「もっといい人がいる」の真相とは?7年越しの再会の行方【第1話・後編】ーシンデレラになれなかった私たち ー

あのとき別れなければ……。誰の中にも「ありえたかもしれない人生」があるもの。そんな女性のリアルな心情に迫る恋愛ルポルタージュ連載『シンデレラになれなかった私たち』。前回、人生でいちばん大好きだった元彼に7年越しに会いにいくことを決意したミカさん(29歳・図書館司書)。突然自分のことを振った元彼が語った、本当の別れの理由とは?
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ケース1:元彼にサヨナラの理由を聞きに行った女性【後編】

名前:ミカ(29歳・図書館司書)

大学進学とともに、石川県から上京。2年前に結婚して、今は一児の母。大学時代に付き合っていた彼氏・カズヤ(カズチン)のことをいまだ忘れられない.。

前回はコチラ→「どうして私と別れたの?」元彼が語ったサヨナラの理由【第1話・前編】ーシンデレラになれなかった私たち ー

あの時はすみませんでした。って謝りたいです

元彼のカズチンから7年ぶりに届いたメッセージ。

このメッセージをきっかけに、人生でいちばん大好きだった人に会いに行くことを決意した、ひとりの女性を追いかけました。

7年ぶりに再会した元彼は、いったい何を語ったのでしょうか。

「どうして私と別れたの?」という問いかけに、元彼が語った「サヨナラ」の理由とは……。

7年ぶりに会う、いちばん好きだった人…

カズチンからのメッセージが届いた2週間後、私は2才になったばかりの娘を抱いて、社会人が出場する全国大会の試合会場にいました。 

社会人になった今でも水泳を続けているとは聞いていましたが、全国大会に出場するような選手になっていたなんて……

会場に着いてすぐ、カズチンを見つけました。

学生時代から着ていた赤のジャージ姿。

前よりも体は大きくなり、髪が短くなっていました。

「なんて声をかけようかな……

「本当に来てよかったのだろうか……

私は娘を抱いたまま、体育館入口の試合のタイムテーブルが貼ってあるボードの前を行ったり来たりしていました。

7年前、突然の別れを告げられたショックで、カズチンのアパートのまわりをさまよい歩いていたときのことをふと思い出しました。

ダメだな、私。7年前と何も変わっていない……

猛烈な自己嫌悪におちいりました。

「やっぱり帰ろう」

2時間かけてきたけど、彼に会わずに会場を立ち去ろうとしました。

そのときです。

「ミカ?」

なつかしい声が、背後で聞こえました。

どうして私と別れたの?

