離婚裁判の費用はどちらが払う?弁護士費用の相場と離婚裁判の流れ

夫婦仲が悪化し、「裁判してでも今の相手と離婚したい!」とまで思っているのなら、粛々と準備を進める必要があります。でも「何から始めたらいいのか、よくわからない!」となってしまう人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、「離婚裁判」について解説。弁護士費用の相場や、離婚裁判の流れなどを説明していきます。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

1:離婚裁判で費用がかさむ…

離婚に伴い、裁判をすることになれば、それなりに費用がかさむイメージがありますよね。

現在の日本では「調停前置主義」をとっているので、いきなり離婚裁判を起こすことはできず、例外を除いて、前段階として調停をおこなうよう定められています。つまり、「裁判をして離婚をする!」と思っていたとしても、原則としてその前に“調停”を経るため、調停を起こす段階で、弁護士を頼むかどうかなども考えておくといいでしょう。

 

2:どっちが払う?高いの?安いの?離婚裁判の費用や相場について

「離婚裁判」に関する費用は、実際のところいかほどの心づもりをしておくべきなのか、5つのトピックに分けて見ていきましょう。

(1)本人訴訟なら印紙代等の経費のみ

弁護士を依頼せず、自分だけで離婚訴訟をおこなうならば、当然ながら弁護士費用はかかりません。よって、裁判にかかる費用も最低限、印紙代と戸籍謄本代のみで済みます。

具体的には、印紙に1万3,000円(※請求する内容により異なる)、戸籍謄本に450円、郵便切手(※訴状を提出する家庭裁判所により異なる)が必要です。

また訴訟前に、離婚調停を起こす費用としては、夫婦の戸籍謄本(全部事項証明)に450円、収入印紙代に1,200円、連絡用の郵便切手(※家庭裁判所により異なる)1,000円前後かかります。

 

(2)弁護士に依頼する際には着手金が必要

裁判に備えて、弁護士を依頼する場合には、最初に「着手金」がかかります。

実務的には、裁判の前段階である調停の段階から弁護士を依頼するほうがスムーズとなるのですが、離婚調停からであっても訴訟からであっても、およそ30万円の着手金が必要になると思っておくといいでしょう。

日本弁護士連合会による「市民のための弁護士報酬ガイド」によると、

(1)離婚調停
着手金
20万円………45%
30万円………42%

(2)調停不調で訴訟
着手金
10万円………43%
0万円………26%

(3)訴訟から受任
着手金
30万円………53%
20万円………26%

(出典:市民のための弁護士報酬ガイド/日本弁護士連合会)

のような金額の目安が出ていました。アンケート回答数の多かった上位ふたつを掲載し、回答率をパーセンテージであらわしています。ちなみにこの費用は、夫婦どちらに非があるかに関係なく、依頼人本人が支払います。

(3)証拠集めにかかる費用

「裁判をしてでも離婚する!」とまで思うには、その背景に、法律で定められている離婚事由がなければなりません。

浮気など、証拠を提出して立証をしなければならない理由がある場合には、それらを集めるための費用もかかります。

探偵事務所に依頼することになれば、費用はピンキリ。10万〜30万くらいで済むこともあれば、100万円を超える費用がかかることも珍しくありません。

(4)弁護士への実費

交通費や家庭裁判所への出頭日当など、業務をおこなうにあたっての実費が弁護士にかかる場合、これらの費用も依頼人が負担するケースが大半です。

(5)弁護士への成功報酬

養育費や慰謝料などが確定し、離婚が成立すれば、弁護士への成功報酬もかかります。この成功報酬に関しては、認められた額のおおよそ10〜20%程度と言われていますが、依頼する弁護士事務所の料金体系によってかなり違ってくるでしょう。

 

3:離婚の裁判って何するの?離婚裁判の流れ5ステップ

「裁判で離婚する」と決めたら、一般的には次のような手順で進んでいきます。

(1)弁護士に相談に行く

 

「裁判する」と決めて、自分ですべてをまかなえる人は、そうそう多くはありません。そこでまずおこなうべきは、弁護士への相談。

初回の相談は無料に設定している弁護士も少なくなく、自分と価値観が近い弁護士に出会うことも、その後の離婚調停・裁判をスムーズに進めるコツになります。

(2)必要な書類や証拠をそろえる

依頼する弁護士が決まったら、弁護士と相談をしながら、必要な書類や証拠を揃えていきます。

ベテランで経験豊富な弁護士ほど「これがあったほうが有利に進みますよ」と、ムダのないアドバイスをしてくれるもの。それに沿って、必要なものをテキパキとそろえていきましょう。

(3)調停の申し立てをする

材料がそろったなら、いよいよ調停の申し立てです。前述したように、日本ではいきなり離婚に関する裁判を申し立てることはできないため、まずは「離婚調停」を申し立て、調停員を交えながら話し合いをしていくことになります。

(4)調停を粛々と進める

裁判をして離婚するつもりでいても、その前段階である調停の場において離婚が成立することも多いのが実態です。

調停というのは、裁きの場ではなく話し合いの場。そのため、公平・中立な立場にある調停員が、夫婦それぞれの側からの主張を聞き、妥協案などを提案しながら折り合いをつけて、話をまとめようとしてくれます。

(5)調停が不成立なら裁判へ

離婚調停で話がまとまらず、「不成立」として終結したら、その先の裁判へと進んでいきます。

 

4:弁護士費用が払えない!弁護士なしで離婚裁判は可能なの?

「離婚で裁判を起こす覚悟はあるけれど、お金がないから弁護士に依頼できない……」と、切実な悩みを抱いている人もいますよね。

結論からいってしまえば、離婚裁判は弁護士なしの本人訴訟でおこなうことも理論上は可能です。

しかし相手が弁護士をつけている場合には、法律や事例への知識が素人では到底及ぶはずもなく、自ら不利な状況へと追い込んでしまうケースも。そのため、基本的には、裁判では弁護士を依頼したほうが安心感も高まるでしょう。

弁護士費用がない人向けに「法テラス」など、費用の立て替え制度がある公的機関もありますので、まずはそういった機関の窓口に相談してみるのも方法です。

また民間の事務所でも、着手金に関して相談にのってもらえる、というケースもあるよう。初回の無料相談を実施している事務所なら、まずは電話で相談してみるのも、ひとつの方法です。

 

5:裁判をしてでも離婚したいなら…

「裁判をしてでも、離婚したい」というところまで意志が固まっているならば、あとは準備を整えて、粛々と進めるのみです。

しかし離婚というのは、調停や裁判などをするにつれ、長期化する傾向も。そのため、離婚裁判は、協議がまとまらない場合の、やむを得ない選択肢として捉えておくほうが、穏便に済むかもしれませんね。

 

【参照】

市民のための弁護士報酬ガイド/日本弁護士連合会