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思考停止とは具体的にはどんな状態?思考停止している人の特徴と改善方法
水野 文也F.Mizuno
1:思考停止とは?
(1)思考停止とはどんな状態?英語でいうと?
思考停止とは、物事を考えることや、判断することをやめてしまう状態を指します。英語では「brain freeze」と表現するのが一般的です。まさに、考える脳が凍りついて動かない状態でしょう。
思考が停止している状態とはいえ、脳の機能が本当に停止しているという身体的、物理的状態ではありません。脳はしっかりと働いているのに、多くは無意識のうちに考えることを停止しているのです。
他人の言うことを鵜呑みにしてしまったり、一旦思い込んだらそれに固執しまったりすることが、それにあたるでしょう。
(2)思考停止という病という本
2016年には『思考停止という病』(苫米地英人著)という本が話題になりました。脳の視点と社会的な視点の両方から思考停止を解き明かした一冊です。本の中で筆者は、日本人全員が思考停止状態にあると警鐘を鳴らしています。
また脳科学者の茂木健一郎博士は、数年前から自身のブログで、事件を起こした(と思われる)人物について、新聞やテレビなどのメディアが「○○容疑者」という呼称を使い続けていることを、思考停止を感じると指摘していました。
茂木博士の考えとしては、英語系メディアでは刑事手続の対象になっていても「Mr.○○」と書くのに対し、日本では疑問を持たずに均一的な呼称になっている。そこに違和感があるというのです。
現代社会における思考停止を考える上で、ひとつの参考例になるかもしれませんね。
2:仕事ができない?思考停止している人の特徴
(1)変化に対応できない
ある意味、人間というのは、普段は思考が停止しているともいえます。だって、物事をいちいち考えながら生活している人などいませんよね。習慣などがそれにあたるでしょう。
何も変化が起きずに変わらなければ、そのままでもいいかもしれません。ところが、世の中というのは、常に変化しています。問題なのは、物事が変わっているのに、思考停止に陥っていて、何も考えられない、変えようとしないという点です。
このような状態の人は、仕事ができると思えません。変化に対応できないというのは、言われたことしかできないことの裏返し。そうなると、思考停止に陥っている人には責任のある仕事をまかせられず、仕事のできない人というレッテルが貼られてしまうでしょう。
(2)成功体験、実はヤバいかも!?
変化に対応できないという意味では、過去の成功体験に固執してしまうというのは、典型的な思考停止といえるでしょう。
何かに取り組むとき、もちろん過去にうまくいったパターンも参考になりますが、新しい打開策こそがベストかもしれません。ですが、成功体験があるがゆえに、間違いになかなか気がつかず、手遅れになることだってありうるのです。
成功体験というのは、悪い方向に働くこともあるのですね。
(3)思考停止に陥っている人の特徴は?
以上の点を踏まえて、思考停止に陥っている人の特徴を考えてみました。
・物事を何でも決めつける
・信じ込んだものを疑わない
・すぐに人の言うことを鵜呑みにする
・他人に何でも頼ろうとする
・現状に何の疑問を持たない
・毎日同じことをしても何も感じない
・目先のことばかり考えている
・周りの空気を読みすぎる
主だった特徴を挙げましたが、これらの項目に、いくつも当てはまる人は要注意でしょう。
3:思考停止をしてしまう危険なワードと改善法
(1)「決めつけ」「諦め」の言葉は危険ワード
前項では、特徴を記しましたが、思考停止している状態で出やすい“危険なワード”について考えてみましょう。例えば、会議などで、注意深く発言を聞いていると、よく出てくる言葉が……。これが実は危ないのです。
「そんなの無理に決まっています」
「それは絶対に正しいです」
「そうすべきでしょう」
「今までもそうでした」
「それは仕方ありません」
「……」(会議中に一言も発しない)
考えを述べないのは論外として、「決めつけ」や「諦め」といった言葉が会議を支配しているとしたら、組織全体が思考停止になっているという極めて危険な状態と言えます。
そして、以上のような言葉のほかにも気をつけたいのが、実は「正論」です。平和、弱者の救済、子どもの将来……これらが正論で語られると、議論になりにくいですよね。それも思考停止に陥るリスクをはらんでいることに注意しましょう。
一方、資料などを作成する際に、効率良くするために行うコピペも、実は危険の第一歩。考えずに大半をコピペで済まそうとするのであれば、それは思考停止に踏み込んでいるとみていいでしょう。
(2)間違いを決して恐れない!
それでは、自分が思考停止に陥っていると思った場合、どのように改善すればいいのでしょうか。
当たり前のことですが、他人の意見を聞くとしても、それを鵜呑みにせず、まずは自分の頭で考える習慣をつけることです。すぐに諦めたり、決めつけたりしないで、何事にも疑問を持ち、可能性を探ることから始めましょう。先入観は大敵です。
間違えたっていいのです。自分で考えるということが大切なのですから。そして、何で間違ったかを考え、修正する……それだけでも、思考停止状態から脱皮できますし、受け売りをするよりも、はるかに自分が成長できるでしょう。
また、どんなに小さなことでもいいので、目的や目標を持つようにしましょう。どのようにゴールにたどり着くかを常にイメージすることで、考える習慣が身につきます。
4:まとめ
このように解説をしている筆者自身も、ジャーナリストや政治家として取り組んできた仕事を振り返ると、思考停止に陥っていた場面が何度かあったかもしれません。
それを反省しつつ、この先も、先入観で物事を判断しないようにしていきたいという自戒を込めて、この原稿を執筆しました。