ふりかえると、カズチンが笑って手をあげていました。

何を話そう……

近づいてくるカズチンを前に、私の心臓は激しく高鳴りました。

「ミカ、来てくれてありがとう!」

「久しぶり……カズチン」

「なつかしいな〜。そんな変なあだ名つけたの、俺の人生でミカだけだわ」

その笑顔は、大学時代と変わっていませんでした。

カズチンの目は、2歳の娘に引き寄せられました。

子どもがいることはDMで伝えていたけれど、カズチンはすこし戸惑ったような顔をしたあと、「抱っこしていい?」と言いました。

私は「いいよ」と、答えました。

私から離れると、娘は大泣きしました。

カズチンは慌ててしまって、「ごめん、パパじゃなかったね~」と娘を私の腕に返しました。

そして、思いもかけなかった言葉を口にしたのです。

「いいな~、俺もミカの子供が欲しかったなあ」

私は一瞬、呆気にとられましたが、

「何言ってんの? 一方的に振ったあげく、音信不通になったくせに」

と、少し強めの口調で言いました。

カズチンは「若かったからなぁ」と天井を見上げたあと、

「ホントに……あのときは、ごめん」

と言いました。

思わず私は、7年越しの問いを口にしていました。

……なんで、あのとき」

「ああ……

カズチンは、、頭をポリポリとかいたあと、少し間をおいて言いました。

……他に好きな子ができちゃったんだよね。あの、水泳部の……ミカも会ったことある人」

「私には水泳に集中したいって。それと、ミカにはもっといい人がいるって言ってたよ」

「そんなこと言ったっけ。でも、半分は嘘じゃないな」

「どうして急に……連絡くれたの?」

カズチンは、さみしそうな表情を浮かべたあと、

「なんとなく……ミカのこと、ずっと忘れられなくってさ」

開会のアナウンスが響き、短い会話のあと、カズチンは競泳場へと歩いていきました。

私はカズチンの試合を見届けたあと、声をかけることなく会場をあとにしました。

 

【毒島の考察】「選ばれたかもしれない」と思って生きる幸せ

別れの理由は「ただ別に好きな人ができただけ」

7年前に彼が別れを告げた理由、それはただ「他に好きな人ができた」というものでした。

人生最大の恋をした相手に、別な人ができたという理由でふられ、さらに7年越しに会おうといわれた理由が「なんとなく忘れられなかったから」だったとは……。身勝手にも程があると思う人もいるのではないでしょうか。

でも、ミカさんの中には、怒りや悲しみは湧いてこなかったそうです。

「彼がまだ、自分のことを好きかもしれないって知って、ぽっかりあいていた穴が埋まった気がしたんです。そして私もまだ、彼のことが好きなんだなぁ……って。

あのとき、ああしていれば、こうしていればって思うことはたくさんあります。カズチンと一緒にいられたら、今ごろって……」

幸せな結婚して、子どもにも恵まれたのに、元カレに会いにいったミカさん。

彼女のことを、皆さんはどう思うでしょうか?

身勝手な男を引きずって、夫に言えないような行動をする不謹慎な女性だと感じる人もいるでしょう。また、7年越しに呼び出しておいて、他に好きな人ができたからという別れの理由を明かした男性に、憤りを感じる人もいると思います。

筆者の問いに、ミカさんはこう答えました。

「付き合っているのに、他の子を好きになっちゃうような男の人です。あのまま別れずに結婚してたら、もっとつらい思いをしていたかもしれません。

でも、なんていうか……再会できて、やっぱりうれしかったんですよね」

そして、筆者の目をまっすぐみすえて、こう言いました。

「もしかしたらこういう人生もあったかなっていう、そんなもうひとつの自分を抱きながら生きる幸せもあるんだって、思ったんです」

「選ばれたかもしれない」と思える幸せ

そんな彼女の告白を聞いたとき、2016年に世界中で大ヒットした映画『ラ・ラ・ランド』のラストシーンを思い出しました。

別れを選んだけれど、お互いに夢をかなえたふたりが再会し「ありえたかもしれない未来」を回想するシーン。

つきあっていた時、こんなことをふたりで夢見ていたよね……と。

 

選ばなかった人生は、誰の中にもある。

 

 「選ばなれなかった」ことよりも、「選ばれたかもしれない」という思いを抱き続けるだけでも、生きていける……

そんな幸せもあるのかもしれません。

人生でいちばん好きだった人に「選ばれなかった」女性。

この女性を、みなさんはどう思いますか。

 

【筆者プロフィール】

毒島サチコ

photo by Kengo Yamaguchi

 

愛媛県出身。学生時代から恋愛ライターとして活動し、『Menjoy!』をはじめ、WEBメディアを中心に1000本以上のコラムを執筆。現在、Amazon Prime Videoで配信中の『バチェラー・ジャパン シーズン3』に「妄想恋愛ライター・永合弘乃(本名)」として参加。

 

第1回はコチラ→妄想恋愛ライター・毒島サチコが書く「選ばれなかった人」の物語。【連載】シンデレラになれなかった私たち

 

次回:11月30日土曜日 更新予定

29歳彼氏ナシの美人美容師が地元に帰りたくない理由【連載】シンデレラになれなかった私たち ー第二話ー

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