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洞察力は生きる力!SNS社会に必須の「本質を見抜く力」の鍛え方

平松隆円

平松隆円R.Hiramatsu

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目次

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1:洞察力の意味は?観察力との違いと英語での言い方

さっそくですが、洞察力とはいったい何なのかを考えていきましょう。まずは、その意味の確認からです。

(1)洞察力の意味

「洞察」の意味について、辞書には次のように意味が載っています。

どう‐さつ【洞察】

物事を観察して、その本質や、奥底にあるものを見抜くこと。見通すこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

物事を深く鋭く観察する力というのは、わかるようでわかりにくいかもしれません。というのも、「洞察」というのは動物心理学の専門用語で、人間を含む動物が「ある困難な情況に直面したときに、突然、解決手段を見いだして、その情景の目的にかなった行動をとるような場合の心的過程を説明する概念」だからです。

そう書きましたが、この説明は、もっとわかりにくいかもしれません。具体的に例を挙げて説明をすると、チンパンジーが天井に吊るしたバナナをとろうと、何回か跳びついてみても取ることのできなかったときに、部屋に置いてあった箱に気づいて、箱に乗ってバナナを取ることができたというような場合。「置いてあった箱に気づいたこと」が洞察です。

つまり、周囲をよく観察して、何かひらめいて、解決策を見つけることが洞察で、その力を洞察力と考えればいいかもしれません。

(2)観察力との違い

観察力というのは、観察する能力のことです。観察とは、物事の状態や変化を客観的に注意深く見ることを意味します。「何かを見ること」は共通していますが、洞察力には何かひらめいて、解決策を見つけることまでが含まれるのに対し、観察力にはそれが含まれないんです。

(3)洞察力の英語での言い方

ちなみに、洞察力を英語でいうと、「insight」とか「penetration」という言葉を使います。「He had no insight into human nature.(=彼は人間性に対する洞察力がなかった)」とか、「He is a man of penetration.(=彼は洞察力の鋭い人だ)」というふうに使います。

 

2:洞察力が鋭い人かどうかがわかる!診断テスト

洞察力というのは、生まれもって、その能力が高いとか低いとかが決まっているわけではありません。例えば、小学校の算数の授業。実は、これも洞察力を鍛える練習だったりします。

これから、いくつか算数の問題を出したいと思います。算数や数学の得意不得意はあるにしても、みなさんはもう大人だと思うので、次の問題をそれぞれ1分くらいで解いてみましょう。それより短い時間で答えが出れば、洞察力が鋭いといえるでしょう。逆に1分以上かかったときは、洞察力があまり鋭くないかもしれません。

(1)三角形の角度

正三角形の3つの角度は、60度と60度と60度の、合計180度です。それでは、直角三角形のふたつの角度が30度と90度のとき、残りの角度は何度でしょう?

(2)長方形で正方形を作る

縦が6cmと横が8cmの長方形のタイルを並べて、できるだけ小さい正方形をつくります。正方形の1辺の長さは、何cmになりますか?

さて、どうでしょうか。(1)の三角形の角度の答えは60度です。また(2)の正方形の一辺の長さは、6と8の公倍数である24です。

大人になると、理論を知っているので、すぐに答えが出せるかもしれません。ですが小学生だと、それぞれ実際に三角定規や分度器を使って計ったり、実際に縦が6cm、横が8cmの長方形のタイルを並べてみて、答えを求めます。この作業の方法をひらめくかどうかが洞察力なんです。

 

3:洞察力を鍛えるには?

それでは、洞察力を鍛えるには、いったいどうすればいいのでしょうか。

(1)思い込みを捨てる

洞察力を鍛えるうえでいちばん大事なことは、思い込みを捨てるということです。つまり、自分が実際に見たり聞いたりしたことを、ありのままに事実として受け止めるようにすることなんです。人には先入観や思い込みがあり、それによって事実を自分の都合のいいように解釈してしまうことがあります。それでは、洞察力を身につけることはできません。

洞察力の基本は、周囲をよく観察することにあります。

(2)物事を深く考える

自分が実際に見たり、聞いたりしたことを、ありのままに事実として受け止めらるようになったら、その次は深く考える習慣を身につけることです。私たちは日常生活の中で何かを見たり、聞いたりしても、「まぁ、そんなもんか」とか「そういうこともあるよな」くらいにしか思いません。

ですが、小さな子どもが「なんで?」とすぐ聞いてくるように、些細なことにでも疑問を持つことが大事です。その結果、何かひらめいて、解決策を見つけることができるようになります。新しいビジネスアイデアを思いつくような人も、日々の生活に疑問を持っているからこそ、それを解決するようなアイデアが浮かぶわけです。

(3)過去の失敗を忘れない

私たちは、過去に失敗してイヤな経験をすると、すぐに忘れようと努力します。ですが、過去の失敗というのは、成功の素でもあるわけです。失敗した原因を考えることで、次の失敗を防ぎ、解決策を見つけることができます。

ちょうどそれは、チンパンジーが天井に吊るしたバナナを取ろうと、何回か跳びついてみてもとことのできなかった失敗の原因を生かして、部屋に置いてあった箱に気づき、バナナをとることができたのと同じです。

 

4:洞察力がある人に向いている仕事とは?

洞察力がある人は、どんな仕事にも向いているでしょう。特に、学校の先生や技術開発者などの研究者、そして会社の経営者なんかにも向いています。

逆に洞察力がない人は、人に指示されたことを何も考えずに黙々とこなすような職業に向いているのかもしれませんね。

 

5:まとめ

すでに紹介したように、私たちは小学校の算数の授業を始めとして、小さなころから洞察力を鍛える練習をしています。つまり、洞察力を鍛えることが可能なんです。それは、大人になっても同じ。今からでも遅くはありません。洞察力を鍛えてみましょう。