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孤独感が強いのはなぜ?寂しく思う心理と克服法
平松隆円R.Hiramatsu
1:孤独感はうつ病の前触れ?孤独の意味と英語での言い方
ところで、そもそも孤独感とはいったいなんなのでしょうか。孤独感に関しては、学術の世界でも数多く研究されています。
(1)孤独感とはいったいなんなのか?
1979年に、Letitia Anne PeplauとDaniel Perlmanという研究者が「Blueprint for a Social Psychological Theory of Loneliness」(『Love and Attraction』)という論文を発表しています。
それによると、孤独感とは「個人が現実に経験している社会的関係が、本人がもちたいと望んでいる関係に比べ、下回ったり不満であると認知されるときに生じる不快な感情」と定義されています。
これは人間の社会的な関係、つまり人間関係の充実に注目しているわけですが、他にも精神的なことに由来するものや、物質的なことに由来する孤独感もあります。わかりやすくいえば、さまざまなことに対して、自分の思い通りなっていないことが孤独感といえます。
(2)孤独を英語で言うと…
ちなみに、孤独感を英語で言うとなんというか。お気づきだと思いますが、先ほどの論文のタイトルには、「Loneliness」という単語が使われています。直訳すると、「孤独」や「寂しさ」です。誰かに寂しいっていうとき、「I feel lonely.」なんていいますよね。
2:孤独感が強いのはなぜ?寂しく思う心理
それでは、なぜ人は孤独を感じてしまうのでしょうか。先ほどの論文を参考にしながら、細かく考えてみましょう。
(1)離婚・失恋など、これまでの愛情関係の崩壊
人が孤独感を感じる身近な原因は、恋人やパートナーを失うことです。失恋した瞬間に「もう、生きている意味がない!」とまで孤独を感じた経験がある人も少なくないでしょう。自分から相手をふるより、相手からふられたほうが、孤独感が強いかもしれません。
(2)進学・転勤・単身赴任・出張・引っ越しなどに伴う友人や家族との物理的な別離
家族や恋人、仲の良い友達と離ればなれになって、なかなか会えなくなると寂しく感じるものです。今では、ビデオチャットなども簡単にできるようになりましたが、それでも、実際に会えないことは孤独感につながります。
(3)退職・失業・昇進などによる社会的地位の変化
社会的な地位が人間関係を変えてしまうということは、よくあります。社会人だと、これまで同期として仲の良い友人関係だったのに、どちらかが先に昇進したりすると、急にどちらかが敬語を使い出したりして、関係がぎくしゃくするということもあるでしょう。関係が変わると、ふたりの間に壁ができたように感じ、孤独を感じてしまうことになります。
(4)他人に対する信頼感の低下
例えば、仲が良いと思っていた人が、実は裏で悪口や根も葉もない悪い噂を流していると知ったら、その人を信頼できなくなりますよね。そして、信頼できない人とは、ちゃんとした人間関係など築けるわけがなく、結果的に自分を独りだと思うようになり、孤独を感じることになります。
3:孤独感診断テスト
心理学の研究では、いくつもの孤独感に関する心理テストが開発されています。それらを参考に、オリジナルのテストを考えてみました。
1.ひとりぼっちだと感じることがある。
2.外出好きではない。
3.自分をよく知っている人がほとんどいない。
4.疎外されていると思う。
5.親しい友達の気心がわからない。
6.引っ込み思案なほうだ。
7.なんでも話し合える友達がいない。
8.頼りにできる人がいない。
当てはまる数が多いほど、孤独を感じている可能性があります。
4:心理学者が教える孤独感の克服方法3つ
孤独を感じたとき、それを克服するにはいったいどうしたらいいのでしょうか。
(1)ゼロからの人間関係を構築する
孤独感は、それまでの人間関係の変化が大きく影響します。恋人や友達を失ったり、遠距離になったり。そういうときには、失ってしまった人間関係にこだわるのではなく、これを新しく人間関係を築くチャンスだととらえましょう。
(2)あらかじめセーフティーネットを作っておく
例えば、友達がひとりしかいないと、その友達を失ったときに感じる孤独は、とても大きなものです。ですが、友達がたくさんいたら、それほど孤独は感じませんよね。セーフティーネットというのは、人間関係のネットワークを拡げておきましょうという意味です。
(3)孤独を楽しむ
簡単なことではないかもしれませんが、孤独を感じたときは孤独を楽しむようにしましょう。つまり、ひとりでいる時間を楽しむということです。
5:まとめ
誰も孤独を感じることを好みません。ですが、孤独は誰でも感じるものです。孤独を感じたときは、それを楽しむようにすることも大事かもしれませんね。