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ゆとり世代の年齢|今いくつになった?世代の範囲と特徴・上手な付き合い方

水野 文也

水野 文也F.Mizuno

目次

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1:「ゆとり世代」はどの世代?

(1)ゆとり世代の元となった「ゆとり教育」

「ゆとり世代」といわれる要因は、その世代が受けた「ゆとり教育」にあります。ちなみに「ゆとり教育」「ゆとり世代」ともに文部科学省では用いていません。言葉そのものは造語です。

それまでの「詰め込み教育」によって生じた落ちこぼれと、テストが終われば忘れる剥落学力問題の反省から、学習量の精選と授業時間を減少。「ゆとりと充実」を掲げた教育方針によって行われた教育を、「ゆとり教育」といいます。そして、その教育を受けた世代を「ゆとり世代」というようになりました。

(2)どの世代がゆとり世代なの?

一般的には、学習内容がより精選され、一段と授業時間が削減された2002年度施行の学習指導要領の教育を受けた1987年~2004年生まれを指します。

その後、ゆとりでも詰め込みでもなく、知識、道徳、体力のバランスがとれた生きる力の育成を実現させるという考えから、2011年度に学習指導要領が施行されました。これは「脱ゆとり教育」といわれています。

現在の高校生より下の世代は、将来「脱ゆとり世代」と呼ばれるようになるかもしれません。

授業時間で見ると、「ゆとり度」がわかると思います。年間の総授業時間は、2002年度以前の学習指導要領で受けた1986年生まれの人が8935時間。それに対し、義務教育時の大半が「ゆとり教育」だった1995年と1996年生まれの人は8307時間しか受けていません。その後、新学習指導要領によって増え、2004年生まれ以降の人は8690時間となっています。

2:ゆとり世代の範囲と現在の年齢

(1)1980年以降の教育を受けた世代

1966年〜1987年までに生まれた世代です。それ以前の人は「詰め込み教育」世代。相当、勉強させられました。

(2)2002年以降の教育を受けた世代

1987年〜2004年生まれとなります。先に挙げた授業時間で見た「ゆとり世代」のピークとなる1995年、1996年生まれは、大学を卒業して社会人2~3年目。中学生時代に「ゆとり教育」を受けた人は、企業で中堅に差しかかっています。

(3)ゆとり世代とさとり世代の違い

「さとり世代」とは、「欲がない」「恋愛に興味がない」「旅行に行かない」など、よくいえば合理的、悪くいえば、最初から物事を諦めるような、消費や所有に固執しない世代です。

生まれたときには、既にバブルが崩壊。不況期の日本しか知らないために、最初からさとっているように見られることから、そう呼ぶようになりました。

1980年代後半以降に生まれた世代を指しますが、教育ではなく経済情勢が関係し、それによって形成された価値観が根源にあります。年代的に重なる部分が多いですが、「物事に対する価値観」は学校教育で教える内容ではないため、まったく別の意味をもつといっていいでしょう。

3:ミレニアルやロスジェネも!各世代のおさらい

そのほか「さとり世代」のように経済情勢、世相、技術の進歩などによって、区分される世代があります。

(1)ミレニアル世代

ミレニアル世代は、1981年以降に生まれ、2000年以降に成人を迎えた、インターネットが当たり前の時代に育った世代(デジタルネイティブ)です。

スマホを学生時代から使いこなし、SNSを多用。ライフスタイルもそれ以前の世代と異なるとされています。ちなみに、ミレニアム世代というのは誤用です。

(2)ロスジェネ世代

ミレニアル世代以前の世代で、ロスジェネは「ロスト・ジェネレーション」の略。バブル崩壊後から約10年間の期間に就職活動をした人たちを指し、1970年~1982年頃に生まれた人たちです。就職氷河期が長く続いた割を食った世代といえるでしょう。

(3)バブル世代

1980年代後半のバブル期に就職活動をした1962年~1969年頃に生まれた人たち。バブル絶頂期である1988年や1989年の就職戦線は、空前絶後の売り手市場で、学生の囲い込みが問題になったほどです。

