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出会い系で詐欺被害に!出会い系詐欺の手口と被害にあったときの対処法10選

並木まき

並木まきM.Namiki

目次

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1:出会い系で詐欺被害に!解決方法はあるの?

いい出会いを求めて出会い系サービスを利用していたら、知り合った男性から騙されてしまった……。また、怪しいサービスに登録してしまい、気がつけば高額な料金を請求されてしまった……。

そんな事態になったとき、早期解決のためにすべきことは、何なのでしょう。まずはそういう詐欺被害があるということを知っておくだけでも、解決方法を見つける第一歩になるのです。

 

2:出会い系の詐欺の手口や傾向5選

では、出会い系の詐欺や手口にはどんなものがあるのでしょうか。

本題に入る前に、最近の出会い系詐欺について、今回取材に協力いただいたアトム市川船橋法律事務所弁護士法人の代表弁護士である高橋裕樹先生の見解を伺いましょう。

高橋弁護士(「」内以下同):「出会い系サイトやマッチングアプリなど、インターネットを通じて異性との出会いを目指すツールは、今や全盛。今後はもっと市場が拡大していくかもしれません。

しかし、このようなサイトやアプリの利用には、当然、落とし穴があります。僕が実際に担当した事案でも、詐欺目的で出会い系サイトを運営して、さまざまな方法で利用者を騙し、多くの人からお金を奪ったというケースがありました。そして、被害者には、女性が多いという傾向があります」

とのこと。被害者に女性が多いと聞くと、よりその手口が気になるところですね。

(1)最初は無料

「詐欺サイトは入り口部分で警戒させないように、また登録に二の足を踏ませないように、サイト登録時やアカウント取得時に“登録料無料”、“メッセージ〇通まで無料”など、無料を売り文句にして登録へと誘います。

しかし、一度登録してしまうと、あっという間にその無料分はなくなります。

その後は、高額な利用料がかかったり、課金が必要になったりすることがあります。悪質なサイトは、ユーザーが気づかないうちに有料コンテンツを利用させ、後から料金を請求するという手口もあります。

ここで“明らかにおかしい”とユーザーは思うのですが、出会い系サイトを利用しているという後ろめたさ、そして裁判や警察通報するほどでもない絶妙な請求額設定(数万円ということが多い)などから、支払ってしまう方も多いのです」

(2)サクラを利用

「出会い系サイトの運営側としては、ユーザーがサイトを通じて気に入った異性を発見し、その人と連絡をとり続けるために、有料サイトに登録をし、課金を続けてくれればいいわけです。

そのために、存在しない人物になりすまし、ユーザーの気を引こうとすることがあります。いわゆる“サクラ”を利用した詐欺です。

メールのやりとりであれば、相手が男か女かはわかりません。また、電話をしたとしても、“サクラ”が演技をしたり、なりすましたりすることがいくらでもできます。ネットを通じた出会いには、常にこのリスクがあると思います。

僕自身、この手のサクラに引っかかるのは男性のほうが多いと勝手に思っていましたが、実際に経験した事案では、被害者は女性のほうが圧倒的に多かったです」

(3)登録した個人情報の悪用

「詐欺集団にとっては、サイト登録時の個人情報が、価値の高い商売道具になります。

僕の担当した事案では、登録した被害者のメールアドレスにいろいろな関連サイトのメールを送り付けたり、他社に対して個人情報を高額で売却していたという実態もありました。

サイトに個人情報を登録すると、さまざまな詐欺有料サイトからの勧誘やマルチ商法などの勧誘が多くなる場合があります。

被害者の中には、このようなサイトからの勧誘メールが1日合計100通を超えていた方もいらっしゃいました。もしビジネスで利用しているメールアカウントに、これだけのメールが来たら、たまらないと思います」

(4)莫大な利益が手に入るという勧誘

「出会い系詐欺などで1,000万円を超える被害に遭われている方々は、大体このパターンです。

出会い系で知り合った相手から、突然“10億円を手にするチャンスが巡ってきた”というようなメッセージが来る、というようなことがあるそうです。そんなことを信じる人がいるわけがないと思いきや、本当に多くの方がこの話に乗ってしまい、その結果、詐欺による高額被害に遭ってしまっています。

この10億円という一見すると荒唐無稽な金額が、逆に被害者を信用させてしまう側面があるのかもしれません。

またサクラが被害者とのやりとりの中で、言葉巧みに心をつかみ、信頼を勝ち取り、そしてサクラとのやりとりへの依存状態を作っていきます。

送金させる流れとしては、まず最初は“事務手数料”や”登録料”などの名目で比較的低額なお金を振り込ませます。

その後、徐々に“追加料金が必要”、“トラブルが発生したから解決費用としてお金が必要”などと請求額を増額していきます。他方、最初から高額な金銭を振り込ませることはあまりありません。

