他人ごとじゃない名誉毀損のお話!恋愛がらみの名誉棄損の裁判事例も

名誉棄損とは、社会評価を違法に低下させること。普通に生きている限り、あまり関係ないように思うかもしれませんが、例えば、恋愛の嫉妬などによって、SNSなどで相手のことを批判するのも、それにあたるケースが。そして、その内容が事実だとしても、名誉棄損の責任を問われることがあるのです。今回はそんな名誉棄損について、マジメに解説していきます。
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1:侮辱罪とは何が違う?名誉棄損罪の成立要件や時効について

名誉棄損は、民法上の不法行為です。一方、刑法では名誉棄損罪が定められています。そして、名誉棄損罪と混同されがちなのが侮辱罪です。何が違うのでしょうか。

小学館デジタル大辞泉によると、

めいよきそん‐ざい【名誉毀損罪】

具体的なことがらを挙げて、相手の名誉を傷つける罪。挙げたことがらの真偽にかかわらず成立する。ただし、相手が死者・公務員・選挙などの候補者である場合、公共の利害に関する場合、挙げたことがらが真実であれば成立しない。刑法第230条が禁じ、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金に処せられる。
[補説]具体的なことがらを挙げずに侮辱した場合は侮辱罪となる。

とあります。一方、侮辱罪は以下のとおりです。

ぶじょく‐ざい【侮辱罪】

具体的なことがらを挙げずに、公然と人を侮辱する罪。刑法第231条が禁じ、拘留または科料に処せられる。親告罪の一つ。
[補説]具体的なことがらを挙げて、相手の社会的評価を下げる行為は名誉毀損罪にあたる。

もっとも大きな違いは、具体的な事柄を挙げるか挙げないか。また、侮辱罪は親告罪なので、被害者の告訴が必要となります。名誉棄損罪は、知ったときから6か月を経過すると刑事告訴ができなくなります。

一方、民法の不法行為の時効は3年です。

 

2:事実でも名誉毀損になるの?恋愛がらみの名誉棄損の民事裁判事例5つ

繰り返しになりますが、名誉棄損は、たとえその内容が事実だとしても名誉棄損になります。民法上での違法性は、他人の権利または法律上保護される利益を侵害しているかどうかを問われます。不法行為とされれば、名誉棄損による損害賠償が発生します。

ここでは、恋愛が絡む民法上の不法行為について、5つの事例をご紹介します。

(1)不倫を公表する

例えば、「AさんとBさんが不倫している」と公表した場合、公表した人は加害者となり、民法709、710条により、財産的損害や精神的苦痛に対する損害賠償を求めることができます。

慰謝料の中央値は100万円で、高額が認められるケースというのは、仕事に致命的な影響を与えた場合などです。

(2)ネット上に不倫を暴露する

インターネットの掲示板やSNSなどに、個人が特定できる形で「あの人はあの人と不倫している」「私とあの人は不倫していた」などと記載するのも、名誉棄損の加害者となり、不法行為とされる場合があります。

(3)証拠がないのに裁判をする

夫の不倫相手に慰謝料請求訴訟を提起したものの、具体的な証拠が存在しなかった事例では、妻が起こした訴訟が不当訴訟であるとして、逆に訴えられた女性に対して慰謝料を支払う判決が出たケースもあります。

不倫が真実でも、証拠を提示できなければ嫌がらせ行為とみなされる場合もあるので、裁判をする際には、確固たる証拠を押さえた上で行うのは適切といえそうです。

(4)浮気や不倫の被害者の復讐でもNG

夫に不倫をされた妻が、夫の物を夫の職場に送りつけたり「死ね」などといった内容を書いたメールを送信するのも、名誉毀損に当たりかねない行為です。

平成23年のあるケースでは、妻が夫の職場に押しかけて夫の解雇を求めるとともに「死んで詫びろ」と求める手紙を送ったりしたこともあり、裁判所は加害者の不法行為責任を認め、100万円の損害賠償を認める判決を出しました。

(5)不倫相手の実家に告げ口するのも危険

配偶者の不倫相手の実家に電話をし、事情をまったく知らない家族に不倫関係について話したうえに謝罪を要求した事案でも、名誉毀損が認められた判例があります。

平成22年のケースでは、妻が夫の不倫相手の女性の父親に面会を強要して応じさせ、金銭請求等をしたこともあり、200万円の損害賠償を認める判決が出ています。

 

3:こんなことも名誉棄損に?意外にも名誉棄損に当てはまる事柄3つ

「このくらいなら、名誉毀損にはならないだろう」とタカをくくっていると、あとから取り返しのつかない事態を招くこともあります。そこで、一般生活でにおいて起こりがちではあるものの、名誉毀損に当たりかねない行為をご紹介します。

(1)正義感のために不倫の事実を言いふらす

たとえ正義感からでも、他人の不倫ネタを周囲に言いふらす行為は、刑法では名誉棄損罪や侮辱罪、民法では不法行為として損害賠償を求められる可能性があります。また、それを職場などで行った場合、騒動の首謀者として懲戒処分の対象とされる場合もあります。

(2)夫や妻など家族の不倫を本人の職場に公表する

「不倫をした夫が許せない」などの心情から、相手の勤務先に不倫や浮気の事実を公表するのも、名誉毀損の加害者として損害賠償を請求される可能性があるケースです。当人は「当然の制裁」と思ってやっていても、不倫の事実を第三者に告げる行為は、たとえ不倫の被害者であっても不法行為の加害者となりうるのです。

(3)浮気や不倫ネタで「あの人、慰謝料を支払ったらしいよ!」も危険

誰かの浮気や不倫の話を知ると「あの人、浮気がバレて多額の慰謝料を支払ったんだって〜!」などと、周囲にゴシップを言いたくなる人もいるかもしれません。しかしこちらも、それが事実であったとしても、不倫や浮気などの不名誉な話を公表することになります。したがって、名誉毀損が成立する可能性があると言えます。

 

4:名誉毀損は意外と簡単に成立する…

私たちの日常生活において、名誉毀損にあたるゴシップや悪口は、そこら中に転がっています。

刑法の“罪”として処罰の対象となる事例はそこまで多くはないにせよ、民法のほうではかなり身近といえます。どんなケースが名誉毀損にあたるのかは、この機会におさえておいて損はないのではないでしょうか。

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