、「いや、去年のを使ってくれ」と言われたとしたら、あなたは「言質を取った」ことになります。
後日に同僚から「この資料は今年のデータ使わなくていいのか?」と質問されれば、「課長から言質を取ったから大丈夫」と言えます。
3:「言質を取る」の例文
今度は、「言質を取る」の例文をご紹介します。
(1)「クリスマスまでにお互いに恋人がいなかったら、恋人になってあげようか?」
私には好きな人がいる。大学生の頃の同級生で、今でも2人で映画を見に行ったり、プールに行ったりしている。
私の住んでいるアパートで宅飲みをしたこともある。終電を逃した彼が私の家に泊まったこともある。でも、彼は紳士的な人だから私に手を出してくることはしない。おまけに奥手だから手を繋いでもこない。でもきっと彼も私のことを好きでいてくれていると思う。
だから私はある日、彼にこう提案をした。
「クリスマスまでにお互いに恋人がいなかったら、恋人になってあげようか?」
「うん。じゃあ、少し頑張って恋人探しするか」
冗談っぽく言う彼に向かって、私はぽつりと言った。
「言質取ったからね」
12月24日、私たちははれてカップルになった。
(2)「何でもしてやるから正直に言ってくれ」
「去年のクリスマスに俺たち付き合ったじゃん。その前に、連絡を取ってた子がいたんだよ。いい感じだったんだけどさ、急に連絡が返ってこなくなっちゃってさ」
彼はちょっと困った顔をして昔の話を始めた。
「もしかして、お前が何かしたんじゃないよな?」
「どういうことかな?」
私は首を傾げてみせる。
「わかった。何でもしてやるから正直に言ってくれ。彼女に何て言ったんだ?」
私はスマホをイジりながら「ごめん。もう1回お願い」と彼に同じ台詞を繰り返してもらった。それから質問の内容がわかった私は、仕方なく正直に話すことにした。
「“彼、私の恋人になる人だから、ちょっかい出さないでよ”って言ったよ」
溜め息を漏らすと彼は「やっぱり」と呟いた。それから、「別れよう」と言う。
私はさっきスマホで録音した彼の「何でもするから」という発言を再生させた。
「言質取ってあるもん。何でもしてくれるんだよね」
私たちは1度別れたけれど、すぐにまた付き合い始めた。
(3)「お父さんと会おうね」
父親に「彼氏がいる」と言ったら、「今度連れてきなさい」と真面目な顔で言われた。
「いい男なら連れてこられるはずだ」って。そのことを彼に言うと「会いたくない」と顔をしかめた。気持ちはよくわかる。恋人の父親に会うということになれば、正式なお付き合いということにもなるだろう。緊張することだろう。
次に彼と会ったときにそれとなく「今度いつ会える? いつが暇なの?」と質問してみた。「今週の日曜ならあいてるかな」と暢気な声で答えが返ってきた。私は彼に言った。「じゃあ、お父さんと会おうね。言質取ったからね」と。
(4)「その言葉、しかと受け取ったぞ」
「今日は私がデートプランを考えた!」と言って彼を実家に連れて行った。いかめしい顔をして父親が出迎えた。その表情をマジマジとみた彼は頬を強張らせていた。
「さあ、入って入って」といって母親が招き入れた。
それから少しお酒が入ったところで、父親が「娘と結婚する気はあるのか?」と訊ねた。
「あの、それはまだ……」
「なに? 君は結婚する気もなく、うちの娘と付き合っているのか?」
「いや、そういうことではなくてですね……」
「ではあるんだな?」
「まあ、いずれはその……」
「その言葉、しかと受け取ったぞ」
横で神妙な顔をしていた母親が場を和ませるように、「はい、言質取りました~」と言って笑った。
(5)「いつがいいかは言わないよ」
「結婚式はいつがいい?」と彼に訊ねると、「プロポーズもしてないんだぜ、まだ早いだろ?」と渋い顔をする。
私は悲しくなって「だっていつかは結婚するってお父さんと約束してたじゃん」と言いながらぽろぽろと泣いてしまった。
彼は溜め息をついて、「ごめんごめん」と謝ってくれる。それから、「でも、いつがいいかは言わないよ。言質を取られることになるから」と彼は警戒するような表情をする。
「じゃあ、早いほうがいいよね」と私は言った。
(6)「子どもができたらどうする?」
ある日私は彼にこんな質問をしてみた。
「子どもができたらどうする?」
ギョッとした顔をして彼は、「まさか……」と呟いてから生唾を呑み込んだ。
深刻な雰囲気にならないように「そんなことないよ。例え話だよ」と私は大げさに笑ってみせる。
彼はほっとした顔をして、「子どもができたら籍を入れるしかないだろ」と言う。そんな男らしいところが私はいつも好きだなって思う。それなのに彼は急に青ざめた顔をして、「まさか……」と呟く。
「約束だよ」と私は彼に抱きつく。そして耳元で愛の言葉を囁く。
「言質、取ったからね」
(7)「子どもができた」
「子どもができた」という報告を彼にしたのは、彼の27歳の誕生日。彼は大きく吐息を漏らすと大空を仰いだ。私は背が小さいから彼の表情は見えなかったけど、まるで泣いているように見えた。でも、次に顔を向けたときはいつもの彼の表情に戻っていた。
大きな覚悟を決めた瞬間だったとわかったのは、次の言葉を聞いたから。
「俺は今からお前と子どもを幸せにする。今のしっかり言質取っとけよ」
4:ここぞという時に使うからこそ、できる男(女)
いかがでしたか? 「言質を取る」ということについてご紹介しました。あまり聞き慣れない言葉ですし、使う場面も限られてくるので日常的な使用はあまりないかもしれませんね。しかし、ここぞというときに使うと「できる男(女)」と思わせることができることでしょう。みなさんもぜひ使ってみてください。