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核家族とは?核家族の割合と核家族化が進む問題

槻谷岳大

槻谷岳大T.Tsukitani

目次

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1:核家族とは?その割合

核家族とはそもそも、どういう意味でしょうか? 辞書を引くと、

かく-かぞく【核家族】

ひと組の夫婦とその未婚の子供からなる家族。家族の基礎単位とされる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

とあります。それ以外にも「夫婦のみ家庭」や「父子家庭または母子家庭」も核家族に含まれるようです。

総務省「人口動態・家族のあり方等社会構造の変化について」によると、日本においては既に戦前の1920年ごろから全世帯の半分以上が核家族となっており、戦後の高度成長時代から急増して70年代には7割を突破し、現代では約9割の家庭が核家族と言われています。

 

2:核家族の問題点

(1)祖父母からの援助が得られず親の負担が増える

核家族と反対の概念は、「結婚後も両親と一緒に住み続ける家庭」です。サザエさんのように、子供が生まれても両親と一緒に住み、ちゃぶ台を囲んで食事をとる家庭は、現代では少なくなっています。

こういう家庭では、手がかかる子供の世話や教育を、両親だけでなく祖父母が代行するというのが、「結婚後も両親と一緒に住み続ける家庭」では当たり前に行われてきました。あまり『サザエさん』においては描かれませんが、例えるなら、タラちゃんの面倒を、親であるマスオやサザエに代わって、波平とフネが代行するというケースです。

つまり、核家族になって、祖父母(波平とフネ)からの支援が得られない家庭というのは、親(マスオとサザエ)の負担がそれだけ増すということになります。

(2)共働きで「子供だけ」の時間が増える

子供が小さいころに、両親が共働きであれば、託児所などに子供を預けざるを得なくなるようなことも起こるでしょう。核家族が増えれば、そのぶん保育施設の逼迫につながります。また子供が大きくなって、教育が重要な時期にも、両親が忙しくて不在が多ければ、家庭内教育は自ずと疎かになってしまいます。

3)子供と近所の人との深い関わりが少なくなる

核家族の特徴のひとつとして、新しく住んだ土地において地域との交流も少なくなり、昔は多かった「地域教育」というものが、子供に影響を与えなくなってしまうことも挙げられます。

 

3:核家族化が進むと何が起こるの?社会の動向

1)家庭の経済的な負担増、少子化に拍車

実家に残って親と住むのに比べて、核家族はさまざまなコストを自分たちで背負わなければなりません。例えば、住居費用や水道光熱費などです。

それによって、本当は子供がふたり欲しいとしても、ひとりで止めてしまうとか、経済事情によって合計特殊出生率の押し下げにもつながるのです。

2)子供への養育環境

核家族は、夫婦共働きになることが多く、家庭で子供と触れ合う時間が減る傾向があります。また先述のように、地域との関係がなくなっていくことで、「近所のおじさんに怒られる」といった子供に対するしつけの機会が減るという側面もも言われ続けています。

 

4:核家族のメリット2

一方、核家族にはメリットもあります。

1)独立した家庭としての自由な環境

結婚後も親と住むことによって、嫁姑問題など、家庭問題が発生することもあります。また、高齢化が進むことによって、将来は介護をしなければならない可能性もあります。核家族は、そういった人間関係の面倒を考えなくていいというメリットがあります。

2)近居などで「いいとこどり」ができる

親と別々に離れて暮らすことによる負担増を軽減し、なおかつある程度の自由も確保できるという中間策として、最近では「近居」という選択をする人も増えています。

これは、親世帯から独立はするものの、30分や1時間など比較的近い場所に家庭を設け、子育てに関する支援を受けながら、常時一緒に住むわけではないので、一定の自由度も確保する、というやり方です。近年、増加傾向にあるということです。この近居という選択をすることで、核家族が大きくメリットとなるでしょう。

 

5:核家族を英語で言うと?英語で説明するなら

核家族は英語では何というのでしょうか? そもそも日本語の「核家族」は、米国の人類学者ジョージ・マードックが1949年に発表した主著『社会構造』において書いた、「nuclear family」という用語の和訳だというのが一般的です。米国においても核家族は1920年代ごろから増えている傾向にあるとのことです。

 

6:まとめ

核家族を選択する人はこれからも多いでしょう。核家族自体が悪いのではなく、上述したような親と別れて住む経済的な負担、地域社会とのつながり、それに伴う子供の教育環境への悪影響など、デメリットを何とか工夫して軽減していく方法もあると思います。

これから結婚して家庭を持つという方もいるかと思いますが、まずはどういった形で自らの家庭を構築していくかをよく計画立てていただければと思います。

 

【参考】

総務省「人口動態・家族のあり方等社会構造の変化について」