大卒の半数以上が上場企業に入社したといわれています。テレビドラマの「半沢直樹」の主人公はこの世代。当時は「新人類」とも呼ばれていました。

(4)旧人類

当時はそれに気づかず、バブルとはいっていなかったため、バブル入社組は「新人類」と呼ばれていました。

その言葉が随所でいわれるようになったのは1986年から。対して、「詰め込み教育」をバリバリに受け、滅私奉公に耐えうる世代を「旧人類」といっていました。1961年以前に生まれた、最後のモーレツ社員の世代です。

4:これぞゆとり!特徴とありがちな偏見5つ

以下に世間一般でいわれる「ゆとり世代」の特徴、ありがちな偏見を記しました。偏見もあるので、その世代に属する人が読んだら、気を悪くするかもしれません。しかし、ほかの世代の人が「自分たちをどう見ているのか?」を知っておくのもいいと思います。

(1)とにかく指示待ち

やる気がないわけではありません。ただ、とにかく仕事においては指示を待ち、自主性、積極性に欠ける人が多いといわれています。

(2)付き合いが悪い

仕事よりもプライベートを優先したがる傾向も強いといわれています。職場を離れると、一切関わりたくない……。そんなイメージがあるのがゆとり世代。ということで、付き合いが悪いといわれています。

(3)競争心が希薄

1~5まで、テストの成績などを加味して相対評価で通知表に記されるのではなく、勉強の評価が個人の到達度を基準として絶対評価でなされていたためかもしれません。

(4)メールやSNSを多用

SNSやゲームなどオンラインに慣れ親しんできたせいか、リアルな人付き合いがほかの世代に比べて苦手。そのため、仕事の連絡などもメールやSNSを多用します。

(5)叱られることに弱い

古い世代は、先生に殴られるのは当たり前でしたが、今はそんなことはありえません。この世代は叱られる機会が少なかったと考えられており、叱られると委縮してしまうことが多いといわれています。

5:ゆとり世代との上手な付き合い方と対処法3つ

今度は、上の世代の「ゆとり世代」の接し方。のっけから「あいつら扱いにくい」「いうこと聞かないのよね」などと頭ごなしに決めつけてはいけません。部下の管理はあなたの責任。しっかり向き合わない人は、ダメ管理職一直線になってしまいますよ。

(1)褒めて伸ばす、やさしく叱る

叱られると凹みやすいのが「ゆとり世代」。やさしく叱り、自信もあまりないようなので、長所を褒めて伸ばしてあげましょう。

(2)目標を提示し力を引き出す

指示待ちしているだけで、やる気がないわけではありません。目標やマニュアルを提示してあげれば、効率を重視して力を発揮できるかもしれません。根性論はいけません。

(3)距離感を保つ

付き合いが悪いのは公私の区別をはっきりさせている、とプラスで考えることもできるでしょう。一定の距離間を保てば、スムーズに付き合えそうです。

6:まとめ

「ゆとり教育」を象徴し、個人的にも驚愕的に思ったのが円周率「3.14」ではなく「3」で教えるというものでした。「円周率が3って、六角形じゃあるまいし」など、大いに論争されたものです。「ゆとり世代」がリードすると考えたとき、この国の将来は大丈夫かと感じました。

正確には「手計算においては円周率を3として教えることになった」と「手計算」の場合と限定されたので、「円周率=3」で教えるというのは誤解。

ですが、「3」が独り歩きしてしまった結果、社会に与えた影響も大きくなり、その教育指導要領の実施直後の2003年、東大の入試で「円周率が3.05より大きいことを証明せよ」という問題が出題されたほどでした。教育現場から文科行政に対する反論が込められたメッセージとして話題になりました。今でも、この問題は伝説的な大学入試の良問として語り継がれています。

旧人類、そして「詰め込み教育」を受けた最後の世代である筆者は、「考え方が古い」といわれるかもしれません。しかし、技術の進歩は、それを追求する人の基礎学力があってこそ。その意味において、「脱ゆとり」の方向性は間違っていないと思っています。