掲載
愛とは何か…?哲学的な疑問に答える名言と解説
毒島 サチコS.Busujima
1:愛とは何か…考えてみたことある?
世の中は「どうしたら愛されるか」について解いた恋愛本やマニュアルであふれています。そして多くの人が、ラブソングや映画館で観るラブストーリーに涙を流します。
それだけ、人間は常に愛に飢えていて、愛を求めているのでしょう。でも、そんなみんなが欲したり、心をとらえて離さなかったりする愛そのものがいったい何なのか……考えたことはありますか?
2:愛とは何か…哲学的な疑問に答える名言と解説
ここからは、筆者の愛読書でもある、『愛するということ』(著:エーリッヒ・フロム)という哲学書を読みながら、愛について考えていきたいと思います。
(1)愛は技術である
本書には、「愛する」という行為には、音楽や工学などと同じく「技術」が必要だと書かれています。
これだけ恋愛をテーマにしたメディアや、映画・音楽があふれているのに、多くの人は、愛について学ぼうとしません。フロムは、愛を知るうえで、現代人が愛を学ぼうとしない理由は3つあると語っています。
ひとつめは、「愛する」ことより「愛される」ことを重視するから。確かに、愛されるための小手先のテクニックを集めた指南書はたくさんあるのに、愛そのものについて語った本や、人を愛するための本はそう多く見かけませんよね。
ふたつめは、愛の問題が起こったときは、自分の技術が欠如しているのではなく、自分が愛し愛されるのにふさわしい相手がいないからだと考えてしまうから。婚活でも、「あの人は、ここが〇〇だからイヤ」などと、条件を重視してしまう人が多いのではないでしょうか。
そして3つめは、恋の始まりの「恋に落ちた」状態と「愛し続ける」という持続的な状態を混同してしまうから。恋のときめきと愛とは別物であるとフロムは言っています。
本当の愛を知るためには、まず「なぜ人間が愛について学ぼうとしないのか」に関心を持ったうえで、習練を積む必要があると分析しています。
(2)愛は能動的なものである
上述したように、多くの恋愛本は「どうしたら彼に振り向いてもらえるか」など、「愛される」ことに重点を置いています。ですが、「愛される」ことではなく「愛する」ことを重視するべきだと、フロムは言っています。
また恋は、未熟な人間でも「愛されている」と感じ、相手に何かしらのメリットがあればできますが、愛には、努力と忍耐と習練が必要だと分析しています。確かに、恋人が夫婦になると、多くの困難が訪れますよね。それらは恋のときめきだけでは乗り越えられないものです。
結局、愛されるという受動的な態度は恋でしかなく、愛ではないのです。だからこそ、愛するための技術を身に着けることが必要なのかもしれません。
その他にも、愛について『愛するということ』の中で、さまざまな分析がされています。気になった人は、ぜひ手に取ってみてください。
3:これが本当の愛なのかも!愛とは何かを知ったエピソード2つ
「これが本当の愛かも……」と思ったエピソードをご紹介します。
(1)母からの愛
「うちは父親がいなかったのですが、そのぶん、母親に厳しくしつけられました。子どものころ、そんな母からの忠告がとても鬱陶しく思っていましたね。反抗期のときは、家を飛び出して帰らない日も……。でも、自分が親になって、あのとき女手ひとつで育ててくれた母の愛を感じています。自分が同じ立場にならないと、気付かない愛ってあるんだと思います」(28歳/会社員)
(2)彼からの愛
「田舎の中学でクラスメイトだった彼と、偶然、東京で再会し、そして5年の交際期間を経てプロポーズされました。彼は、私が大病を患い、入院していたときも、毎日お見舞いに来て支えくれました。恋の賞味期限は3年だというけれど、いまだ彼への思いは冷めることなく、より一層強くなっています。今も、これからも彼を愛していますし、彼も愛してくれている……そう信じています」(32歳/主婦)
4:恋は落ちるもの、愛は育むもの?
今回は、愛とは何か……を考えていきました。愛と聞くと、上記のエピソードにあるような「母性愛」はとてもイメージしやすいですが、「異性愛」となると、愛について語るのは難しくなるような気がします。
「異性愛」だと、どうしても恋の「ときめき」と混同してしまいがちですよね。どれだけ考えても、「異性愛」とは何かに対する明確な答えは導き出せないのではないか、と筆者は感じました。恋は落ちるもので、愛は育むものとはよく言いますが、恋でしか味わえないあの「ときめき」と、じっくり育む愛は両立し得ないのかと思うと、ちょっと寂しくなってしまいます。
でもだからこそ、人は常に愛に飢え、恋を繰り返すのかもしれません。やっぱり恋と愛は、人間の永遠のテーマのような気がします。恋の先に愛があればいいな……そんな期待を持って、生きていきたいですね。