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係長とは…役職手当はつく?事例で見る係長の役割と他の役職との違い

水野 文也

水野 文也F.Mizuno

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目次

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1:係長とは…管理職?平均年齢や平均年収は?

(1)係長は出世の第一歩だがその実態は?

会社のルールにもよりますが、世間一般的に係長といったら、最初に就く役職というイメージがあるのではないでしょうか。係長になったら出世の第1歩を踏み出したと言えるでしょう。

ただし、その位置づけは企業によってまちまち。部下をまとめる管理職として扱うところもあれば、職制上では管理職ではないところもあります。

それでも、平社員とも呼ばれる一般社員や職員に比べると責任が増すのはたしか。一方、その上の課長とは違って、その権限は大きくありません。偉くなったというより、責任が増した……という表現が適切かもしれませんね。

上の職階である部長や課長が、基本的にマネジメントに特化するのに対し、係長は自分でも業務をこなすことが多いので、そういう意味では、課長のような中間管理職と言えるかどうかは、微妙な役職です。

(2)係長の全国的な平均年齢は?

ここからは係長という役職について解説していきます。

外郭団体である独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が集計した「賃金構造基本統計調査」によると、2015年のデータで係長の平均年齢は、100人以上の企業で44.1歳、1000人以上の企業で44.5歳とありました。

順調に出世しているとして、多くの企業では早ければ30歳前後、通例では30歳代後半から40代前半に到達するポジションと言われています。

 (3)係長の年収、やっぱり日本は学歴社会?

次に収入について見てみましょう。同じ調査で係長は100人以上の規模で440.2万円、1000人以上の規模で485.8万円です。

ちなみに、1000人以上の規模で大卒・院卒の係長は496.3万円なのに対し、高卒の係長は483.2万円。やはり収入面では大企業、高学歴の係長が恵まれていることがわかります。

 (4)公務員の係長ってどうなの?

公務員の場合、係長までは昇進試験の基準が比較的緩めとされています。また、昇進試験を実施していない地方自治体の場合、50歳前後で自動的に昇格するケースも。

また部下を持たない「ひとり係長」という係長も存在しますが、部下を何十人も束ねるケースなど、現場の責任者として重いポジションであることもあるようです。

一般企業が30代前半で就くケースが多いのに対し、たとえば、都道府県庁の係長の場合は、大卒であれば30代後半から40代半ばでなるのが一般的です。

 

2:係長と主任の違いは?係長と近い役職とその違い

 (1)主任、チーフとの違いは?

企業や役所では、係長と同等、混同されやすいような役職が多々存在します。

主任やチーフといった肩書きの名刺をもらうことも多いでしょう。一般的には、主任やチーフというのは、係長よりも役職が下となります。係長はマネジメントの業務が加わるため、その分、責任が重いと見ていいでしょう

係長を置いていない企業も多いので、その場合の主任やチーフは、係長と同等の責任を負う立場となるようです。

(2)次長は企業によって立場に大きな違い

係長と並んで役割がわかりにくい、次長という立場。これは、組織の職階制によって位置づけが大きく変わってきます。仕事の相手先として“次長”が応対する場面では、相手がどんなポジションであるか見極めなければなりません。同じ次長でも、会社によって権限が大きかったり、まったくなかったりと異なるためです。

部次長の場合、相当な権限があると想定できますが、課長の下では期待はできず、係長の下なら権限がないと見てほぼ間違いないでしょう。

 (3)○○代理って?

次長という役職を使わず、部長代理、課長代理、あるいは副部長、副課長という役職を設ける企業が多いようですが、係長に「代理」や「副」を付けるケースはほとんど見かけません。

いわゆる職階制のラインには乗ってないながら、極めて専門性の高いプロフェッショナルな職員が次長、○○代理に就くケースもあります。

ちなみに、新聞社など報道機関の場合、次長というのは原稿を記事化する際にチェックする仕事をする役割を、「キャップ」と呼ばれる係長や主任のようなポジションの人は、取材の采配をふるうなど現場監督的な役割をそれぞれ果たします。

(4)中央省庁の課長補佐って実はスゴイ!

課長補佐は、一般的に課長の下、係長の上の役職となりますが、中央省庁の場合、かなり高度で責任を負う立場となります。キャリア官僚が経験を積む場と言っていいかもしれません。

国家公務員の場合、課長となると、国のその分野における最高責任者とも言えるため、その権限は絶大。一般企業でいえば、部長職に相当するイメージです。課長補佐は、その下で重要政策などを実際に立案するので、責任がかなり重い立場と言っていいでしょう。

 

3:係長の手当はどのくらい?

これまで説明してきたとおり、係長は組織によって、仕事の内容が違ってくるので、それによって、当然、役職手当の額も変わってきます。

中央労働委員会がまとめた平成30年賃金事情調査で、基準内賃金に占める平均的な役職手当の比率は3%ですが、これも業種によって1%~10%と開きが大きくなり、係長の肩書きでも手当の額も異なってくるでしょう。

蛇足的ながら、例えば、ボーナスや退職金の額を算出するとき、基準となるのは一般的に基本給であり、役職手当は含めません。つまり、企業が少しでもこれらを抑えようとするならば、係長に限らず役職手当を膨らませることが考えられます。

さて、そうした点も含め、係長の役職手当を見ると、相場として1万円~3万円となります。課長は5万円以上などと言われていますから、やはり、出世してバリバリ仕事をするのが、給与アップにつながりますね。

 

4:係長を英語でいうと?

どんな役職でもそうですけど、役職を英訳するのは悩ましいものです。外資系企業では、逆に和訳が難しいケースもありますが、日本と海外では職制、ポジションにおける権限などが、とりわけ中間管理職では異なるからです。

係長は、「Section Head」「Unit Head」などと英訳できますが、「subsection chief」と英訳されることが多いようです。

ちなみに、課長は「Section Chief」「Section Head」などと直訳できますけど、名刺の裏側に印刷される英訳は「Manager」が一般的。部長は「general manager」、支店長は「Branch Chief」と訳されることが多いです。

 

5:まとめ

企業や組織で出世すると、やっぱりうれしいものですよね。収入がアップするのはもちろん、仕事のやりがいも大きくなります。

ただし、責任が増すのも事実。一般職員だったあなたが係長に抜擢されたら、喜びを噛み締めるだけではなく、責任ある立場になったことをしっかり自覚しましょう。

 

【参考】

賃金構造基本統計調査:職階(役職)別(一般労働者)-独立行政法人・労働政策研究・研修機構

平成30年賃金事情等総合調査-中央労働委員会