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セカンドレイプとは?日本でセカンドレイプが起こりやすい理由と加担しないために

大山奏

大山奏K.Ohyama

目次

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1:セカンドレイプとは?

セカンドレイプという言葉を聞いたことがあるでしょうか? 日本語では「性的二次被害」と訳され、レイプなどの性的暴行や性犯罪を受けた人が、第三者からの言葉や行動によって再度傷つけられてしまうことを言います。

性的暴行は絶対に許されないことであり、その被害者は守られるべきもの。それ以上傷つけるような行為は、許されることではありません。

ですが、まったく悪気はなくとも、セカンドレイプの加害者になってしまうことも考えられるのです。

 

2:セカンドレイプにあたる行為3つ

まずはセカンドレイプを正しく知るために、セカンドレイプにはどんな行動があるのかを紹介します。

(1)被害に遭うには理由があると指摘する

例えば、遅い時間に出歩いているから、男を挑発するような服装をしているから、顔がかわいいことで調子に乗っているから、生意気だから……などなど、被害にあった本人に対して、「あなたのほうにも原因があったんじゃないの?」などと言うことです。

「あなたが気を付ければ、被害に遭う確率は減るから安心して」という建設的な意見として慰めているつもりなのかもしれませんが、性犯罪というものは、する人が100%悪いのであって、被害にあわないように人生を制限するなんて、人道的にありえません。

(2)警察の事情聴取で鮮明に思い出させられる

性的暴行などの被害に遭った人が、警察などへそれを申告することは大変に勇気のいること。実際に、レイプ被害に合った女性の多くは、申告することなく泣き寝入りをしていると言われています。

そんな中、勇気を出して訴え出たのに、そこでセカンドレイプに遭ってしまうということもあります。

警察は事件を把握し犯人を捕まえるために、具体的な状況を事情聴取します。自分と相手とのやり取りなどを鮮明に思い出させられることは、被害者にとって傷口をえぐるような苦痛を伴うでしょう。

しかも、犯人はそれほど重い罪に問われないのが現状。実刑判決がでても、初犯なら執行猶予がつくことがほとんど。名前を変え、普通に生活している人も多くいます。

そのため、警察でセカンドレイプに遭ってまで犯人逮捕してもらっても、意味がないと考える被害者も少なくありません。犯人に復讐されるリスクだってあるのです。

(3)SNSなどで「被害者も悪い」と言われる

インターネットが普及したからこそのセカンドレイプもあります。事件が明らかになると、SNS上などでその被害者の特定がはじまり、ひどい場合は過去などを暴露して、レイプ被害とは関係ない部分で「こういう女はレイプされて当然」という風潮を生み出したり。

見えない第三者からのセカンドレイプも、現代では多く存在します。

 

3:なぜ?日本でセカンドレイプが起こりやすいといわれる理由3つ

ではなぜ日本ではセカンドレイプが起こりやすいと言われているのでしょうか?

(1)性問題への意識が低い

日本は性問題への意識がまだまだ低いといわれ、女性は性的なことを人に話さないほうが良いという「恥」や「穢れ」という概念も根強いです。よって、自分からレイプ被害を訴えること自体が恥さらしとなり、そういう女性は攻撃してもいいという考えが生まれてしまうのかもしれません。

内閣府の「“女性に対する暴力”に関する調査研究」によると、無理やりに性交等をされた被害経験者の割合は、調査対象女性1,807人の7.8%となっています。

数字としては、決して多いとは言えないかもしれません。でも、もし、あなたが内閣府から性的被害にあったことがありますかと聞かれたら、「私は被害経験者です」と回答できるでしょうか。後から何を聞かれるかも、そのデータがどう扱われるかもわからないのです。被害に遭っていたとしても、言えない人もとても多いと思います。

(2)マスコミが被害者の人権に緩い

加害者は犯罪者なので法の裁きを受けますが、その一方で、法に守られやすくなります。それは、いったん「法」という土俵に上がっているから。しかし、被害者に対してはノーケアになりやすく、人権、つまりプライバシーを守らなければいけないという意識が薄いことも、セカンドレイプの温床になる理由といえるでしょう。

マスコミがプライバシー侵害をして許されるなら、一般人だってやっていいに決まっている、という思考回路となるのです。

(2)性犯罪の法律のつくりが明治のまま

日本の性犯罪の罪が軽いというのも、セカンドレイプを呼びやすい要因です。つまりは、性犯罪が軽んじられているからなのですが、日本の性犯罪を取り締まる法律は、女子の売買や妾制度、男尊女卑がまかり通っていた明治時代の法律が基本。

2017年6月、性犯罪に関する改正刑法が国会で可決・成立、110年ぶりの大幅改定となりましたが、加害者にはっきりとした“暴行又は脅迫”があったことを証明できなければ罪に問えないもので、その「はっきりと」というのは実にあいまい。

最近の判決でも、加害者が「相手が目をあけたり声を出したりしていたので合意があると思っていた」などとした証言が採用されて無罪になったケースも。つまり、加害者の思い込みとそれを認める法律で、性犯罪があっという間に合意のセックスになるのです。

合意だったくせに裁判を起こすなんてお騒がせな存在だ、という感覚に陥る人が多いのも仕方がないのかもしれません。恐ろしいですね。

 

4:セカンドレイプには絶対に加担しない!自分たちができること3つ

セカンドレイプ問題では、誰もが加害者にも簡単になってしまいかねません。それを防ぐためには何ができるのでしょうか。

(1)正しい情報を得る

まずはセカンドレイプに関して正しい情報を得る努力をすることでしょう。被害者がどんな心境なのかを考えたり、どのような行為がセカンドレイプに当たるのかという知識を得て、もし当事者と接触することがあれば、それらの行為に当たらないか、自問自答することが必要です。

(2)被害者の訴えを信じる

セカンドレイプでは、被害に遭ったということを聞いたほうもショックが大きく、そのショックを和らげるために、「実は合意の上だったのでは?」などと被害者を追い詰めてしまいがちです。

いちばんつらいのは被害者だということを忘れず、被害者の訴えを信じてあげることも重要でしょう。

(3)相談できる専門家を知っておく

どんなに知識を持っていても、被害に遭った人の心の支えになり続けることは大変です。そういうときには、専門の相談機関へ被害者を導いてあげることも助けになるでしょう。

性犯罪というのは、頭に思い浮かべるだけでも不快ですし、目を背けがちに。しかし、自分も周りの人も、理不尽に遭遇する可能性はあるのです。日ごろからどういうところに相談をすれば良いのかといった情報に、アンテナを張っておきましょう。

 

4:セカンドレイプを許さないで!

性被害に遭うということは、それだけで人生を変えてしまうほどのショッキングな出来事です。その上、周囲の心ないひと言でセカンドレイプにまで遭ってしまったら……。考えるだけでも想像を絶する苦しみでしょう。

セカンドレイプは誰もが加害者になりかねない問題。なので、日ごろからセカンドレイプになるような行動を自分や周りの人がしていないか、注意しておく必要があるでしょう。

 

【参考】

「“女性に対する暴力”に関する調査研究」 – 内閣府男女共同参画局