最初に低額のお金を振り込ませ、そのお金を無駄にしないためにという気持ちを生じさせて退路を断たせるのです。そのうえで、徐々に金額を増額していく。この手口は、広く詐欺で用いられている手法です。

出会い系サイトで出会った相手からお金を請求されたら、ほぼ詐欺だと思って良いでしょう」

(5)相手はほぼ確実に逃げる

「以上のような詐欺に遭い、弁護士に相談される方も多いのですが、弁護士に相談する時点で、ほとんどの方が100万円以上を詐欺集団に送金してしまっているのが実態です。

この手の事案のいちばんの問題点は、相手方の所在をつかめないことが多いことです。お金を取り返すために裁判をしてみたところで、相手が詐欺集団であれば、裁判には出てくることはまずありません。

その結果、裁判で判決をとって強制執行しようにも、相手の実体も資産もわからず、また被害者の方が送金した口座も、不正取得された口座であることが多いため、凍結されていてお金も取り返せない……という事案も多いです。

つまり被害者は八方塞りで、弁護士費用だけが、泣きっ面に蜂のようにのしかかってきます。

つまり実態としては“泣き寝入り”状態になってしまう可能性が高いので、この手の詐欺被害は未然に防ぐことが何よりも大事になってきます」

 

3:弁護士に聞く!出会い系で詐欺被害にあったときの対処法5選

とはいえ、もし詐欺被害にあってしまったらどうしたらいいのでしょうか? その対処法について、引き続き高橋裕樹先生に教えていただきました。

(1)「おかしいな」と思ったらまずは情報収集

「出会い系サイトやマッチングアプリを利用した詐欺が、完全になくなることは恐らくないと思います。

身も蓋もない話ですが、このようなサービスを利用する以上は、リスクのある場所に自ら足を踏み入れているのだという認識は持っていただく必要があると思います。そして、それ相応の警戒心も、常に持つべきです。

オレオレ詐欺・振り込め詐欺の被害撲滅が叫ばれて久しいですが、未だに被害は増え続けていますよね。

出会い系サイト詐欺も、その手法が多様化しています。なので、その予防策を一概に述べることはできません。

ただ、先ほどもお伝えした通り、出会った相手からお金の相談を受けたら、振り込まないこと。そして“お金が手に入る”、“絶対稼げる”といったおいしい話が来たら、まずは詐欺を疑うことが大切です。

さらにその出会い系サイトの評判、サイト管理者に関する情報など、“詐欺かも”と少しでも思った時点で、ネットで情報を集めてみるのが良いと思います」

 (2)証拠になりそうなやりとりはすべて保管!

「そして、もし被害に遭ってしまったり、被害に気づいたら、直ちに過去のやり取りをできる限り残しておいてください。

メールやメッセージなど全部そろえれるならそろえてプリントアウトするなり、バックアップをとっておいたほうが良いと思います。

これがないために、警察が立件できなかった詐欺の案件も多くあります」

(3)警察と弁護士に相談する

「そして、その資料をもって、詐欺罪の被害申告のために警察へ。そしてお金を取戻すために、弁護士へ相談に行ってください。

ただし実際には、警察がなかなか動かないことは本当に多いですし、弁護士に相談しても“これは厳しいですよ”という回答になるケースも多いです。

しかし早期に動いて、損はありません。

証拠の保全と警察・弁護士への相談は、なるべく早く行ってください」

(4)消費者センターへの相談も選択肢ではあるが…

「消費者センターに相談に行ったり、ご自身で詐欺集団と交渉したりすることもできます。

しかし、そうやっている間に相手方に逃げられてしまうリスクもあります。それに個人が交渉したとしても、それに押し負けて返金するような詐欺集団はまずいないと考えていいでしょう」

(5)無料相談を活用して、頼れる弁護士を見つける

「僕がこういうと、営業のためと思われてしまうかもしれませんが、自分でやろうとして間違った方向に走ってしまった結果、手遅れになるケースも多いです。

弁護士の無料相談を利用すれば、コストはかかりません。間違った方向に走り始めてしまう前に、弁護士に相談されたほうが良いと思います」

 

4:出会い系で「詐欺かな?」と思ったら早期の対処を!

出会い系サービスを利用していて「何かがおかしい?」と思ったなら、その直感を流さずに、すぐに対処をするのが賢明です。

相手がプロの詐欺集団であった場合、素人がひとりで対処しようとしても、完全なる泣き寝入り、あるいはさらなる深刻なトラブルを招くリスクもゼロではありません。「おかしい」と感じたら、自分でなんとかしようとせずに、正しい対処法で早期解決を図れるよう、気をつけてみてください。

取材協力高橋 裕樹弁護士

アトム市川船橋法律事務所弁護士法人  代表弁護士。岩手県盛岡市出身。2008年(平成20年)弁護士登録。千葉大学法経学部法学科卒業。